天然ガスと暖冬(つらつらコラム1月20日)

 

天然ガス価格の下落

先週の天然ガス相場は2.000ドルを割り込んだ。今年の天然ガスは暖冬のため価格が下がっているといわれているが、今日は2016年1月から2019年12月までの気温と価格の推移を調べ比較してみた。

天然ガス価格と気温の関係

図1は天然ガスの価格とHDDを重ねている。HDD (Heating Degree Days)は65℉を中心とした尺度(例えば、ある日の最高気温が65℉、最低気温が35℉ならば、単純には平均気温は50℉となるので、その日のHDDは65℉[基準値]-50℉[平均気温]で15となる)で、下図は1月分のアメリカ全土のデータ(1月分のHDDの積算値)について2016年1月から2019年12月の期間で示したもの。
*ただし、HDDは気温を計算する地域ごとに定義する尺度なので、図1は図2-4の単純な和にはならない。

図1 天然ガス価格とHDD(出展元 EIA)

2016年から2018年の冬は12月の時点でHDDが800ほどあり、価格もおおむね3ドルほどだった。今年の冬は2019年12月の時点でHDDが700程度しかなく、今のところ例年より暖かい冬になっていることがわかる。次は地域別のHDDについて見てみる。例年よりどの地方が暖かいのかが判明すると思われる。

図2 天然ガス価格とHDD(地域1)(出展元 EIA)

図2はニューイングランド(New England)と中部大西洋岸(Middle Atlantic)、東北部地域(East North Central)のデータでこの3地域はいわゆるアメリカ東部と中西部に当たるが、いずれも例年よりHDDが小さく暖冬傾向にあることがわかる。

図3 天然ガス価格とHDD(地域2)(出展元 EIA)

図3は西北部地域(West North Central)と南部大西洋岸(South Atlantic)、東南部地域 (East South Central )のデータでこの3地域は、北西部を除き例年より若干HDDが低く、やはり暖冬と考えてもよいと思われる。

図4 天然ガス価格とHDD(地域3)(出展元 EIA)

図4は西南部地域(West South Central)と太平洋岸(Pacific)、山岳部(Mountain)のデータでこの3地域は西南部で暖かい傾向が見えるが、太平洋岸や山岳部ではそれほど例年との差はないように見える。図5に参考図として地域分けがどうなっているかを乗せておく。図5中の数字は2018年全体のHDDの和となっていて北の方や山間部が寒いという結論となるが今日はこれ以上詳しくは触れない。

図5 HDD情報における地域分けと2018年のHDDの地域ごとの和
(出展元 EIA)
天然ガス生産量と価格の関係

次に天然ガスの生産量と価格の推移を比較しておく。天然ガスの採算量は2017年から増加の一途をたどっている。一方で価格は長期的にみると低落傾向にあるように見えるが、消費量の情報がないためこれだけでは断言はできない。

図4 天然ガス生産量と価格(出展元 EIA)
まとめ

今回筆者が調べた範囲では、今年の冬は大量消費地の東部と中西部を中心に暖冬の傾向が見られること、天然ガスの生産量の増加に対して価格が低落しているように見えるが、確実なことは現状の情報だけでは言えず、他の要因がないかどうかの確認が必要なことが分かったにとどまっている。消費量については調べきれなかったので、まずは地域ごとの消費量と価格の間の関係や、例えばどの都市の気温が価格に影響しやすいのかを調べて、次の機会に公開していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。