白金の今後の見通し(つらつらコラム1月23日)

 

白金の上昇

白金相場が上昇している。昨年12月初めには900ドルの水準にあったが、その後上昇を続け、先週1000ドルを突破した。2018年2月以来の価格となる。今日は白金の上昇と今後の見通しについてまとめる。

白金需要と供給
図1 白金(赤青)と金(白黒)の日足チャート(出展元 サクソバンク証券)
*左軸が金価格、右軸が白金価格

図1は白金相場と金相場の日足チャートを重ねてみた図だが、白金相場は11月以降上昇を続けてきた。昨年はアメリカとイランの間の緊張の高まり、米中の貿易摩擦などで金相場が堅調となったことが白金の上昇要因となり、米中間の通商合意が成立すると将来的な需要増期待が支援材料に加わった。ここ数年、白金の需要は頭打ちの状態が続いている。白金の主な需要先は産業向け(工業用、ディーゼル自動車用)、宝飾向け、投資向けの3通りが考えられるが、このうち自動車用の需要が減っていることが大きな要因となっている。これは白金はディーゼル車の排気ガス浄化のための触媒に使われるが、ディーゼル車の市場シェアが欧州の排気ガス規制の強化によって低下していることが上げられる。また、白金生産者団体であるWPIC(ワールド・プラチナム・インベストメント・カウンシル)によると最新の需給見通しは以下の通り。

白金需給
(キロオンス=約28.3キログラム)
供給量(キロオンス)鉱山からの供給(キロオンス)リサイクル(キロオンス)需要量合計(キロオンス)自動車向け(キロオンス)その他工業向け(キロオンス)宝飾品向け(キロオンス)投資向け(キロオンス)
2017年実績2501915924110352779
2018年実績251191602289660720
2019年予測2551936225692596737
2020年予測2521906223189606616

近年の白金の供給量は安定している。需要側ではディーゼル車の販売数の減少によって自動車向け需要が年々減少しており、2020年は2017年に比べて20%減少する見込み。また2020年は2019年の上昇を牽引してきた投資向けの需要も頭打ちとなる予測となっていて、2020年の白金は供給過剰状態となる見通しとなっている。このため、2020年に入った今月上旬に白金が1000ドルの節目を超えることは予想していなかった。

供給側で想定される上昇要因

白金の主要な産出国は南アフリカ、ロシア、ジンバブエ、カナダ等となっている。このうち南アフリカでの生産は、不安定な電力供給と労働者のストライキにより一時鉱山の操業が止まる等があったが、今後も不安定な状況が続くと思われる。

その他の要因

将来的な需要増につながる可能性がある話としては、パラジウムから白金へのシフトの可能性が挙げられる。パラジウムはガソリン車の自動車用の排気ガス浄化用触媒としての需要があるが、パラジウム価格が年内だけで30%以上上昇しているため、今後白金に触媒用材料がシフトする可能性が浮上している。ただし、触媒として使用するには研究開発が必要なため、即上昇という話ではないことに注意したい。

まとめと今後の予想

白金の需要は頭打ちの予測となっているが、リスク回避資産としての金への連動で値上がりが続いている。直近では新型コロナウイルスの感染拡大懸念があり、しばらくは堅調に推移するのではないだろうか。供給側は鉱山からの供給は今年も不安定となる可能性はあるが、白金価格の上昇は金属リサイクルを促進すると考えられており、供給が激減する可能性は低いと考えている。以上から、供給側から考えた2020年の白金相場は底堅い値動きになるのではないかと筆者は予想している。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。