天然ガス在庫と輸出(つらつらコラム1月24日)

 

天然ガス価格の下落

天然ガス相場は先週2.000ドルを割り込んで以来、更に下落が続き一時1.900ドルも割り込んだ。下落の理由としては気温が上昇する予報から売りが続いていることが挙げられている。昨日のEIAの週間在庫統計は各社予想の77~91B減に対して92B減となったが、図1に示す通り平年より取り崩し量が減り在庫量が増えているため、下げる材料として扱われた。今日は天然ガスの生産量、在庫、将来的な値動きに関係するLNGやパイプラインの輸出についてまとめ、今後の値動きを占ってみたい。

図1 天然ガス在庫量(出展元 EIA)
天然ガス生産量と在庫

今週のEIAの週間報告から生産量の数字を抜き出したものが下表となる。EIAの発表によると今週の生産量には大きな減少は見られない。

表1 天然ガス週生産量(出展元 EIA)

生産量今週(Bcf/日量)前週(Bcf/日量)前年同時期(Bcf/日量)
生産量107.5108.699.1
供給量100.398.994.0

次に輸出量と需要量について見てみよう。LNGの輸出量が大きく増大しており、前年の2倍に達している。

表2 天然ガス週輸出量と需要量(出展元 EIA)

輸出量と需要量今週(Bcf/日量)前週(Bcf/日量)前年同時期(Bcf/日量)
輸出量(LNG)8.28.24.1
輸出量(メキシコ向けパイプライン)4.95.34.9
需要量合計126.9111.4119.5

最後に在庫量についてまとめたものが下の表となる。太平洋岸や山岳部では在庫が平年(過去5年間の平均)より少ないが、全体で比較すると平年の2696Bcfに比べて在庫は2947Bcfと約1割増加している。

表3 天然ガス地域別在庫(出展元 EIA)

地域別在庫量今週(Bcf/日量)前週(Bcf/日量)平年同時期(Bcf/日量)
東海岸696716625
中西部815851736
山岳部151161150
太平洋岸220235244
南部10651076940
全体294730392696
天然ガス輸出量の今後

次に将来的なアメリカ産の天然ガスの輸出について触れておきたい。アメリカの天然ガスは大きく分けて2通りで輸出されている。一つの方法はパイプラインを使った方法で、今年メキシコに向けた新しいパイプラインが2ルート完成する。これらは2019年に完成を予想していたものであるが工事が遅れていた。一方はメキシコ中部から南部へ日量1.2Bcf、もう一方はメキシコ西部に日量0.5Bcfの天然ガスを輸出する見込み(図2左薄青)。もう一つはLNGとしての輸出で昨年の新しいLNG輸出基地の稼働によって2018年の平均日量3Bcfに比べて2019年に平均日量5Bcfとなり、2020年は平均日量6.5Bcf、更に2021年には平均日量7.7Bcf(最大日量10.8Bcf)と増加する見込み(図2右)。

図2(左) 天然ガスのパイプライン輸出量
図2(右) 天然ガスのLNG輸出量(出展元 EIA)
まとめ

今週の在庫の取り崩し量は前週を上回ったが、需要の少なかった前週に比べて需要が平年並みとなったためで、在庫量は平年より10%多い水準にある。今後も暖かい日が続く見込みで、2月初旬までは在庫の増加が価格を抑制すると考えている。今年の天然ガス需要についてはこれまで紹介してきたLNGの輸出増に比べてメキシコ向けの天然ガスのパイプライン輸出が日量最大1.7Bcf増加する見込みとなっており、天然ガスの輸出需要は日量15~16bcfに達する見込み。今年後半には需要増加が在庫の減少(200~300Bcfの減少)として現れて、生産量の増加を相殺することで、昨年並みに上昇するのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。