新型コロナウイルスの流行(つらつらコラム1月28日)

 

コロナウイルスの流行発生

連日コロナウイルスの流行が広がっていることが報道されている。実際には12月にはWHOに発生が報告されていたが、流行の拡大が表面化した1月21日の朝方には原油価格や株価に影響が出始めた。原油価格は世界経済の減速に伴う需要下振れ懸念で下落が続いている。今日の朝時点の発表で罹患者約4500人、死者は106人となった。今日はこのコロナウイルスの影響がどれだけ続く可能性があるのか過去の事例を探してみたので紹介する。

図1 原油時間足チャート(1/17-1/28)(出展元 サクソバンク証券)
春節による影響

中国の原油の消費は一日当たり、およそ1300万バレルと全世界の消費量の約1億バレルの1割強を占めている。今年の春節は海外旅行者700万人といわれているが国内旅行者はのべ29億人と推測されており、旅行需要が非常に大きくなる。今回既に団体旅行の中止や国内の観光スポットが閉鎖されていることで、休暇期間中の個人消費の増加分(19年実績で約16兆円、2017年の中国のGDP1200兆円の1.5 %以上)が失われることも含めて大きな影響が出ることは間違いない。

伝染病による価格の変動の推定

今回は宣言に至っていないがWHOが非常事態宣言を出した伝染病は、新型インフルエンザやジカ熱、エボラ出血熱などが挙げられるが、今回のコロナウイルスと発生地・症状などが類似しているケースとしては2003年のSARSが挙げられている。下図はブルームバーグが作成したSARSの際の原油価格の変動で、2003年2月に流行の始まったWHOの警告が出てから120ドルを超えていた原油価格が約10ドル下落したことがわかる。ゴールドマンサックスのレポートによると、今回のウイルス流行で世界の原油消費は航空燃料を中心に日量26万バレル減少し、原油価格は2.9ドル下落すると予想している。21日から現在までに5ドル以上下落しており、既にレポートの予想を上回っている。

SARS virus spurred a plunge in global commodities during 2003 outbreak
図2 SARS流行時の原油価格(出展元 ブルームバーグ)
まとめ

最後に中国で発生しているコロナウイルスの原油価格への影響について過去の事例から推測をしてみたい。SARSの際は流行に対して警告が発せられてから半月で約10ドル率にして8%下落している。今回のコロナウイルス流行では21日から5ドル以上下落しており、既に9%の下落率となっている。大きな人口を抱える中国で大型移動が行われる春節と重なったことで、SRASより大流行の懸念が強いと考えられる。発生地や公共交通機関の封鎖など対策は行われつつあるが、SARSの事例を見ると、今後も1週間程度は下落が続き50ドルに迫る可能性があると考えている。また、正確な時期は分からないが、患者数が頭打ちになる頃からは平時相場に戻り、上昇すると考えている。自己防衛も含めて日々報道される流行の現状に耳を傾けておきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。