エネルギー速報:10月のEIAエネルギー短観(つらつらコラム10月13日)

ダイジェスト

今日は今月発表のEIAのエネルギー短観を紹介したい。

原油短観
価格
図1 WTI原油価格の予想(出展 EIA)

図1はWTI原油の価格推移(黒線)とEIAによる予想(青線)を示している。9月のWTI原油平均価格は1バレル当たりおよそ41ドルで8月以来40ドル近傍で安定して推移している。8月から9月はドライブシーズンで本来なら原油消費が増える季節であるが、原油需要の回復は日量100万バレルとなっている。EIAは原油需要がこのまま伸びて、2020年第4四半期には日量300万バレルの在庫消費に転じ、2021年には2020年の平均日量9280万バレルに比べて、日量630万バレル需要が増加すると予測している。一方で積み上がった原油在庫と、原油生産余力が上値を抑えるため、2021年は1バレル45ドル近傍で推移するとしている。9月の予測より原油需要が日量30万バレル引き下げられたが、EIAは強気の見通しを崩していない。

需要と供給、在庫
図2 世界原油生産、需要、在庫増減の予想(出展 EIA)

図2は世界全体の原油の需要(緑線)と供給(青線)、需給の差となる在庫増減の推移と今後の予測(点線以後)を示している。

2020年9月の世界の原油の推定需要は日量9530万バレルで、前年同時期に比べて640万バレルの減少となっている。最も落ち込みの大きかった2020年の第2四半期に前年比で1580万バレルの需要減少となったことと比べると、需要は回復していると言える。
2020年全体の世界の平均原油需要予想は日量9280万バレルと前月から30万バレル引き下げられた。2021年の需要は年平均9910万バレルとしておりこちらも9月の予想から100万バレル下方修正されている。
世界の原油在庫は新型コロナウイルスの感染拡大による需要の急減で今年の前半は1日日量730万バレルの割合で在庫が増加していたが、第3四半期には日量310万バレル在庫が減少するまで需要が回復し需要が供給を上回る。第4四半期には需要と生産が共に伸びて日量300万バレルの割合で在庫が減少すると予測する。2021年には生産が伸びることから平均で日量30万バレルの在庫減少となると予測する。
アメリカ国内では2020年の原油生産量は日量1150万バレル、2021年には1120万バレルと予想している。生産増加が前回の予測より大きかったことを反映して、前回予想より2020年で10万バレル、2021年で10万バレル多い値となっている。繰り返しになるが、世界需要と供給は既に需要が供給を逆転しており、第4四半期には大きく在庫が減少すると予測している。

天然ガス短観
価格
図3 天然ガス価格の予想(出展 EIA)

図3は天然ガス価格の推移と予想を示している。9月のヘンリーハブのスポット価格は1MMbtu当たり1.92ドルだった。EIAは今後の天然ガス生産が伸び悩むとの予測から、2021年には3.13ドルとなると予想している。ただ、予想価格は前月からほぼ据え置かれた

在庫と消費、生産

アメリカ国内の天然ガスの在庫は現在3.8Tcfで、昨年までの過去5年間の平均より12%在庫が多くなっている。今後も在庫は増加して10月末には4.0Tcfと過去最大の在庫となる見通しには変化はない。それ以降は、今年の冬の消費は例年より多いと予測しているため、来年3月末の在庫は1.7Tcfと過去5年の平均より6%少なくなるとしている。
2020年のアメリカの天然ガス消費予測量は平均日量83.7Bcfで2019年と比べて1.8%減少となる。8月の予測(3.0%減少)より需要の増加で減少幅が減っている。
アメリカの2020年の天然ガスの生産量は平均日量90.6Bcfとなり、2019年に達成した平均日量93.1Bcfに及ばないものの、生産量の回復が見られる。今後はいったん生産が減少し2021年5月に85.9Bcfで底となった後、原油価格上昇・生産量上昇に対応して2021年の第2四半期にはガスの生産量が回復し始め、2021年の生産量は平均日量86.8Bcfとなると予測している。
アメリカのLNG輸出量は2020年9月に日量4.9Bcfとなり、8月から1.2Bcf増加した。ヨーロッパとアジアの天然ガス市場が改善しているため、今後はさらに輸出量が増加し、年末には9.0Bcfを超え、コロナウイルス流行前の水準へ戻ると予測している。

今後の見通しとリビアの生産回復

EIAのエネルギー短観を紹介したが、筆者はEIAの予測より早期に生産過剰となり、1バレル40ドルを維持することは、リビアやアメリカで原油の増産しているため難しいのではないかと考えている。例えば、先日リビアの生産再開をお伝えしたが、最新情報ではリビアの輸出量は石油公社の計画を上回り、先週の時点で日量30万バレルまで回復した。更に日曜日にシャララ油田の封鎖が解除され生産が回復すると報道された。この油田は日量4万バレルで生産を再開するが、元来日量30万バレルの生産能力があるため、治安面から不確実性はなおあるものの、早期にリビア全体の輸出能力は50万バレルを超える可能性があるとS&Pグローバルプラッツ社は予想している。また、アメリカでは原油採掘用リグ数が増加を続けており、原油生産も回復を続けている。これらに対応してOPECプラスが減産を来年も維持するともいわれており、筆者は原油の供給側の情報に注目している。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。