エネルギー速報:EIAによる11月のシェールオイル・ガスの生産量予測(つらつらコラム10月15日)

ダイジェスト
EIAによるシェール原油・天然ガス生産予測

先日EIAがシェール地域における生産性レポートの中で、11月の原油・天然ガス生産量の予測を発表している。今日は予測内容を紹介する。

原油・天然ガス生産量予測

表1はEIAが発表したシェールオイル、シェールガスを生産している7つの地域についての今月の生産量予測と来月の生産量予測の比較となっている。10月の予測生産量と11月の予測生産量の比較で実測値でないことには注意。原油は生産量の少ないHaynesvilleを除いた6つの地域で11月の生産量が全てマイナスとなると予測しており、EgleFordやNiobaraを中心に日量12.1万バレルの減産となる。一方で天然ガスにおいても7つの地域すべてで11月の生産量がマイナスになると予測していて、こちらはApparachiaやEagleFordを中心に0.6Bcfの減産となる見込み。

表1 原油(左 単位1000バレル/日)・天然ガス(右 単位Mcf/日)生産量予測比較
(出展元 EIA) *()内の数字はマイナスを意味する
新規井戸1か所当たりの生産量(生産性)

表2は新規の井戸1か所当たりの生産量、つまり井戸の生産性を見たもので、Anadarko地域を除けば、全ての地域で生産性は向上している。また、各地域には新規井戸とレガシーと呼ばれる採掘開始から時間を経た古井戸があり、両者の生産量の合算が全体の生産量となっている。シェールエネルギーの特徴として、井戸の生産量は新規井戸のころが最大で、レガシー井戸になると生産期間の長さに反比例して生産量は必ず減少する。

表2 新規井戸1か所当たりの原油(左 単位バレル/日)・天然ガス(右 単位1000cf/日)
予測生産量の比較(出展元 EIA)


図1はParmian地域の原油生産量の10月の予測生産量と11月の予測生産量の差分を取った例となっている。来月までに新規井戸で日量15.9万バレルの生産増加、レガシー井戸分で日量17.6万バレルの減産となり、差し引き日量1.7万バレルの減産となっている。つまり、EIAレポートでは新型コロナウイルスの流行の中で費用の必要な新規井戸の投入が絞られた結果、古井戸を十分に代替できておらず11月には減産となると予測している。EIAの予測は先月も減産を予測しており、9月のレポートでの10月の予測生産量は原油が764.0万バレル、天然ガスが80.59Bcfだった。対して今日紹介した今月のレポートでは10月の予測生産量は原油が781.3万バレル、天然ガスが82.40Bcfとなっており、予測が過小となる傾向がある。

図1 Permian地域での原油生産量内訳(出展元 EIA)
DUC(掘削済み未完成井戸)の数

DUCは掘削されたが未完成で生産を開始していない井戸のことを示している。生産を開始すると新規井戸となる。持続的なシェールエネルギーの生産のために、井戸は常に一定数掘削されており、DUCは生産が安定している時は横ばい、生産が増加する場合は減少すると考えられる。現在、HaynesvilleとNiobaraを除く5地域で井戸の数が減少しており、新規井戸の投入数が増加して原油や天然ガスの増産にシフトしていると推定できる。

表3 地域別DUCの数の推移(出展元 EIA)
今後の見通し

今日はEIAによるシェール地域での11月の原油・天然ガス生産量予測を紹介した。レポートでは原油・天然ガスともに生産量が減少傾向にあるとしている。筆者は原油採掘用リグの最近の増加傾向やシェール地域のDUCが減少していることから考えて、生産量の過小評価となっており、減産となったとしても古い井戸を新しい井戸に更新する際の一時的な減産と考えており、今年夏の生産回復のスピードを見てもEIAが先日紹介した短観などで予測しているように2020年(EIA予想日量1150万バレル)に比べて、2021年(EIA予想日量1120万バレル)が定常的な減産とはなる事態にはならないのではないかと考えている。
アメリカ外に目を向けると、今日朝の報道でロシアはこれまでの減産案を維持し、1月からOPECプラスの減産幅を現在の日量770万バレルから日量570万バレルへ減らすことを支持している。元来、ロシアは冬季の減産はパイプライン・油田等の凍結の問題から不可能と主張しているため驚きはない。一方でサウジアラビアは減産幅の770万での維持を企図していると報道されており、各種の予想で将来の原油需要が引き下げられる傾向にある中で、これから12月の会合までに駆け引きが行われることが予想されるので注意していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。