エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析10月16日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIA週間原油統計では原油在庫は381万バレル減少となった。原油生産量はハリケーン「デルタ」による減産が響き50万バレル減少した日量1050万バレルとなった。原油の輸出入は315万バレルの輸入超過で、前週と比べて輸入が44万バレルの減少、輸出が52万バレルの減少となった。製油所投入量が27万バレルの減少となった。戦略備蓄(SPR)は16万バレルの放出が行われている。結果供給が94万バレルの減少、需要が79万バレルの減少となり、需要減以上に供給減となったことによる在庫減少だった。
石油製品ではガソリン在庫が162万バレルの減少、留出油在庫は724万バレルの減少となった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は20億4320バレルと前週比で約1790万バレルの減少となった。一方でオクラホマ州クッシングの原油在庫は290万バレル増加で5週間連続の増加となった。

原油と石油製品の在庫

原油在庫が381万バレル減少となり、SPRを除く在庫は4億8910万バレルとなった。ガソリン在庫は162万バレルの減少、留出油在庫は724万バレルの減少となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は290万バレルの増加となっている。

API統計 EIA統計EIA統計前週EIA統計2週前 EIA統計3週前 
原油(万バレル)542減381減50増198減163減
ガソリン(万バレル)151減162減143減68増402減
留出油(万バレル)393減724減96減318減336減
クッシング在庫(万バレル)220増290増47増178増0.4増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

今週の原油生産量は日量1050万バレルと前週比で50万バレルの減少となった。ハリケーンの接近による生産減少が響いた。今週の原油輸入は前週と比べて1日当たり44万バレル減少した528万バレルに、輸出は先週より52万バレル減少した213万バレルとなった。輸入の内訳は日量でカナダ産309万バレル(前週358万バレル)、サウジアラビア産44万バレル(前週42万バレル)、メキシコ産26万バレル(前週45万バレル)、イラク産11万バレル(前週4万バレル)、コロンビア産7万バレル(前週35万バレル)、エクアドル産22万バレル(前週14万バレル)、ブラジル産21万バレル(前週7万バレル)等でカナダや南メキシコからの輸入が減少し、ブラジルやエクアドルからの輸入が増加した。輸出入は日量315万バレルの輸入超過だった。今週、Adjustmentは78万バレルとなり前週の31万バレルから47万バレルの減少となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるもので、今週はAdjustmentで在庫を減少させる形の調整となった。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)105011001070107010721260
戦略備蓄増加(万バレル/日)-16-16-25-11-17-18
原油輸入(万バレル/日)528573512516532629
原油輸出(万バレル/日)213265351302283324
Adjustment(万バレル/日)-78-318117-293
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が2.0%低下した75.1%となり、製油所への原油投入量は日量約27万バレル減少した1357万バレルとなった。前年の83.1%に比べると今週の稼働率も8%程度低い。石油製品の生産では前週と比較してガソリン生産量が日量約28万バレル減少した924万バレル、ジェット燃料の生産は約5万バレル減少した74万バレル、留出油の生産量は26万バレル減少した426万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)135713851367133713611543
製油所稼働率(%)75.177.175.874.875.783.1
ガソリン生産(万バレル/日)  924952889931924998
ジェット燃料生産(万バレル/日)7479877880162
留出油生産(万バレル/日)   426453435447440468
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)では前週と比較してガソリン供給が前週から日量32万バレル減少した857万バレル、ジェット燃料の供給は27万バレル増加した117万バレル、留出油の供給は前週と比べて31万バレル増加した417万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)857889852851862935
ジェット燃料供給(万バレル/日)11790859396161
留出油供給(万バレル/日)417386365395391408
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

前週と比べて製油所の稼働率は2.0%低下し、原油消費量は日量27万バレルの減少となった。石油製品ではガソリンの生産量が前週比で28万バレルの減少、供給量は32万バレルの減少となった。ガソリンの輸入量は45万バレル減少したが、輸出量も18万バレルの減少となった。生産量と供給量はほぼ同量減少したが、輸入量が輸入量に比べて減少したことで、ガソリン在庫が減少した。留出油の生産量は27万バレルの減少、供給量は31万バレルの増加となった。また、輸入量が7万バレル減少した一方で輸出量が25万バレルの増加となった。生産量の減少と供給量の増加、輸入量の減少と輸出量の増加が在庫減少の要因となった。ジェット燃料の生産量は5万バレルの減少、供給量は27万バレルの増加となった。航空需要の減少から供給(需要)は今週も前年の7割程度となった。石油製品全体の供給(需要)量は日量1947万バレルと、前週の1834万バレルに比べて約113万バレルの増加となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は20億4320万バレルと前週から約1790万バレルの大幅減少となった。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となる。今週はガソリンの供給量は減少、ディーゼル燃料の供給量は増加した。ガソリン卸売価格は約6セントの上昇、ディーゼル燃料の卸売価格は前週から約11セントの上昇となった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/9  10/2  9/25  9/18  9/11  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.2521.1871.2561.2881.1551.759
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.1941.0881.1271.1711.0371.966
原油
(ドル/バレル)
40.4436.9040.0641.0937.3354.76
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなる。今週もガソリン価格、ディーゼル燃料価格ともに1ガロン当たり1セント以下の変動でほぼ横ばいだった。

小売価格10/12  10/5  9/28  9/21  9/14  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1672.1722.1692.1682.1832.629
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5792.5832.5832.5822.6003.085
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8292.8332.8312.8362.8513.345
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.3952.3872.3942.4042.4223.051
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週のEIAの統計ではハリケーン「デルタ」がメキシコ湾の海上油田地帯を直撃し生産量が大きく減少したことから、アメリカの原油生産は1050万バレルと50万バレルの減少となった。需要側では製油所の稼働率が2.0%低下し、原油の消費量は日量27万バレルの減少となった。原油の輸出入では315万バレルの輸入超過だったが、前週比で44万バレル輸入量が減少したのに対して輸出量も52万バレルの減少となった。生産量と輸入量の減少が消費量と輸出量の合計を上回ったことが在庫減少の要因となっている。次に主要石油製品を見ていくとガソリンについては原油と同様に生産量と輸入量の減少が、供給量と輸出量の減少量を上回ったことでガソリンの在庫が減少している。留出油は生産量減少と供給量増加、輸入量の減少と輸出量の増加となったため在庫が大きく減少した。前週より石油製品の出荷は日量113万バレル増加し、全ての石油製品と原油を合わせた在庫量は、20億4320万バレルと前週比で約1790万バレルの大幅な減少となった。市中のガソリン、ディーゼル燃料の価格は横ばいとなっている。
ハリケーン要因によるアメリカ国内の原油生産の減少と輸入量の減少が原油在庫の減少の要因となっている。アメリカ国内の原油需要は減少している。ガソリン在庫についても同様にガソリン生産量の減少がガソリン供給量(市中への出荷)の減少を上回ったことで減少しており、ガソリン需要は全く伸びていない。留出油については生産量が減少となった一方で、供給量(市中への出荷)が増加したため在庫が大幅に減少している。
今週の原油相場は新型コロナウイルスの再拡大で、都市封鎖が拡大していることで、世界の原油需要の先行きへの不安は増しているが、原油相場は大崩れせず、39.00ドル付近から41.50ドル付近の間で推移している。中国の8月の原油輸入量が前年比で12.7%拡大していることが発表されたことは支援材料となっている。一方で、前週の上昇の原因となっていたハリケーンによる減産や、ノルウェーでのストライキが解決したこと、リビアの原油供給が当初の想定をやや上回る日量30万バレルと順調に回復していることに加えて、アメリカで稼働している原油採掘用リグ数が増加する等、原油供給は増加する傾向が見えている。今週のアメリカの原油在庫の減少は前述したとおり原油需要を要因にした減少ではなかった。クッシング原油在庫の増加がここ5週間続いていることは買い手の減少を示していると考えられるので、きっかけさえあれば暴落することが考えられる。まずは19日開かれるOPECプラスのJMMC(共同閣僚監視委員会)で来年1月以降のOPECプラスの減産幅縮小について情報が出てくるか、その動向に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。