エネルギー速報:リビアの原油生産回復とJMMC(つらつらコラム10月19日)

ダイジェスト
リビアの原油輸出の最新の状況

リビアの原油生産は先週のコラムで日量30万バレルまで回復とお伝えしたが、既に50万バレルまで回復したと伝えられている。予想以上にリビアの原油生産の回復ペースは早く、港湾再開合意から数週間で原油生産量が実に5倍となった。今後も反政府勢力との停戦維持がカギとなっているものの、IEAは年内に日量70万バレル程度まで、JPモルガン・チュースは来年3月までに日量100万バレル程度まで回復すると予測している。なお、リビアは今回の内戦前には日量120万バレルの原油を生産しており、内戦での石油関連設備の損壊は少ないこと伝えられていることと合わせると、実現可能性は非常に高いと考えられる。
また、タンカーの追跡データによれば、10月の最初の2週間で平均日量38.5万バレルの原油輸出が確認されている。9月の平均が1日21.3万バレルだったことを考えると輸出が倍増している。
リビアの油田と輸出港について位置関係は図1に示しており、最新情報は以下の通りとなっている。

再開済みの油田の産油量の合計は56.1万バレルとなり、原油生産が急速に回復している。更にシャララ油田の増産とエル・フィール油田再開だけで26.0万バレル上積みされた82.1万バレルの生産が可能な状態となる。

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図1 リビアの原油関連施設概略(出展元 ブルームバーグ)
JMMCと今後の見通し

OPECプラスは今日JMMC(共同閣僚監視委員会)をウィーンで開催する。11月30日から12月1日に予定されている全体会合までは来年1月以降の生産量についての決定はない、前回と同様減産枠の遵守強化というのが大方の市場予想だが、何らかの動きがあるかもしれない。当初のOPECプラスの予定では2021年1月以降に協調減産での減産量を現行の日量770万バレルから190万バレル緩和し580万バレルとする計画となっていた。しかし、新型コロナウイルスの感染の再拡大による原油需要の先行き見通し不安、リビア(OPEC加盟国だが内戦のため減産免除)やアメリカなど協調減産に参加していない産油国が生産を増加させていることが、原油価格を圧迫し始めている。OPECプラスの当初のシナリオでは需要回復で年内に原油在庫の増加がマイナスに転じ、2021年には日量190万バレルで在庫が減るとしていたが、この需要減と生産増でシナリオが狂っており、前週金曜日のJTC(共同技術委員会)では2021年に入っても在庫が日量20万バレル増加するというシナリオが討議されたと言われている。対応を迫られるOPECプラスの中でも見解は割れており、ロシアやUAEは予定通り減産枠縮小を進めるとの見解を既に示しているが、一方で減産枠の縮小を2~3か月延期するとの意見も内部で出ているという。減産枠が確定するまでは不安定な原油価格が続きそうだが、既に大量の在庫が積み上がった中で何とか均衡しているように見える現状で日量190万バレルの増産の決定が行われた場合、原油価格は到底維持できないと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。