穀物速報:クロッププログレスレポートと南米の干ばつ(つらつらコラム10月20日)

ダイジェスト
クロッププログレスレポートによる大豆・コーンの農作業進展状況

10月19日にUSDAから発表された最新のクロッププログレスレポートより2020/2021年シーズンの大豆とコーンの農作業の進捗状況について紹介する。10月18日の時点での大豆の落葉率と収穫率、コーンの成熟率と収穫率は以下の通り。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付率終了
大豆発芽率終了
大豆開花率終了
大豆着サヤ率終了
大豆落葉率97%93%91%95%
大豆収穫率75%61%40%58%
コーン作付率    終了
コーン発芽率終了
コーンシルキング率終了
コーンドウ率終了
コーンデント率終了
コーン成熟率97%94%82%94%
コーン収穫率60%41%28%43%
表1 大豆とコーンの作付率と発芽率

大豆・コーン共大幅に収穫が進展し、大豆が7割5分(前週6割)、コーンが6割(前週4割)となっている。このままのペースなら3週間で収穫もほぼ終了の見込み。州別のより詳細な農作業の進捗データはこちら

今期の作柄予想

表2に大豆の作柄予想を示す。今年の作柄予想の公開は終了。作柄は平年(Fair)以上が89%、豊作(Good)以上が63%、大豊作(Excellent)の割合は14%となっている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
最終38264914
表2 大豆の作柄予想(出展元 USDA)

表3はコーンの作柄予想を示す。平年並み(FairとGood、Excellent)以上の作柄が86%、豊作以上(GoodとExcellent)の割合は61%、大豊作(Excellent)の割合が15%でいずれも前週から据え置き。豊作以上の割合は前年の56%を上回っている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
3週前59254714
2週前49254814
前週59254615
今週59254615
前年410304511
表3 コーンの作柄予想(出展元 USDA)

コーンベルトの天候予報

図1は直近2週間の気温予報となる。2週間後までのコーンベルトは全体的に平年以下の気温となる見通し。図2は直近2週間の降水量予報で、コーンベルトの降水量は西側で平年以下、東側では平年並みとなる見込み。

干ばつの状況
ブラジル

図3はブラジルの10月上旬の降水量を見たもので、青枠で囲まれたマトグロッソ州、マトグロッソ・ド・スル州、パラナ州、ゴイアス州、サンタ・カタリーナ州、リオグランデ・ド・スル州の各州が、古くからブラジルの大豆とコーンの主要産地であるが、海岸部の一部を除いてほとんどの地域で降水量が10mm以下となっており、干ばつが広がっている。また、黒枠部分が、近年ブラジル産大豆の産地として収穫量が増えている北部のパラー州、トカンチンス州、マラニョン州、ピアウイ州、バイア州、ミナス・ジェライス州の各州を示している大豆の産地は黒枠内の地域の内陸側(セラード地帯)となっているが、同様に雨が少なく干ばつとなっている。

図3 ブラジルの降水量状況(10/4~10) (NOAA作成の図を筆者が加工)
アルゼンチン

アルゼンチンの大豆・コーン産地はパンパ地域で、図4の青枠内に示す、ラ・パンパ州、ブエノス・アイレス州、コルドバ州、エントレ・リオス州、サンタ・フェ州などだが、これらの地域でも降水量が1週間で10mm以下と非常に少ない地域が広がる干ばつとなっている。

図4 アルゼンチンの降水量状況(10/4~10) (NOAA作成の図を筆者が加工)
まとめ

大豆とコーンの農作業はほぼ収穫を残すのみとなり、かつ大幅に進展した。大豆では約7割5分の畑で、約6割の畑で収穫が終了した。今後のコーンベルトは、気温は平年以下に降水量は平年並みから平年以下の予報となっている。作柄では大豆の作柄予測の公開は終了。コーンの作柄は前週から据え置きとなった。穀物相場は中国向けの大口輸出成約の発表が少なくなっていることが気になるが、毎週発表されている輸出検証高や成約高は前年度の実績を大幅に上回っており、輸出期待が支援材料となっている。今後もUSDAから出される大口成約の発表には注意したい。
アメリカ以外の産地に目を向けると、これから作付けとなる南半球の大豆とコーンの主要産地であるアルゼンチンやブラジルでは干ばつが続き作付け作業や作物の生育に影響が出ている。中国はこれらの南米地域から大量の穀物を輸入してきたが、今後干ばつで収穫量が落ち込むことになれば、アメリカ産農産物を購入せざるを得ないと考えられる。アメリカ産の大豆やコーンは今シーズン大豊作となったものの、中国の洪水による中国向けの輸出拡大期待が市場価格を支えていた。これに南米の干ばつが加わり、更に需要が高まることになれば、今まで以上に穀物相場が高騰する可能性があると筆者は考えている。来年春まで南米の天候情報に注意していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。