エネルギー速報:JMMC閉幕(つらつらコラム10月21日)

ダイジェスト
JMMC(共同閣僚監視委員会)の結果

23回目となるOPECプラスのJMMCが19日に開催された。会議の中では9月17日の前回会合以来の原油市場の動向やJTC(合同技術委員会)で討議された月次報告書が討議された。会議では前月の原油生産のデータに基づいた減産の遵守率が102%となり、5月以降で最高の遵守率であることが確認された。この他、これまでに過剰生産となった分の補償のための追加減産が日量24.9万バレルとなったことが示された。過去の過剰生産の補償として追加減産が約束された量を協調減産の減産枠へ加えて、減産遵守率を計算すると約束された量の96%にしかならず、100%には足りていない。このため補償減産を実施すると約束した国の一層の努力を奨励して閉幕した。この内容は事前の市場予想の通りで、一部で期待されていた欧米での新型コロナウイルス感染拡大とロックダウンの再開による需要減を補うため、来年1月以降の減産幅縮小の延期といった世界の原油の供給縮小に繋がる提言などは行われなかった。このため市場の反応はほとんどなかった。次回のJTCは11月16日、JMMCは11月17日、OPECプラスの総会は11月30日、12月1日に予定されている。
今月の補償減産についてはUAEが最大となる日量31万バレルの減産を行ったが、OPECプラス内の国々による増産がほぼ相殺し、OPEC全体の生産量は日量4万バレル増加した2443万バレルとなった。中でもリビアの増産は特筆すべきものがあったが、減産遵守率の低いイラクは8月には日量8万バレルの補償のための減産を行ったが、9月には逆に9万バレルの増産、協調減産を免除されているベネズエラは9月に日量9万バレルの増産、イランも日量2万バレルの増産となった。

リビアの最新情報(月曜日の情報を改訂)

月曜日のコラムで再開済みの油田の産油量が計算上56.1万バレルに達したとお伝えしたが、更に続報があるのでお伝えする。図1はリビアの主な原油関連施設の地図となるが、19日に東部ベンガジ近郊にある日量7万バレルを生産可能なアブ・アティフェル油田が再開、次に同じく東部のズエイティナ港の近郊にある日量7万バレルを生産可能なズエイティナ油田が再開に入ったと伝えられた。またシャララ油田も増産が順調に進んでおり10日ほどで最大生産量の8割に当たる日量25万バレルまで生産が増強される予定。

これで再開済みの油田の産油量の合計は67.1万バレルとなり、先週末から考えても10万バレル以上原油生産が増加している。更に近日再開予定の油田を合わせると24.0万バレル上積みされた日量91.1万バレルに達して、内戦前の生産量を120万バレルとしたときの76%まで回復することになる。

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図1 リビアの原油関連施設概略(出展元 ブルームバーグ)
今後の見通し

OPECプラスが開催した今月のJMMC(共同閣僚監視委員会)は大方の市場の予想通り、前回と同様に減産枠の遵守奨励で終了し、原油市場には大きな影響はなかった。会議ではリビアの増産について前週のJTCに続いて討議されたとされているが、リビアの原油生産は前週末からだけでも10万バレル増と急速に進んでいる。筆者が集めた情報が確かなら、月内に日量90万バレルに達し、IEAの年内70万バレルをはるかに超え、モルガン・スタンレー・チュースが来年3月と予測していた日量100万バレルに迫る見通し。ただ、リビアの原油輸出港の一部が再開していないため、生産した原油全てを輸出できるかは不透明ではあるが、これでOPECプラスの減産幅縮小シナリオは完全に狂ったのではないだろうか。リビア以外にも、OPECプラス外のベネズエラやイランの増産も伝えられている中で、もはやOPECプラスに残されたシナリオは減産幅の縮小延期、場合によっては上積みしかないのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。