エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析10月22日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIA週間原油統計では原油在庫は100万バレル減少となった。原油生産量はハリケーン「デルタ」による減産の影響が残ったため前週より60万バレル減少した日量990万バレルとなり、1000万バレルを割り込んだ。原油の輸出入は208万バレルの輸入超過だった。内訳では前週と比べて輸入が16万バレルの減少、輸出が60万バレルの増加、原油の製油所投入量は55万バレルの減少の1302万バレルとなった。また、戦略備蓄(SPR)は10万バレルの放出が行われている。今週は、生産減と輸出需要の増加による原油在庫減少だった。
石油製品ではガソリン在庫が189万バレルの増加、留出油在庫は383万バレルの減少となり、原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は20億3520バレルと前週比で約800万バレルの減少となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は97万バレルの増加で今週も増加し6000万バレルの大台を超えた6041万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫

原油在庫が100万バレル減少となり、SPRを除く在庫は4億8810万バレルとなった。ガソリン在庫は189万バレルの増加、留出油在庫は383万バレルの減少となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は97万バレルの増加となっている。

API統計 EIA統計EIA統計前週EIA統計2週前 EIA統計3週前 
原油(万バレル)58増100減381減50増198減
ガソリン(万バレル)162減189増162減143減68増
留出油(万バレル)594減383減724減96減318減
クッシング在庫(万バレル)117増97増290増47増178増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

今週の原油生産量は日量990万バレルと前週比で60万バレルの減少となった。ハリケーンによる生産減少の影響が残った。今週の原油輸入は前週と比べて1日当たり16万バレル減少した511万バレルに、輸出は先週より90万バレル増加した303万バレルとなった。輸入の内訳は日量でカナダ産325万バレル(前週309万バレル)、サウジアラビア産26万バレル(前週44万バレル)、メキシコ産47万バレル(前週26万バレル)、イラク産19万バレル(前週11万バレル)、コロンビア産22万バレル(前週7万バレル)、エクアドル産4万バレル(前週22万バレル)、ブラジル産5万バレル(前週21万バレル)等でカナダや南メキシコからの輸入が増加し、ブラジルやエクアドルからの輸入は減少した。輸出入は日量208万バレルの輸入超過だった。今週、Adjustmentは79万バレル増加となり前週の78万バレル減少から157万バレルの増加となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるもので、今週はAdjustmentで在庫を増加させる形の調整となった。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)99010501100107010721260
戦略備蓄増加(万バレル/日)-10-16-16-25-17-18
原油輸入(万バレル/日)511528573512532629
原油輸出(万バレル/日)303213265351283324
Adjustment(万バレル/日)79-78-3181-293
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が2.2%低下した72.9%となり、製油所への原油投入量は日量約55万バレル減少した1302万バレルとなった。前年の85.2%に比べると今週の稼働率も10%以上低い。石油製品の生産では前週と比較してガソリン生産量が日量約29万バレル減少した895万バレル、ジェット燃料の生産は約4万バレル増加した78万バレル、留出油の生産量は13万バレル減少した413万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)130213571385136710521260
製油所稼働率(%)72.975.177.175.875.285.2
ガソリン生産(万バレル/日)  8959249528899141003
ジェット燃料生産(万バレル/日)7874798780164
留出油生産(万バレル/日)   413426453435432476
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)では前週と比較してガソリン供給が前週から日量29万バレル減少した828万バレル、ジェット燃料の供給は20万バレル減少した97万バレル、留出油の供給は前週と比べて59万バレル減少した358万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)828857889852857959
ジェット燃料供給(万バレル/日)97117908597208
留出油供給(万バレル/日)358417386365382407
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

前週と比べて製油所の稼働率は2.2%低下し、原油消費量は日量55万バレルの減少となった。石油製品ではガソリンの生産量が前週比で39万バレルの減少、供給量も39万バレルの減少となった。ガソリンの輸入量は11万バレル増加したが、輸出量は3万バレルの減少となった。生産量と供給量はほぼ同量減少で、輸出量が輸入量に比べて増加したことで、ガソリン在庫が増加した。留出油の生産量は13万バレルの減少、供給量は59万バレルの大幅減少となった。また、輸入量が1万バレル減少し、輸出量も4万バレルの減少となった。生産量の減少以上に供給量が減少したことが、在庫減少幅の縮小の要因となった。ジェット燃料の生産量は4万バレルの減少、供給量は20万バレルの増加となった。航空需要の減少が続いており供給(需要)は前年の5割程度となった。石油製品全体の供給(需要)量は日量1811万バレルと、前週の1947万バレルに比べて約136万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は20億3520万バレルと前週から約800万バレルの大幅減少となった。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となる。今週はガソリンの供給量は減少、ディーゼル燃料の供給量は増加した。ガソリン卸売価格は約4セントの下落、ディーゼル燃料の卸売価格は前週から約1セントの下落となった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/16  10/9  10/2  9/25  9/18  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.2151.2521.1871.2561.2881.751
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.1831.1941.0881.1271.1711.961
原油
(ドル/バレル)
40.7040.4436.9040.0641.0953.75
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなる。今週もガソリン価格、ディーゼル燃料価格ともに1ガロン当たり1セント程度の変動でほぼ前週から横ばいだった。

小売価格10/19  10/12  10/5  9/28  9/21  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1502.1672.1722.1692.1682.638
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5652.5792.5832.5832.5823.089
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8152.8292.8332.8312.8363.340
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.3882.3952.3872.3942.4043.050
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週のEIAの統計では過去のハリケーン「デルタ」がメキシコ湾の海上油田地帯を通過し生産量が大きく減少した影響が残り、アメリカの原油生産は990万バレルと60万バレルの減少となって1000万バレルを割り込んだ。需要側では製油所の稼働率が2.2%低下し、原油の消費量は日量55万バレルの減少となった。原油の輸出入では208万バレルの輸入超過だったが、前週比で16万バレル輸入量が減少したのに対して輸出量が90万バレル大幅増加となった。生産量の減少と輸出量の増加で原油在庫は減少した。次に主要石油製品を見ていくとガソリンについては前週と比べて、生産量と供給量が同程度の減少となったが、輸入量増加したのに対して輸出量が減少したことでガソリンの在庫が増加している。留出油は生産量減少より供給量減少が上回り、前週より在庫の減少量が減った。前週より石油製品の出荷は日量136万バレル減少し、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、20億3520万バレルと前週比で約800万バレルの減少となった。他方、市中のガソリン、ディーゼル燃料の価格は1セント程度の変動でほぼ横ばいとなっている。
今週のアメリカ国内の原油生産は減少したことに加えて、輸出量の増加が原油在庫の減少の要因となっているが、製油所の稼働率は今週も2週連続で2%以上の低下となった。ハリケーンの影響もありまだ確かなことは言えないが、筆者はアメリカ国内の原油需要が減少しているのではないかと考えている。来週以降のデータを注視したい。石油製品については、ガソリン生産量とガソリン供給量(市中への出荷)ともに減少しており、ガソリン需要は全く伸びていない。留出油については供給量(市中への出荷)が大幅減となり、在庫の減少幅が小さくなった。石油製品の供給面からみると少なくも需要は伸びていないと言える。
今週も新型コロナウイルスの再拡大で欧州各国で都市封鎖が拡大し、世界の原油需要の先行きへの不安は増した他、リビア産原油の産油量が50万バレル超え、大幅に増産されたこと、リグ数が12基と大幅増となったことなどが懸念材料となったものの原油相場は大崩れせず、むしろアメリカ政府による追加経済対策の協議への期待感を支援材料として底堅く推移し、39.50ドル付近から41.50ドル付近のの値動きとなった。また、19日に開かれたOPECプラスのJMMC(共同閣僚監視委員会)では、これまで通り減産率の達成と、過去の減産破りの補償減産を奨励するという内容で、ほとんど原油相場には影響しなかった。一方で、クッシング原油在庫は今週も増加が続き、6000万バレルの大台を超えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。