エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析10月29日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIA週間原油統計で、原油在庫は432万バレル増加となった。アメリカの原油生産量はハリケーン「デルタ」による減産の影響がなくなり、前週より120万バレル増加した日量1110万バレルとなりハリケーン前の生産量を回復した。原油の輸出入は220万バレルの輸入超過だった。内訳では前週と比べて輸入が54万バレルの増加、輸出が42万バレルの増加となっている。原油の製油所投入量は36万バレル増加した1338万バレルとなった。戦略備蓄(SPR)は9万バレルの放出が行われている。今週の原油在庫は生産増加と輸入量の増加で在庫減少となった。石油製品ではガソリン在庫が89万バレルの減少、留出油在庫449万バレルの減少となり、原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は20億3060バレルと前週比で約460万バレルの減少となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は42万バレルの減少で、総量は5999万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫

原油在庫が432万バレル増加となり、SPRを除く在庫は4億9240万バレルとなった。ガソリン在庫は89万バレルの減少、留出油在庫449万バレルの減少となった。WTIの指標として使われるオクラホマ州クッシングの原油在庫は42万バレルの減少となっている。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前 
原油(万バレル)456増432増100減381減50増
ガソリン(万バレル)225増89減189増162減143減
留出油(万バレル)533減449減383減724減96減
クッシング在庫(万バレル)14増42減97増290増47増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

今週の原油生産量は日量1110万バレルと前週比で120万バレルの増加となった。ハリケーンによる生産減少の影響から脱した。今週の原油輸入は前週と比べて1日当たり55万バレル増加した566万バレルに、輸出は先週より42万バレル増加した346万バレルとなった。輸入の内訳は日量でカナダ産344万バレル(前週325万バレル)、サウジアラビア産22万バレル(前週26万バレル)、メキシコ産54万バレル(前週47万バレル)、イラク産9万バレル(前週19万バレル)、コロンビア産29万バレル(前週22万バレル)、エクアドル産20万バレル(前週4万バレル)、ブラジル産0万バレル(前週5万バレル)等でカナダや南メキシコからの輸入が増加し、南米諸国や中東諸国からの輸入は減少した。輸出入は日量220万バレルの輸入超過だった。今週、Adjustmentは60万バレル増加となり前週の79万バレル増加から19万バレルの減少となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるもので、今週は前週に引き続きAdjustmentで在庫を増加させる形の調整となった。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)11109901050110010621260
戦略備蓄増加(万バレル/日)-9-10-16-16-13-100
原油輸入(万バレル/日)566511528573545669
原油輸出(万バレル/日)345303213265282332
Adjustment(万バレル/日)6079-78-31774
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が1.7%上昇した74.6%となり、製油所への原油投入量は日量約36万バレル増加した1338万バレルとなった。前年の87.7%に比べると今週の稼働率は依然として10%以上低い。石油製品の生産では前週と比較してガソリン生産量が日量約32万バレル増加した927万バレル、ジェット燃料の生産は約6万バレル増加した84万バレル、留出油の生産量は1万バレル減少した412万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)133813021357138513461599
製油所稼働率(%)74.672.975.177.174.987.7
ガソリン生産(万バレル/日)  9278959249529111020
ジェット燃料生産(万バレル/日)8478747979168
留出油生産(万バレル/日)   412413426453426497
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)では前週と比較してガソリン供給が前週から日量26万バレル増加した854万バレル、ジェット燃料の供給は4万バレル増加した101万バレル、留出油の供給は前週と比べて66万バレル増加した424万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)854828857889857978
ジェット燃料供給(万バレル/日)1019711790101183
留出油供給(万バレル/日)424358417386396426
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

前週と比べて製油所の稼働率は1.7%上昇し、原油消費量は日量38万バレルの増加となった。石油製品ではガソリンの生産量が前週比で32万バレルの増加、供給量も26万バレルの増加となった。ガソリンの輸入量は2万バレル減少し、輸出量も16万バレルの減少となった。生産量と供給量はほぼ同量減少となったが供給量が大きくガソリン在庫が減少した。留出油の生産量は13万バレルの減少、供給量は59万バレルの大幅増加となった。また、輸入量が19万バレル増加したが、輸出量は37万バレルの減少となった。生産量の減少し供給量が増加したことが、在庫減少幅の縮小の要因となった。ジェット燃料の生産量は6万バレルの増加、供給量は4万バレルの増加となった。航空燃料需要の低迷が続いており供給(需要)は前年の5割程度となっている。石油製品全体の供給(需要)量は日量1963万バレルと、前週の1811万バレルに比べて約152万バレルの増加となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は20億3060万バレルと前週から約460万バレルの減少となった。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となるが今週の値は未発表となっている。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/23  10/16  10/9  10/2  9/25  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
未発表1.2151.2521.1871.256未発表
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
未発表1.1831.1941.0881.127未発表
原油
(ドル/バレル)
未発表40.7040.4436.9040.06未発表
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなるが、今週の値は未発表となっている。

小売価格10/26  10/19  10/12  10/5  9/28  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
未発表2.1502.1672.1722.169未発表
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
未発表2.5652.5792.5832.583未発表
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
未発表2.8152.8292.8332.831未発表
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
未発表2.3882.3952.3872.394未発表
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週のEIAの統計では過去のハリケーン「デルタ」がメキシコ湾の海上油田地帯を通過し生産量が大きく減少した影響がなくなり、アメリカの原油生産は1110万バレルと120万バレル大幅増加となって1100万バレルを超えた。需要側では製油所の稼働率が1.7%上昇し、原油の消費量が日量38万バレルの増加となった。原油の輸出入では220万バレルの輸入超過だったが、前週比で55万バレル輸入量が増加したのに対して輸出量が42万バレルの減少となった。生産量の増加と輸入量の増加で原油在庫は増加した。次に主要石油製品を見ていくとガソリンについては前週と比べて、生産量と供給量が同程度の増加となったが供給量の方が多く在庫が減少した。留出油は生産量が13万バレル減少したのに比べて59万バレルの供給量増加となり在庫減少となっている。前週より石油製品の出荷は日量152万バレル増加し、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、20億3060万バレルと前週比で約460万バレルの減少となった。
今週は新型コロナウイルスの再拡大で欧州各国で、フランスやドイツが外出制限を含んだ1か月間の都市封鎖に踏み切るなど都市封鎖が強化されており、原油需要の伸び悩みが予測されている。また、リビア産原油の産油量が日量70万バレルを超えて、急速な増産が続いていることが懸念材料となっている。また、アメリカ国内のシェールオイル生産用リグ数が今週も6基増となって確実に増加しており、ハリケーンの影響がなくなった後も原油生産の増加が続くのではないかと考えている。クッシング原油在庫は今週は6週間ぶりに減少となり、ほぼ6000万バレルの水準となり4月の暴落時とほぼ同水準の状態が続いており、この面からはいつ暴落してもおかしくない水準と言える。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。