エネルギー速報:年末までの原油相場見通し(つらつらコラム10月5日)

 

ダイジェスト
リビアの原油生産再開の続報

リビアの原油生産が再開されてから2週間たった。前週は最小でも日量25万バレルの輸出が行われたと伝えたが、最新の情報によると原油生産実績は29.5万バレルまで増加した。月内にはHarigaから180万バレル、Zueitinaから300万バレルの合わせて480万バレルが輸出される予定。ただし、これはあくまで現在の予定のため今後輸出が更に増加する可能性もある。リビア国内の油田は既に増産に掛かっており、輸出量が急速に回復する可能性が高まっている。なおMellita、Zawiya等、Bergaより西側の4つの港は再開されていない。

図1 リビア国内の油田、輸出港、パイプライン(出展元 ブルームバーグ)
OPECの減産削減以後、来年までの需給見通し

OPECプラスは今年4月より日量960万バレルの協調減産を行ってきた。8月には減産量の見直しで770万バレルへ減産量を削減した。来る2021年1月には580万バレルまで減産量を縮小し、2022年4月まで減産を行うというのが当初のプランとなっている。協調減産の再開に至るまで、価格競争が行われた結果、各国には原油の在庫が溜まっており、これらの消費は難しいと考えられている。原油に加えて石油製品の在庫も積み上がっている。特に、移動制限による航空需要の減退から航空燃料(灯油)が余っているため、精製業者はこれらをディーゼル燃料に仕立て直している。このため、ディーゼル燃料の在庫が劇的に増加していると報道されている。6月の時点で、ここ最近5年間の平均の石油在庫(原油+石油製品)を2億バレル以上上回る47億バレルに達しているとIEAが予想している(下図2)。内訳では政府備蓄と民間備蓄合わせて、北米に23.5億バレル、欧州に15.6億バレル、アジアに8.2億バレルとなる。

図2 工業国の原油在庫(出展元 IEA)
濃青:政府在庫、薄青:民間在庫

OPECの予想では日量10万バレルの下方修正はあったものの、年末までの原油需要は増加すると予想しているが、この予想には米中対立、高水準の在庫、コロナウイルスの再度の感染拡大などが加味されていないと言われている。エネルギ―商社大手のメルキュリアの最新予想によると、2020年の最後の3か月の原油需要は日量9500万バレルとなり、春に予想されていた9700万バレルを下回る。春には6月にも需給のつり合いが予想されていたが、欧米では新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、先週末にはスペインのマドリードで再度の都市封鎖に突入し、フランスのパリでも時間の問題とされている他、アメリカのニューヨーク州でも部分的に封鎖が始まっている。アジア圏でもインドで新型コロナウイルスの感染が急拡大しているため、原油需要の落ち込みが見込まれている。唯一輸入を増やしていたのは中国だが、大量の原油の輸入のため在庫が一杯になったと考えられ、原油の購入量が2月以来最低の水準まで減少している。このため原油需要が先の予想より更に減速することはあっても、これ以上の需要増加や当初言われていた需給が逆転する可能性は最早ないと考えられ、前年より1000万バレル原油需要が減少した今年の春と同じ水準まで再び落ち込む可能性が高くなってきた。

図3 オクラホマ州クッシング在庫の2020年の推移(出展元 EIA)
横軸:目盛り線当たり1000万バレル


図3はWTIの指標であるオクラホマ州クッシングの原油在庫の2020年の推移となる。5月の大幅な在庫増加以降、在庫水準が減少する場面もあったが、再度在庫が増加しており既に5600万バレルに達している。原油相場がいつ下落するかに神経を尖らせる年末になりそうだ。前回と同様、タンカーをタンクとして利用するために手配しているという報が引き金かもしれない。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。