穀物速報:ブラジルとアルゼンチンの干ばつ(つらつらコラム10月7日)

 

ダイジェスト
ブラジルの現状

図1はUSDAが公開しているブラジルの1週間(9月27日から10月3日)の降水量分布で、ブラジル中央部は季節外れの40度に達する高温と少雨のため非常に乾燥しており、降水量が一週間で1mm以下の地域(濃茶)が広がっている。この中にブラジルの主要な大豆産地である、マトグロッソ州とマトグロッソ・スル州が含まれており、大豆とコーンの作付けが2%と例年に比べて5%以上の遅れとなっている。数字ではまだ小さいが、干ばつのため作付け作業が2週間程度遅れている。この2週間にほとんど雨が降らない状況となっている上、10月中旬まで降雨がほとんど期待できない状況が続く天気予報となっている。南部のパラナ州では作付けはトウモロコシの40%、大豆の3%が終了しているが、成長のためには雨が不十分となっている。ブラジルで最も南のリオグランデ・ド・スル州のみ十分な雨が降っており、53%のコーンの作付けが終了している。

アルゼンチンの現状

図2はアルゼンチンの1週間(9月27日から10月3日)の降水量の分布図となる。アルゼンチンの穀倉地帯であるパンパ地域(ブエノスアイレス、ラ・パンパ、コルドバ、サンタ・フェ、エントレリオスの各州)にある北部のラ・パンパ州やブエノスアイレス州での週間の降水量は10から35mmにとどまった。気温は平年より3-4度高くなっている。その他の州では更に雨が10mm以下(茶)や1mm以下(濃茶)と少なく高温で乾燥した状態が続いている。小麦の生産に関する情報ではあるが、現状でパンパ地域北側のコルドバ州からラ・パンパ州は中程度の干ばつ、ブエノスアイレス州とエントレリオス州では重度の干ばつとなっており、アルゼンチンのロザリオ穀物取引所の予想では今シーズンのアルゼンチンの小麦生産量の10%が干ばつにより既に失われた。
アルゼンチン政府の発表では大豆とコーンの作付けは19%と例年並みとから僅かな遅れとなっているが、今後の順調な生育には更なる降水が必要であり、乾燥による作柄悪化や耕作放棄が懸念されている。

今後の見通し

NOAAの長期予報では、この南米の高温乾燥状態は数か月間続く見込みで、耕作放棄、生産量や収量の悪化、収穫の遅れを招くと考えられている。ブラジルは多毛作のため、2021年最初の収穫が遅れると、2作目以降の大豆やコーンにまで影響が及ぶ可能性が出ている。いずれにしても作付けの始まった2020/2021シーズンのブラジル産、アルゼンチン産の大豆とコーンの生産量は昨シーズンより減少すると考えられる。
一方の極東では夏の長雨と大洪水で中国南部の農業は大きな打撃を受けたと考えられている(10月1日付のニュースでも中国政府は5年連続で6.5億トンを超える豊作としているが、突然の食べ残し禁止令など不可解な点がある)。これにより、例年以上に中国向けの大豆・コーンの需要が高まっている。その中でブラジル産やアルゼンチン産の大豆・コーンの2020/2021年シーズンの収穫が干ばつにより悪化すると考えると、既に収穫に入っているアメリカ産の需要が今後より高まると考えられる。これまで、アメリカ産の大豆・コーンは天候に恵まれた大豊作となることがほぼ確定し、新型コロナウイルスによる需要減もあり、値下がりが予想されていたが、今後の南米の干ばつによる生産減少とアメリカ産の需要拡大により、少なくとも、南米産の収穫が本格化する来年新春までは堅調に推移することが予想される。南米の産地の現状については今後のコラムでもお伝えする予定。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。