穀物速報:クロッププログレスレポートと南米の干ばつ(つらつらコラム11月10日)

ダイジェスト
クロッププログレスレポートによる大豆・コーンの農作業進展状況

今シーズンも終了に近づいてきた。クロッププログレスレポートは今回を含めて後4回となる(進展によりキャンセルもありうる)。11月9日にUSDA発表の最新のクロッププログレスレポートより2020/2021年シーズンの大豆とコーンの農作業の進捗状況について紹介する。11月8日の時点での大豆の落葉率と収穫率、コーンの成熟率と収穫率は以下の通り。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆収穫率92%87%82%90%
コーン収穫率91%82%62%80%
表1 大豆とコーンの収穫率(出展元 USDA)

今週も大豆・コーン共に収穫が進展した。大豆は平年(90%)並みとなる92%、コーンは91%となり平年に比べて進展が早くなっている。州別のより詳細な農作業の進捗データはこちら

今期の作柄予想(変更なし)

表2に2020/2021年シーズンの最終の作柄予想を示しておく。大豆の作柄は平年(Fair)以上が89%、豊作(Good)以上が63%、大豊作(Excellent)の割合は14%となっている。コーンの作柄は平年並み(FairとGood、Excellent)以上の作柄が86%、豊作以上(GoodとExcellent)の割合は61%、大豊作(Excellent)の割合が15%となっている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
大豆38264914
コーン59254615
表2 作柄予想(出展元 USDA)
コーンベルトの天候予報

図1はNOAAによる直近2週間の気温予報となる。2週間後までのコーンベルトは全体的に平年以上の気温となる見通し。図2は直近2週間の降水量予報で、コーンベルトの降水量は平年以上から平年以下まで地域によりまちまちとなる見込み。

干ばつの状況
図3 NASAのGRACE-FO衛星による土中水分量分析図(出展元 NASA
、枠線は筆者が加筆)

図3はNASAのGRACE-FO衛星による浅い土壌中の地下水の分布量を示している。青枠内がブラジルの主要な大豆産地であるマトグロッソ州、マトグロッソ・ド・スル州、パラナ州、ゴイアス州、サンタ・カタリーナ州、リオグランデ・ド・スル州の各州、黒枠内がその他の産地であるパラー州、トカンチンス州、マラニョン州、ピアウイ州、バイア州、ミナス・ジェライス州の各州の領域を示している。図中の赤色は土中の水分量が2%以下であることを示していて、NASAによれば50年に1回の干ばつに相当する。大豆・コーン産地(図4)に相当する地域の広い部分を赤の部分が占めており、深刻な干ばつであることを示している。

アルゼンチンの大豆・コーン産地は水色枠内のラ・パンパ州、ブエノス・アイレス州、コルドバ州、エントレ・リオス州、サンタ・フェ州に広がっている。アルゼンチンの大豆・コーン産地(図5)に相当する地域の広い部分は白から薄茶となっており、ブラジルよりは軽度であるが干ばつであることを示している。

まとめ

大豆では92%の畑で、コーンでは91%の畑で収穫が終了し、アメリカ産の今シーズンの収穫はほぼ終了した。穀物相場は輸出期待から輸出検証高や成約高は前年度の実績を大幅に上回っていることから、輸出期待が支援材料となっているが、今日発表される需給報告待ちで様子見の展開となっていると思われる。今シーズンのアメリカの輸出は好調で需給報告では期末在庫量予想の引き下げと、輸出需要の引き上げがあるかどうか焦点となると思われる。

南米ブラジルでは前シーズン、過去最大の生産量1億2480万トンを記録したが輸出も過去最高の8400万トン以上となった。皮肉なことに輸出を拡大しすぎたことと干ばつが広がっているため、国内の穀物価格が上昇しており2003年以降最大となる85万トンの大豆を輸入すると予想されている。南米の干ばつは特にブラジルでひどく、50年に1度クラスの干ばつとなっている。すでに作物の低収量や河川の水位低下が起きている。最新の予想では年内は解消しない見込みで、作付けと生育に被害が出ることは避けられない。一方でアルゼンチンの方はブラジルより幾分状況が改善しているように見えるが、こちらも通常より乾燥しており、やや干ばつとなっている。今後しばらくは好調な輸出と産地の干ばつによって穀物市場は堅調に推移すると予想している。大雨となれば状況が変わる可能性があるので、南米の天気予報には十分に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。