穀物速報:11月のUSDA需給報告と今後の見通し(つらつら分析2020年11月11日)

 

ダイジェスト
総評

日本時間11月10日26時にUSDAが11月の穀物の需給報告を発表した。今回の報告ではアメリカ産の農作物の輸出が好調になる中で大豆・コーンの期末在庫の引き下げや輸出需要の引き上げが行われるかが注目材料だった。今回、大豆は単収の減少から生産量が減少したことで、期末在庫は1.00億ブッシェル引き下げられた1.90億ブッシェルとなった。注目の大豆の輸出需要予測は据え置かれた。コーンについても単収が引き下げで生産高が引き下げられた。需要面ではエタノール向け需要予測は据え置き、輸出需要は3.25億ブッシェル引き上げられた。生産減と輸出増から期末在庫は4.65億ブッシェル引き下げられた17.02億ブッシェルとなった。これにより大豆相場・コーン相場共に値上がりし、大豆は2016年7月以来、コーンは2019年8月以来の高値を付けた。

需給-大豆-

表1が大豆の2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通しで、2020/2021年シーズンについては10月の報告と比較している。

           2019/2020年シーズン
予想(11月時点)            
2020/2021年シーズン
予想(10月時点)            
2020/2021年シーズン
予想(11月時点)
作付面積(万エーカー)      761083108310
収穫面積(万エーカー)749082308230
単収(ブッシェル/エーカー)47.451.950.7
期初在庫(億ブッシェル)9.095.235.23
生産量(億ブッシェル)35.5242.6841.70
輸入(億ブッシェル)0.150.150.15
供給合計(億ブッシェル)44.7648.0647.09
消費合計(億ブッシェル)39.5345.1645.19
 内圧砕(油)(億ブッシェル)21.6521.8021.80
 内輸出(億ブッシェル)16.7622.0022.00
期末在庫(億ブッシェル)5.232.901.90
平均価格(セント/ブッシェル)8579801040
表1 大豆の需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

今月の報告の供給側では収穫面積が120万エーカーと単収1.2ブッシェル前月より引き下げられ、生産量は10月の42.68億ブッシェルから41.70億ブッシェルへ0.98億ブッシェル引き下げとなった。需要側では油脂用需要が21.80億ブッシェルで、輸出用需要が22.00億ブッシェルで据え置かれた。結果、生産量の減少と表にはないが若干の消費の増加で、期末在庫は10月の2.90億ブッシェルから1.00億ブッシェル引き下げられた1.90億ブッシェルとなり、過去7年間で最低の在庫水準となった。

需給-コーン-

表2はコーンの2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通し、および新穀の前月の予想を比較したもの。

           2019/2020年シーズン
予想(11月時点)              
2020/2021年シーズン
見通し(10月時点)             
2020/2021年シーズン
見通し(11月時点)             
作付面積(万エーカー)      897091009100
収穫面積(万エーカー)813082508250
単収(ブッシェル/エーカー)167.5178.4175.8
期初在庫(億ブッシェル)22.2119.9519.95
生産量(億ブッシェル)136.20147.20145.07
輸入(億ブッシェル)0.040.020.02
供給合計(億ブッシェル)158.83167.42165.27
消費合計(億ブッシェル)138.87145.75148.25
 内輸出(億ブッシェル)17.7823.2526.50
 内工業・種子・食品用(億ブッシェル)62.8264.7564.75
  内エタノール用(億ブッシェル)48.5250.5050.50
 内飼料用(億ブッシェル)58.2757.7557.00
期末在庫(億ブッシェル)19.9521.6717.02
平均価格(セント/ブッシェル)356360400
表2 コーンの需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

今月の報告では10月の報告から単収が2.6ブッシェル引き下げられ、収穫予想が147.22億ブッシェルから2.15億ブッシェル引き下げられた145.07億ブッシェルとなった。需要側では、飼料用需要は57.75億ブッシェルから0.75億ブッシェル引き下げられた57.00億ブッシェル、食品・種子は64.75億ブッシェル、エタノール用需要は50.50億ブッシェルで据え置かれた。輸出需要は10月の23.25億ブッシェルから3.25億ブッシェル引き上げられた26.50億ブッシェルで過去最高を予想する。期末在庫は輸出需要の増加で10月予想の21.67億ブッシェルから4.65億ブッシェルと大幅に減少した17.02億ブッシェルとなった。

世界需給

世界需給についてのダイジェスト

大豆

大豆の2020年/2021年シーズンの世界の推定生産量は10月の3億6847万トンから約650万トン引き下げられた3億6264万トンとなった。主要国生産国ではアメリカが約335万トン、アルゼンチンが約200万トン引き下げられ、ブラジルは据え置きだった。需要側では世界全体の消費量が10月の3億7059万トンから約100万トン引き下げられて3億6903万トンとなった。主要輸入国では中国の需要は約1億1700万トンで据え置き、欧州で約90万トン増加する予測となっている。

コーン

コーンの2020年/2021年シーズンの世界生産量予想は10月の11億5882万トンから約1400万トン引き下げられた11億4463万トンとなった。主要生産国ではアメリカが約550万トン減、ロシアが約100万トン減、ウクライナが約800万トン減、南アフリカが約200万トン増となり、南米のアルゼンチンやブラジルは据え置きだった。黒海沿岸の干ばつによりロシアとウクライナで約900トンの減産となる。一方世界需要は10月の11億6260万トンから約600万トン減った11億5654万トンとなると予想している。主要輸入国では欧州が約550万トンの、メキシコで約100万トンの需要減予測となっている。

今後の見通し

2020年/2021年シーズンのアメリカ産の大豆とコーンの収穫作業は9割以上終了している。今回の11月の需給報告は大豆が期末在庫の大幅減少、コーンが期末在庫の減少と歴史的な輸出量予測となり、大豆相場、コーン相場共に高値となった。ただし、8月末から上昇相場の中で上昇幅は限定的だったと思われる。生産面では大豆・コーン共に単収が引き下げられたことで、それぞれ生産量が減少した。需要面では大豆はほぼすべての項目で据え置きだったが、コーンでは飼料用需要予測が引き下げられた反面、輸出用需要が歴史的な水準まで引き上げられた。燃料用エタノール需要は据え置きだった。

世界需給では10月の報告と比べて大豆の生産量が約650万トン、コーンで約1400万トン引き下げられた。アメリカの生産量の変動がおよそ半分を占めるが、大豆では政局不安によるアルゼンチンの生産量引き下げ、コーンでは深刻な干ばつが続く黒海沿岸のウクライナとロシアで約900万トンの大幅な減産が起きている。一方で、現在干ばつが発生している南半球のブラジル産、アルゼンチン産の大豆やコーンの生産量や輸出量予測は反映されておらず据え置きとなっている。これらの情報は来月以降に反映される可能性がある。

今後、アメリカ産の大豆やコーンの期末在庫が減少するとの予測から、今以上に順調な輸出が行われると、在庫ひっ迫による供給不安が発生する可能性があると考えられる。特に現在干ばつが起きている南米のアルゼンチン、ブラジル、パラグアイなどからの供給が減少するような事態となれば、相場が高騰する可能性がある。特にブラジルでは50年に1回といわれる干ばつとなっている。公式には生産量の減少予測はいまだ出ていないが、作付けが行えた地域に関しても遅延や収穫量の減少が起きるとの見方がすでに報道されている。また、現状では干ばつの解消の見込みはないが、今の状況とは逆に天候変動で速やかに干ばつが解消するような場合は、降雨報道や南半球の作物の生育が進んだ段階で相場の下落が起きると思われる。毎日の大口成約情報や週間輸出検証高、週間輸出成約高などのUSDAからの情報、中国税関など消費国の輸入動向、今後の南米の天気予報に注意していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。