エネルギー速報:EIAおよびOPEC推計による原油需要見通し(つらつらコラム11月12日)

ダイジェスト(原油量はいずれも日量)

EIAエネルギー短観

図1 EIAの原油生産、原油消費量実績と将来予測(上段)
原油在庫変化量(下段)
(出展元 EIA)

図1は11月10日に発表されたEIAの11月月例エネルギー短観における原油生産量と原油需要の推移となる。EIAは10月の原油消費量を日量9530万バレルと推計している。前年比で590万バレルの減少となるが、7月から9月までの需要平均9410万バレル、4月から6月までの需要平均8530万バレルの双方を上回っている。2020年の平均値は9290万バレルとなり、前年比で860万バレルの減少となった。2021年は原油需要が回復して590万バレル増加することを予想している。
原油価格については年内はリビアを始めとする原油生産の増加と高水準の在庫により、年内は北海ブレント原油基準で1バレル40ドル付近で推移し、来年は原油需要の回復に伴い在庫が減少し、2021年平均でブレント原油価格は47ドルで推移すると予想している。

米国では2020年5月に日量1000万バレルという2年半ぶりの低水準となって以降は原油生産の回復が進んで、7月には日量1100万バレル、8月には日量1060万バレルとなった。8月以降は相次ぐハリケーンの接近により、アメリカ全体の総計でおよそ4000万バレルの原油生産が失われたことで生産回復が足踏みしていたが、11月には日量1120万バレルまで回復(最盛期より200万バレルの減少)するとしている。その後、2021年前半には、今年4月から5月の原油価格の低迷時の設備投資が削減された影響で原油生産が一時的に日量1100万バレルまで減少する見込みとなっている。2021年後半には生産回復が追いつき日量1130万バレルまで回復すると見込んでいる。

OPECの原油需要推計

OPECは11月11日に11月の月報を発表した。その中で今後の原油需要について次のように推計している。

世界経済

2020年の成長予測は新型コロナウイルスの流行によるロックダウンの影響から前年比で4.3%の縮小となり、来年度はプラスとなるものの4.4%の成長にとどまる見通し。世界各地で2020年の経済成長はマイナスとなっているが、来年度はプラス成長となる見通し。

原油需要

2020年では第3四半期の南北アメリカでの需要が下振れしたことと、ヨーロッパがロックダウンに再突入しつつあることから、前月の予測と比べて1日当たり30万バレルの減少となり、前年比で日量980万バレルの需要減となった。同様に2021年の原油需要も30万バレル下方修正されたが、経済活動の回復から今年と比べて620万バレルの需要増を見込んでいる。

原油生産

2020年のOPEC加盟国以外の原油生産予測は前月の予測から6万バレル減の微小な減少となり前年比で240万バレルの減少となる。これはハリケーンによるアメリカの減産、英国やノルウェー、メキシコの減産が要因となっている。2020年全体でとしてはアメリカ(72万バレル減)とカナダ(33万バレル減)、ロシア(109万バレル減)が減産し、ノルウェー(28万バレル増)やブラジル(22万バレル増)、中国(10万バレル増)、ガイアナ(8万バレル増)の増産が穴の一部を埋める形となった。来年、2021年の原油供給は日量6万バレル上方修正され100万バレルの増産となる。内訳はアメリカ(30万バレル増)やカナダ(23万バレル増)、ブラジル(14万バレル増)、ノルウェー(14万バレル増)とOPEC加盟国外の増産が供給量増加のけん引役となる。
OPECの10月の生産量はリビアの増産を反映し前月比で32万バレル増加した2439万バレルとなっている。

商業用原油在庫

OECD加盟国の最新(9月)の商業用原油と石油製品の在庫は前月比1530万バレル減少した31億7900万バレルで、内訳は原油が15億3900万バレル、石油製品が16億3900万バレルとなっている。前年比で総量で2億3700万バレル増加、原油在庫が7860万バレル増加、石油製品在庫が1億3300万バレル増加している。一方で、前月比では原油在庫が1300万バレルの減少、石油製品在庫が220万バレルの減少となり、緩やかではあるが在庫の減少が続いている。

今後の見通し

世界の原油需要はEIAの推計で前年比で590万バレル減少した9530万バレル、OPECの推計では前年比980万バレル減少し、現在9000万バレル強の水準にあると予想している。一方で来年2021年の需要はEIAが今年比で590万バレル、OPECが630万バレルの需要増加を見込んでいる。
ただし、EIAの推計は10月末以降の新型コロナウイルスの流行とロックダウンの再開をおそらく見込んでおらず、非常に楽観的な推計になっていると言える。原油の需要減がこの水準であれば、OPECプラスの増産延期は必要ないことになるが、現実にはOPECの推計の方が近いと考えられ、現状の770万バレルの減産でも需要減に対応するには不十分な状態となっていると思われる。現在、市場ではOPECプラスの増産延期は間違いないと考えられているが、今後も原油価格を維持するためには、OPECの推計による需要減980万バレルと減産量770万バレルの間にある200万バレルの穴埋めとなる追加減産が必須なのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。