エネルギー速報:天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム11月16日)

ダイジェスト
週間天然ガス在庫総評
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

祝日の関係で先週金曜日にEIAが発表した11月6日時点での天然ガス在庫量は前週比で8Bcf増加した3927Bcfとなり在庫が増加した。市場予想は5Bcfの減少で在庫の増加が予想を上回った。在庫量は平年より5.3%多い状態となっている。前週金曜日の天然ガス先物相場はLNG輸出が過去最高の水準が続いていることで前半上げていたが、今後の生産増加見通しから売られて、小幅な上昇となった。
同日に発表された11月5日から11月11日までの天然ガス需給ではアメリカ国内の天然ガス供給量は91.9Bcfと2.3Bcfの減少となった。カナダからの輸入が1.6Bcf減少した3.4Bcfとなったことが主な要因だった。国内生産量は88.4Bcfと前週より0.7Bcfの減少となっている。
需要側では国内総需要は前週より10.6Bcfと大幅に減少した62.2Bcfとなった。住宅・商業用需要が8.5Bcf減少した16.4Bcfとなった。このほか発電用需要が1.2Bcf減少した24.0Bcf、工業用需要が0.9Bcf減少した22.0Bcfだった。LNG輸出は0.1Bcf増加した10.2Bcfとなり過去最高を更新して、天然ガス需要を牽引している。メキシコ向けパイプライン輸出需要は5.4Bcfと横ばいだった。

表1 地域別天然ガス在庫量(出展元EIA)

表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。前週より大きな変化はなかったが、アメリカ中西部より西側で在庫がやや増加した。11月初旬に寒波が到来していたこれらの地域で冷え込みが去ったため、暖房用需要が低下したためと考えられる。暖房用需要の落ち込みで在庫量が3927Bcfと増加した。この数値は平年(5年間の平均)に比べて176Bcf、前年比で196Bcf在庫が多い状態となっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の83.6%、有効容量(4261Bcf)の92.1%となっている。

天然ガス需要と供給

表2は11月5日から11月11日までに供給された天然ガスの内訳となる。天然ガスの生産量は日量88.4Bcfと前週の89.1Bcfより0.7Bcfの減少だった。今週はカナダからの輸入が前週比で1.6Bcfの減少と大きな落ち込みとなり3.4Bcfとなった。供給量全体では91.9Bcfと前週から2.3Bcfの減少だった。

表2 部門別天然ガス供給量(出展元EIA)

次の表3は11月5日から11月11日にかけての天然ガスの需要の内訳で、総需要(国内)は前週の72.8Bcfから10.6Bcf減少した62.2Bcfとなった。11月初旬の気温上昇による暖房用需要の大幅減少で住宅・商業用需要が前週比で8.5Bcfと大幅に減少した16.2Bcfとなった。その他の需要では工業用需要は22.9Bcfから0.9Bcf減少した22.0Bcf、発電用需要が25.2Bcfから1.2Bcf減少した24.0Bcfとなった。輸出需要では、LNG輸出が0.1Bcf増加して10.2Bcfとなり過去最高を更新している。一方、メキシコ向けパイプライン輸出需要は5.4Bcfで横ばいだった。

表3 部門別天然ガス需要量(出展元EIA)
採掘用リグ稼働数
11月6日11月13日
原油用226基236基
天然ガス用71基73基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

ベーカー・ヒューズ社が先週金曜日に発表した原油・天然ガス採掘用リグ数は表4の通り。11月13日発表の稼働リグ数は、原油採掘用が前週から10基増加した236基、天然ガス採掘用は2基増加した73基となり、どちらの用途でもない3基を加えて12基増加した合計312基となり300基を超えて増加を続けている。

今後の見通し

先週金曜日発表の11月6日時点の天然ガス在庫量は、前週比で8Bcf増となり、5Bcf減と在庫の減少を予想していた各社予想に反する結果だった。天然ガス供給はカナダからの輸入が減少した影響で前週を下回ったが、アメリカ中西部以西に11月初旬に到来していた寒波が去ったことから、個人用・商業用の暖房用需要を中心に需要が前週と比べて大幅な減少となり在庫が増加した(図1参照)。
天然ガスのLNG輸出需要は0.1Bcf増加と微増だったものの10.2Bcfとなり、過去最高の値を今週も更新した。メキシコ向けパイプライン輸出は5.4Bcfで横ばいだった。輸出需要が天然ガス需要を引き続き牽引している。

図2 LNG輸出基地向け天然ガス流量の推定値(出店元 NGI)

図2はNGI社が提供している天然ガスのLNG基地向けパイプライン流量≒輸出量の推定値で11月12日以降も10Bcfを超えた状態が続いている。LNGタンカーの入港が続く限り、LNG輸出は順調に推移すると思われるが、前週レポートでの入港数は22隻(86Bcf)、今週は18隻(65Bcf)と隻数に減少傾向が見えているが、今週どうなるかは不明。
一方国内需要では、11月初旬の寒気が去りアメリカ中西部から太平洋岸までの気温が上昇したことで暖房用需要が低下し、住宅用・商業用需要は前週比で8.5Bcfと大幅減少した16.2Bcfとなった。このほか、発電用需要が1.2Bcf減少した24.0Bcf、工業用が0.9Bcf減少した22.0Bcfとなったことで、国内需要は62.2Bcfと前週の72.8Bcfから10.6Bcfの大幅減、国内向けと輸出向けを合わせた総需要は84.4Bcfとなり、前週比で10.8Bcfの大幅減となっている。
供給面では生産量が前週より0.7Bcf減少した88.4Bcfで、カナダからの輸入が1.6Bcf減少した3.4Bcf、供給量全体では2.3Bcf減少した91.9Bcfとなった。11月13日発表の天然ガス生産用のリグ数は前週から2基増加した73基となっている一方で、原油生産用のリグ数は10基と大幅に増加し236基となった。今後、シェールガス生産用の生産量の伸びは大きく期待できないと思われるが、シェールオイル生産の伸びが期待され、副産物としての天然ガス生産が今後増加していくと考えられる。
天然ガス市場は需給の状況と合わない投機的な動きはいまだに続いている。来週以降11月下旬までの気温予報では平年より高い気温となっており、暖房用需要の落ち込みが予想される。今はLNG輸出量が需要と相場を支えているが、いったん輸出が減少すれば、天然ガス在庫の増加と在庫量の多さを背景に価格が大きく下落する可能性があるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。