エネルギー速報:OPECプラスの増産延期の公算高まる(つらつらコラム11月17日)

ダイジェスト
リビアの最新状況

リビアの産油量は9月に武装勢力による封鎖が解除されて以来、急速に増産体制が整えられた。報道機関によって情報が異なるが、先週末の時点で少なく見積もって日量110万バレル、多く見積もって120万バレルの産油量を回復している。今後もこの増産の背景となっている反政府武装勢力との休戦が続くかに疑問の余地は残っているが、このままのペースなら来年初頭と言われていた産油量の130万バレルまでの回復はほぼ間違いないと思われる。なお来年末までには160万バレルまでの増産を計画している。この計画は原油生産および輸送用のインフラの修復にどれだけの資金が得られるかにかかっているといわれているが、しばらくは増産と活発な輸出が続きそうだ。*なお、リビアは原油の生産量が160万バレルで安定した場合OPECプラスの枠組みへ復帰するとされている。

中国の原油需要の見通し

中国の国家統計局の発表による10月の原油精製量はこれまで最大だった9月の記録を更新して日量1414万バレルに達した。前年比で2.6%の増加で、直近7か月連続の増加となっている。中国を始めアジア地域では、比較的新型コロナウイルスの影響が少ないため需要回復が進んでいるといわれているが、中心となる中国の需要は増加しており、需要超過になっていると伝えられている。

OPECプラスの方針と今後の見通し
図 OPECプラスの計画減産量(青)、自主減産量(灰)、実際の減産量(実線) 
(出展元 OPEC)

昨日OPECプラスのJTC(共同技術委員会)が開かれた。会議では新型コロナウイルスの流行拡大とロックダウンが拡大し原油需要に下振れ懸念が出ている現状で来年1月から日量190万バレルの増産を行った場合に150万バレルの供給超過に陥る可能性があるとの試算が討議されたと報道されている。原油価格の下落を防止するためにJTCは来年1月に予定されている原油の増産を3~6か月延期することを提案した。また、10月の減産達成率が減産枠では101%を達成したものの、過去の減産破り(主に図の2020年の5月~7月)の保障分を加味すると想定を下回る96%まで低下していることについて議論して終了されたという。増産の3か月延期案が最有力で減産幅の拡大案は支持されなかったとのこと。これらの議題は今日開催を予定しているJMC(共同閣僚監視委員会)で討議されたうえで、今月30日から来月1日までの予定で開催されるOPECプラスの会合で討議され最終決定される見通し。
原油相場(WTI)は相次ぐ新型コロナウイルスワクチンの進展報告で40ドル以上の水準での取引が続いているが、ワクチンの開発が進んでも流通や接種のための時間を考えると、そうそうバラ色の未来ではないと考えられる。もっとも準備の早いと思われるアメリカで来年春まで時間が必要なことを考えると、ワクチンの接種の前にロックダウンや移動制限で原油需要が減少するのが先と考えるのが妥当となる。増産延期は一時相場を支えると考えられるが、今後も各国の状況の悪化や原油の増産で下落する相場になりそうだ。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。