エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析11月19日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIAの週間在庫統計では、原油在庫が先週に続いて76万バレルの増加、原油生産量は日量1090万バレルと40万バレルの増加となった。原油の輸出入は、輸出が1万バレル減少した日量274万バレル、輸入が24万バレル減少した日量525万バレルとなり、251万バレルの輸入超過となっている。製油所の稼働率は2.9%増加した77.4%となり、それを受けて原油処理量は39万バレル増加した1384万バレルとなった。戦略備蓄(SPR)は5万バレル放出され残り6億3830万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が261万バレルの増加、留出油在庫は521万バレルの減少だった。原油と全てのの石油製品を合わせた在庫量は1060万バレル減少した19億9320万バレルとなり、20億バレルを割り込んでいるWTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は、120万バレル増加した6161万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫

週間統計では原油在庫が市場予想を下回ったものの、76万バレル増加した4億8947万バレルとなった。ガソリン在庫はほぼ横ばいとの予想を上回り261万バレル増加した2億2796万バレル、留出油在庫は521万バレル減少した1億4407万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は120万バレル増加した6161万バレルとなった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)417増76増427増799減432増
ガソリン(万バレル)26増261増230減154増89減
留出油(万バレル)502減521増535減158減449減
クッシング在庫(万バレル)18増120増51減93増42減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油も石油製品の在庫も過去5年の上限値まで減少している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

原油生産量は前週より40万バレル回復した日量1090万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量24万バレル減少した525万バレル、輸出量は同1万バレル減少して275万バレルとなった。原油輸入の国別内訳は、カナダ産318万バレル(前週368万バレル)、メキシコ産51万バレル(前週43万バレル)、サウジアラビア産35万バレル(前週35万バレル)、イラク産9万バレル(前週18万バレル)、エクアドル産37万バレル(前週29万バレル)、コロンビア産21万バレル(前週0万バレル)、ブラジル産0万バレル(前週6万バレル)等でメキシコやコロンビアからの輸入が増加し、カナダやイラク、ブラジルからの輸入は減少した。Adjustmentは25万バレル減少となり前週の74万バレルの減少から48万バレルへ減少した。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるもので、今週は前週とは同様にAdjustmentで在庫を増加させる形の調整となっている。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)109010501050111010751280
戦略備蓄増加(万バレル/日)-5-8-2-9-6-28
原油輸入(万バレル/日)525549502566536597
原油輸出(万バレル/日)275276226345281302
Adjustment(万バレル/日)4874-87-602460
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が2.9%向上した77.4%となり、製油所への原油投入量は39万バレル増加した日量1384万バレルとなった。稼働率は向上したが前年の89.5%には遠く及ばない。石油生産量ではいずれも前週比でガソリン生産が15万バレル減少した日量902万バレル、ジェット燃料生産が5万バレル増加した日量108万バレル、留出油の生産が4万バレル増加した日量427万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)138413441355133813551591
製油所稼働率(%)77.474.575.374.675.487.8
ガソリン生産(万バレル/日)  9029178959279101016
ガソリン輸入(万バレル/日) 534563465151
ジェット燃料生産(万バレル/日)108103918497181
ジェット燃料輸入(万バレル/日)2304191413
留出油生産(万バレル/日)   427423427412422512
留出油輸入(万バレル/日)  281333342731
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)一覧が表4となる。全て前週比でガソリン供給が日量51万バレル減少した825万バレル、ジェット燃料供給は34万バレル減少した98万バレル、留出油供給は17万バレル増加した422万バレルとなった。今週はジェット燃料の供給が大幅減少となっている。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)825876833854847919
ガソリン輸出(万バレル/日)697171536671
ジェット燃料供給(万バレル/日)9813291101106165
ジェット燃料輸出(万バレル/日)9555621
留出油供給(万バレル/日)422405376424407432
留出油輸出(万バレル/日)10810710787102125
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

原油需要側では製油所稼働率が前週比で2.7%上昇したことで、原油消費量が40万バレル増加した日量1384万バレルとなった。石油製品ではガソリン生産量が前週比で15万バレル減少した902万バレル、供給量が51万バレル減少した825万バレルとなった。ガソリン輸入量は8万バレル増加した53万バレル、輸出量は2万バレル減少した69万バレルとなった。ガソリン輸入量は増加し、生産量は減少となったが、供給量の減少幅がそれよりも大きく、生産側が多くなったことでガソリン在庫が増加となった。留出油生産量は4万バレル増加した427万バレル、輸入量は15万バレル増加した28万バレルとなった。一方、供給量は17万バレル増加した422万バレル、輸出量は1万バレル増した108万バレルでほぼ横ばいだった。先週と同様な需給バランスが続き、留出油在庫も引き続き減少している。ジェット燃料生産量は5万バレル増加した108万バレル、供給量は34万バレルと大幅減少した98万バレルとなった。石油製品全体の供給(需要)量は前週日量2018万バレルと2000万バレルを超えたが、今週は62万バレル減少した1956万バレルとなり再び日量2000万バレルを割り込んでいる。全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比1060万バレル減の19億9320万バレルとなり、20億バレルの大台を割り込んだ。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となるが今週の卸売価格はガソリンが約3セントの上昇、ディーゼル燃料が約6セントの上昇となった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
11/16  11/6  10/30  10/23  10/16  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.1581.1211.0781.1681.2151.715
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.2011.1451.0891.1521.1831.960
原油
(ドル/バレル)
39.9336.9735.6439.7340.7057.54
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなるが、今週のガソリン小売価格は1~2セントの上昇、ディーゼル燃料は約3セントの上昇となった。

小売価格11/16  11/9  11/2  10/26  10/19  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1112.0962.1122.1432.1502.592
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5322.5172.5332.5592.5653.036
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.7832.7712.7862.8102.8153.291
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.4112.3832.3722.3852.3883.074
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週のEIA週間統計では3週間前のハリケーン「ゼータ」の影響がなくなり、原油生産量は40万バレル増加した日量1090万バレルとなった。需要面では製油所稼働率が2.7%向上したため、原油の消費量が日量40万バレル増加した1384万バレルとなった。原油輸出入では251万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で24万バレル減少した525万バレル、輸出量が1万バレル減少した271万バレルだった。消費量増加があったが、それを上回る原油生産の増加で原油在庫は増加した。主要石油製品ではガソリンについては生産側が多く在庫増、留出油は先週に引き続き需要側(供給)が多く在庫減となった。前週より石油製品の出荷は日量62万バレル減少した1956万バレルとなり、再び2000万バレルの大台を割り込んだ。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、19億9320万バレルと前週比で1060万バレルの減少となり20億バレルの大台を割り込んだ。
原油生産量は1090万バレルと増加したが、以前ハリケーン前の水準には達しておらず、一層の生産回復が予想される。シェールオイル生産用リグ数は10基増と確実に増加しており、今後は原油生産の増加となるのではないかと考えられる。WTI指標原油であるクッシング原油在庫は今週再度増加し6161万バレル、貯蔵率はおよそ81.0%となっている。アメリカ国外では報道によってはリビアの原油生産量が日量120万バレルに達したと報告されている。OPECプラスは16日に共同技術委員会(JTC)を開催し、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少から、原油あまりを防ぐため減産期間の3から6か月の延長を提言した。一方で17日の共同閣僚監視委員会(JMMC)では一転して、減産期間の延長提言はなく、減産破りの補償について述べただけで終了する予想外の展開となっている。これにより当日の原油相場の上げ幅が抑制されている。その後月曜日のモデルナ社の発表に続いて、水曜日に前週ワクチンの進展を報告したファイザー社の最終報告が発表され前週より良好な結果だったことで原油相場は一時上昇したが、新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、根強い需要見通し懸念から上げ幅をほぼ消している。月末までは減産期間の延長期待と新型コロナウイルスの感染拡大懸念が綱引きを続けると考えられるが、感染拡大により来週金曜日の27日までに40ドルを割り込む場面があると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。