エネルギー速報:リビアの産油量の増加継続(つらつらコラム11月2日)

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前週10月26日のコラムで2週間以内にNOC(National Oil Corporation、リビア国営石油会社)の幹部の話として日量80万バレルを回復する見通しとお伝えしたが、今回も生産回復のペースが予想を上回り、1週間もたたない前週末の時点で80万バレルを回復したことが明らかになった。土曜日に停止していたリビア東部のWaha(ワハ)油田の生産が日量1万バレルで生産を再開した。この油田はリビアでも最大の油田の1つで内戦前は32万バレルの生産を行っていた。またリビア西部のシャララ油田では生産増強が続き今週には24.5万バレル、月末までには30万バレルまで生産量が増強される予定と伝えられる。

稼働中の油田の産油量と稼働を再開した油田の産油量の合計は判明している限りで84.1万バレルとなる。図1で錨マークで示されているリビアの原油輸出港全てと油田のほとんどが再開されている。再開予定の油田や生産増加予定の油田の産油量を合わせると、筆者の計算上は現在の生産量に55.0万バレル上積みした日量139.1万バレルに達する。4週以内に日量100万バレルとの目標も無理なく達成することが出来ると思われ、内戦前のリビアの産油量をほぼ回復する。NOCは年初までに日量130万バレルまで増産することが目標と伝えられているが、この目標も問題なく達成できると思われる。計画段階で予算の制約とインフラの損傷があるものの、NOCはカダフィ政権崩壊前の日量160万バレルを回復することを次の目標としている。

図1 リビアの原油関連施設概略(出展元 ブルームバーグ)
今後の見通し

前週の段階でも予想外の生産回復となったリビア産の原油だが、内戦の停戦成立から1か月の間に実に日量70万バレルの生産が回復し、更に今月中に20万、来月までに30万バレルの生産増加が見込まれている。加えて恒久的な休戦の合意がなされ、今月には長らく分断されていた政府を統一することが予定されている。和平プロセスが順調に進めば、再度原油生産が急落することは考えにくくなる。既に、リビア産原油の増加は原油価格の下落の材料となっており、欧米での新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少の見通しと合わせて、おおよそ5ドルの下落を招いている。OPECプラスは1月以降に日量190万バレルの増産を行い協調減産を緩和していく予定であるが、原油価格が急落していることから、軌道修正を迫られている。既にサウジアラビアは減産幅維持に向けて動いていると報道されている他、これまで常に減産に慎重だったロシアもプーチン大統領が引き上げの延期を容認と報道されている。OPECプラスは今月30日から来月1日にかけて会合を開き、来年1月以降の減産について議論するが、筆者は協調減産幅を8月の水準である日量970万バレルまで戻さない限り、原油価格は維持できないのではないかと考える。

米政権交代によるイラン産原油の輸出再開の可能性

現在アメリカでは大統領選挙が行われているが、民主党のバイデン候補が当選の場合、外交スタンスとしてイランの核合意へのアメリカの復帰が挙げられている。この場合、イランの原油輸出再開が取引材料として使用されると考えられ、各社の予想では日量100万バレルとなると見込まれている。仮に、この量の原油が更に放出されれば、更にOPECプラスによる減産の運営は難しくなると考えられる。一方で、ベネズエラについては移民票の関係から制裁が維持される見通し。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。