エネルギー速報:天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム11月20日)

ダイジェスト
週間天然ガス在庫総評
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

昨日、EIAが発表した11月13日時点の天然ガス在庫量は前週比で31Bcf増加した3958Bcfとなり、予想の11Bcf増を上回って大きく在庫が増加した。在庫量は平年より8.0%多い状態となっている。昨日の天然ガス先物相場は今後の生産増加見通しと12月の気候が温暖で暖房用需要が伸び悩む見込みを材料に大幅下落した。後半買い戻されたが、LNG輸出が過去最高水準となっていることが材料視されたと考えられる。
11月12日から11月18日までの天然ガス需給ではアメリカ国内の天然ガス供給量は95.8Bcfと前週より4.1Bcfの増加となった。天然ガスの国内生産量が、前週比2.2Bcf増の90.6Bcfとなったことと、カナダからの輸入が同1.6Bcf増加した5.0Bcfとなったことが供給量増加の要因だった。なお、国内生産量は90Bcfの大台を回復している。
需要側では国内総需要が前週より14.1Bcfと大幅に増加した75.6Bcfとなった。内訳は住宅・商業用需要が12.2Bcfと大きく増加した27.0Bcf、発電用需要が0.7Bcf増加した25.5Bcf、工業用需要が1.3Bcf増加した23.2Bcfだった。
輸出需要ではLNG輸出が10.2Bcfと横ばいだったが過去最高水準にある。メキシコ向けパイプライン輸出は5.5Bcfと0.1Bcfの微増だった。

表1 地域別天然ガス在庫量(出展元EIA)

表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。温暖な気温となったアメリカ中西部と東部、南部を中心に在庫が増加した。一方で、アメリカ西部や山岳地域、太平洋岸では気温低下により暖房用需要が増加している。東側の方が人口が多く在庫の積み上がりが多かったこともあり、在庫量は3958Bcfと増加した。この数値は平年(5年間の平均)に比べて231Bcf、前年比で293Bcf在庫が多い状態となっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の84.3%、有効容量(4261Bcf)の92.9%となっている。

天然ガス需要と供給

表2は11月12日から11月18日までに供給された天然ガスの内訳となる。天然ガスの生産量は日量90.6Bcfと前週より2.2Bcfの増加となり、90Bcfの大台を回復した。カナダからの輸入は前週比で1.6Bcfの増加した5.0Bcfとなり、2週間前の水準へ戻っている。供給量全体では95.8Bcfと前週から3.9Bcfの増加だった。

表2 部門別天然ガス供給量(出展元EIA)

次の表3は11月12日から11月18日にかけての天然ガスの需要の内訳で、総需要(国内)は前週の61.5Bcfから14.1Bcf増加した75.6Bcfとなった。アメリカ北西部を中心とした地域の気温低下によって暖房用需要=住宅・商業用需要が前週比で12.2Bcfと大幅に増加し27.0Bcfとなった。その他は工業用需要が21.9Bcfから1.3Bcf増加した23.2Bcf、発電用需要が25.5Bcfから0.3Bcf微増した23.2Bcfとなった。輸出需要では、LNG輸出は10.2Bcfと横ばいだったが、過去最高の輸出量を維持している。一方、メキシコ向けパイプライン輸出需要は5.5Bcfで0.1Bcfの微増だった。

表3 部門別天然ガス需要量(出展元EIA)
採掘用リグ稼働数
11月6日11月13日
原油用226基236基
天然ガス用71基73基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

ベーカー・ヒューズ社が先週金曜日に発表した原油・天然ガス採掘用リグ数は表4の通りで前回のコラムから変化はない最新のリグ数は今日深夜に発表される。11月13日発表の稼働リグ数は、原油採掘用が前週から10基増加した236基、天然ガス採掘用は2基増加した73基となり、どちらの用途でもない3基を加えて12基増加した合計312基となり300基を超えて増加を続けている。

今後の見通し

昨日発表された11月13日時点の天然ガス在庫量は、前週比で31Bcf増となり、11Bcfの在庫増を予想していた各社予想に反する結果だった。天然ガス供給は天然ガスの生産が2.2Bcf伸びたほか、カナダからの輸入が増加した影響で95.8Bcfと前週の91.9Bcfを上回った。個人用・商業用需要が前週と比べて12.2Bcfと大幅な増加となった。アメリカ北西部から太平洋岸にかけての冷え込みにより需要が増加したものの、アメリカ東部や南部での気温上昇により暖房用需要全体の伸び悩みが起きたことと天然ガスの生産が増加したことで天然ガス在庫が増加している(図1参照)。

天然ガスのLNG輸出需要は10.2Bcfと過去最高水準が今週も続いている。メキシコ向けパイプライン輸出は5.5Bcfで0.1Bcfの微増だった。輸出需要と暖房用需要が天然ガス需要全体を引き続き牽引している。図2はNGI社が提供している天然ガスのLNG基地向けパイプライン流量≒輸出量の推定値で11月14日と15日で10Bcfを割り込む場面があったが、その後も10Bcfを超えた状態が続いている。LNGタンカーは前週レポートでの入港数は18隻(65Bcf)、今週は18隻(64Bcf)となっている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)


国内需要を左右するNOAAの中長期の気温予想が昨晩更新された。下図3~5は1か月から4か月先の気温予報で、カナダ国境沿いの一部が低温、中西部が平年並みの気温となる見込み。一方で、暖房用天然ガスの大量消費地であるアメリカ東部、南部、カルフォルニアでは平均気温を上回る見込みで、天然ガス需要の伸びは大きくは期待できない。


供給面では生産量が増加し90.0Bcf台を回復した。また、11月13日発表の天然ガス生産用のリグ数は前週から2基増加した73基、原油生産用のリグ数は10基増加した236基と、共にリグ数が増加しており、天然ガス生産は今後増加していくと考えられる。リグ数の情報は金曜日発表のベーカー・ヒューズ社の発表で確認しておきたい。
天然ガス市場では参加者の少なさと投機的な動きで大動きが起きている。昨日のように、生産量の増加と平年より高い気温による暖房用需要の落ち込みが予想されるなかで下落した相場が、後半に買い戻されており需給と関係ない乱高下が今後も続く可能性があると思われる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。