目次
ダイジェスト
- サバクトビバッタ
- エチオピア:東部で繁殖が続く
- ソマリア:北風に乗ってバッタがケニア北東部へ移動
- イエメン:紅海沿岸へ群れが繁殖のために移動、一部は南風に乗ってサウジアラビアへ移動
- サウジアラビア:イエメンから首都リヤド近郊に侵入、風次第ではさらにイラクへ向かって移動する可能性
- エリトリア:海岸沿いで繁殖、一部はエジプトへ
- インドやパキスタン、イラン:被害情報を確認できていない
サバクトビバッタの最新情報
今日は約1か月ぶりにサバクトビバッタの最新情報(FAO)をお伝えする。

図1はサバクトビバッタの群れが確認された場所を示している。
サバクトビバッタの繁殖と移動、そして被害はいまだ終息していない。アフリカ大陸のエチオピアやソマリア、エリトリアでは冬の繁殖が始まっている。アラビア半島ではイエメンに存在する群れが繁殖のため紅海沿岸へ向かっている。
国ごとに見ていくと、エチオピアでは東部で、ソマリアでは中央部で繁殖が続いていて、12月には次の世代の群れが誕生する見込み。両国では駆除作業を続けているが、群れは南のケニアに向かって移動すると見込まれている。今週吹いた強い南風に乗って、すでに一部の群れがケニア北東部、あるいはケニアを縦断してタンザニア北部まで侵入したことが確認されている。これらケニアに侵入した群れは、すでに産卵済みの群れもいるが、未産卵の場合ケニア北東部で繁殖に入ることが懸念されているが、幸い風向きが変わったため小康状態となっている。エリトリアでは群れが紅海沿岸で繁殖に行っており、一部は紅海に沿って北上しスーダンからエジプトへ侵入している。
次にアラビア半島ではイエメンの内陸にある夏の繁殖地から群れが移動を始めている。多くは紅海沿岸の冬の繁殖地へ向けて西に移動している。一部の群れは強い南風に乗って北上し、アラビア半島の中程にあるサウジらラビアの首都リヤドの北方へ達している。今後も南風が吹く場合、さらに北上してアラビア半島を縦断してイラクへ達する懸念が生じている。
図2は今後のサバクトビバッタの動きの予想で、今後繁殖を繰り返しながら、イエメンからケニアに向かって引き続き南下することが予想されている。紅海では群れが北へ移動しつつ、春まで繁殖のため紅海沿岸にとどまる見込み。一方で、イラン、インド、パキスタンの西アジア諸国では小さな群れが、西アフリカのチャドやモーリタニアでは移動性ではない通常のサバクトビバッタの繁殖が確認されているが、平穏な状態が続いている。

今後の見通し
今回のサバクトビバッタによる被害は、結局2020年内には終息せず、エチオピアやソマリアでは来年も引き続きバッタによる被害が続くと考えられている。現地では小雨季となっており、今後の繁殖が懸念されている。アフリカと東部には雨季と乾季しかなく、夏の大雨季に対して冬の雨季を小雨季と呼ぶ。現在のところアフリカ東部からアラビア半島内に留まっているが、今後の風次第では、昨年のようにインド洋を横断するような事態もありうるので、情報に注意しておきたい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。