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コラム
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2020/11/24

エネルギー速報:OPECプラス内の不協和音(つらつらコラム11月24日)

ダイジェスト

  • 最新のリビアの産油量は日量125万バレルで2020年の内戦前の水準を上回っている
  • OPECプラスの協調減産では半数の国々が過剰生産状態
  • 減産割合の高い、UAEでは減産に対する不満が高まっているとの報道

リビアの最新状況

リビアの産油量は先週末の時点で日量125万バレルに到達し、2020年の内戦前の水準を上回った。今後は来月までに130万バレル、来年中に2011年のカダフィ政権崩壊時に匹敵する160万バレルまで回復するのが目標とされる。リビアはアフリカ大陸最大の埋蔵量を抱えているが、埋蔵量に比べると産油量は少ない(埋蔵量がサウジアラビアの約6分の1なのに対して生産量は約10分の1に過ぎない)。今後の増産や開発のために、フランスのトタルが投資のために既に会合を持ったと報道されている。リビアの油田はシェールオイルや海上油田に比べて、生産コストの低い陸上の在来型であることに加えて、ガソリン分の多い価値の高い原油、かつヨーロッパに近いという地理上の位置関係から投資先として価値が高い。今後も武装勢力との間の停戦が続くことが前提だが、豊富な資金さえあれば、日量160万バレルまでの回復は問題ないとみられ、今後も産油量が増加する可能性が高い。

OPEC内の足並みの乱れ

減産を主導するサウジアラビアにこれまで忠実に従っていたUAEが離反する可能性があると報道されている。2020年の春の取り決めのままであれば、2021年の1月からは2020年12月までの日量770万バレルの減産から580万バレルへ減産が縮小する計画であった。しかし、2020年10月以来のコロナウイルスの再度の流行が拡大し、欧州では主要国でロックダウンが再開、アメリカでは感染者の増加が止まらない状況で、原油需要の先行きには黄色信号が灯っている。加えて、減少傾向がまだ続いているとはいえ、2020年春の需要急落で積み上がった備蓄量は高いままとなっているのに加えて、上記のリビアのようなOPECプラス外での増産が行われている。
この状況下で、OPECプラス内での不協和音が表面化しつつある。図1はブルームバーグが推定した原油生産割当と実際の生産量との差分をとったものとなっている。青で示されているのが過剰生産分、黒で示されているのが過剰減産分となっている。これは先週のJMMCで示された数字を基にしているが、加盟国の実に半数が過剰生産を行っていることが分かる。これらの国々のうち、イラクやナイジェリア、カザフスタンといった国々は6月頃から過剰生産分を補償減産することを求められている。UAEは8月頃に過剰生産を行ったが、補償減産をその後9月に行っている。ところが、過剰生産国の内ロシアについては超過量が多い(もともとの生産量も多いため超過割合は低いが)にも関わらず、これまで1回も批判されたことがない。ロシアはむしろ過剰生産を非難する側に回っており、過剰生産を巡る不公平感が生じている。

図1 過剰生産分(青)と過剰減産分(黒) (出展元 ブルームバーグ)

図2は少々分かり難いが、絶対量ではなく4月の協調減産協定の生産割当量(減産量)がその年の生産目標に対して、どれだけの割合となっているかを示している。減産割合で言えば、UAEが求められる減産量は予定生産量の実に32.6%となり、主要産油国と比較すると、サウジアラビアの28.9%、クウェートの26.3%、ロシアの14.1%を上回る。減産量の多さにUAEの不満は高まっており、割当枠の見直しを主張していると伝えられており、今月末からの会合の行方に影響を与えるかもしれない。

図2 原油生産目標に対する減産実施割合(出展元 ブルームバーグ)

当然のことながら一国の特別扱いを行うことは容易ではなく、イラクやナイジェリアといった国も不満を抱えていることを考えるとOPECプラスの崩壊につながる困難な問題となっている。一つの可能性としてはメキシコやエクアドルが今年行ったように、OPECプラスの枠組みから離脱することが取り沙汰されている。現状では経済的、外交的リスクからないと思われているが、どうなるかはわからない。

今後の見通し

原油相場(WTI)は今週もアストラゼネカ社の新型コロナウイルスワクチンの進展報告があり、依然として需要回復期待が先行しており、40ドル以上の水準での取引が続いている。来週の予定されるOPECプラスの会合では減産期間の維持が取り決められると考えられる。その結果として原油価格が維持される場合は、減産により想定される収入源も大きくなるため、今後のOPECプラス内の不協和音や減産疲れが拡大すると考えられ、枠組みが空中分解を起こす可能性が高まると思われる。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、実需の減少から原油価格が下落する場合は、過剰生産への非難を続けながら、OPECプラスの結束は新型コロナウイルスの流行の終息までは維持されるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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