エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析11月5日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIAの週間在庫統計では、原油在庫は799万バレルの減少となった。アメリカの原油生産量にはハリケーン「ゼータ」接近により海上油田からの退避で減産となっていた影響が出ていて、前週より60万バレル増加した日量1050万バレルとなった。原油の輸出入は276万バレルの輸入超過で、前週と比べて輸入が63万バレルの減少、輸出が119万バレルの減少となった。原油の製油所投入量は製油所の稼働率が0.7%向上したことで16万バレル増加し、1355万バレルとなった。戦略備蓄(SPR)は今週は2万バレルの放出が行われている。原油在庫は生産減少と輸入量の増加で在庫減少となった。石油製品ではガソリン在庫が154万バレルの増加、留出油在庫は158万バレルの減少となり、原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は20億1580バレルと前週比で約1480万バレルの減少となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は93万バレルの増加となり、総量は6093万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫

今週の統計では原油在庫が799万バレル減少となり、SPRを除く在庫は4億8440万バレルとなった。ガソリン在庫は154万バレル増加、留出油在庫158万バレル減少となった。WTIの指標として使われるオクラホマ州クッシングの原油在庫は93万バレルの増加となっている。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)801減799減432増100減381減
ガソリン(万バレル)245増154増89減189増162減
留出油(万バレル)58減158減449減383減724減
クッシング在庫(万バレル)98増93増42減97増290増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

今週の原油生産量は、ハリケーン「ゼータ」の接近による生産減で日量1050万バレルと前週比で60万バレルの減少となった。原油輸入量は前週比で1日当たり63万バレル減少した502万バレルに、輸出量は同119万バレル減少した226万バレルとなった。輸入の国別内訳はカナダ産314万バレル(前週344万バレル)、メキシコ産63万バレル(前週54万バレル)、サウジアラビア産20万バレル(前週22万バレル)、イラク産13万バレル(前週9万バレル)、コロンビア産28万バレル(前週29万バレル)、エクアドル産4万バレル(前週20万バレル)、ブラジル産8万バレル(前週0万バレル)等でメキシコやブラジルからの輸入が増加し、その他の国からの輸入は減少した。Adjustmentは87万バレル減少となり前週の60万バレルの増加から147万バレルの減少となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるものであるが、今週はAdjustmentで在庫を減少させる形の調整となった。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)10501110990105010621260
戦略備蓄増加(万バレル/日)-2-9-10-16-13-10
原油輸入(万バレル/日)502566511528545669
原油輸出(万バレル/日)226345303213282332
Adjustment(万バレル/日)-876079-78774
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が0.7%上昇した75.3%となり、製油所への原油投入量は日量約1355万バレルと17万バレル増加となった。前年の86.0%に比べると今週の稼働率は依然として10%以上低い。石油製品生産量では前週と比較してガソリン生産量が日量約32万バレル減少した895万バレル、ジェット燃料の生産は約7万バレル増加した91万バレル、留出油の生産量は15万バレル減少した427万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)135513381302135713381576
製油所稼働率(%)75.374.672.975.174.586.0
ガソリン生産(万バレル/日)  8959278959249091019
ジェット燃料生産(万バレル/日)9184787482174
留出油生産(万バレル/日)   427412413426420487
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)一覧が表4となる。前週と比較してガソリン供給が前週比で日量21万バレル減少した833万バレル、ジェット燃料供給は前週比で10万バレル減少した91万バレル、留出油供給は前週比で48万バレル増加した376万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)833854828857843914
ジェット燃料供給(万バレル/日)9110197117101181
留出油供給(万バレル/日)376424358417394429
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

製油所稼働率が前週比で0.7%上昇したことで、原油消費量は日量1355万バレル(前週比17万バレル増)となった。石油製品ではガソリン生産量が前週比で32万バレル減少した895万バレル、供給量が21万バレル減少した833万バレルとなった。ガソリン輸入量は17万バレル増加した63万バレル、輸出量は18万バレル増加した71万バレルとなった。供給側が多くガソリン在庫が増加した。留出油生産量は15万バレル減少した427万バレル、供給量は48万バレルの減少した376万バレルとなった。輸入量は1万バレル減少した33万バレル、輸出量は20万バレル増加した107万バレルとなり、需要側が多いため在庫が減少している。燃料生産量は7万バレル増加した91万バレル、供給量は10万バレル減少した91万バレルとなった。石油製品全体の供給(需要)量は日量1836万バレルと前週比で1963万バレルから約127万バレルの減少となった。全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比1480万バレルの20億1580万バレルとなった。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となるが今週の卸売価格はガソリンが約9セントの下落、ディーゼル燃料が約6セントの下落となった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/30  10/23  10/16  10/9  10/2  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.0781.1681.2151.2521.1871.745
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.0891.1521.1831.1941.0881.930
原油
(ドル/バレル)
35.6439.7340.7040.4436.9056.04
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなるが、今週のガソリン小売価格はガソリンは2~3セントの下落、ディーゼル燃料は約1セントの下落となった。

小売価格11/2  10/26  10/19  10/12  10/5  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1122.1432.1502.1672.1722.605
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5332.5592.5652.5792.5833.064
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.7862.8102.8152.8292.8333.313
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.3722.3852.3882.3952.3873.062
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

EIA週間統計では2週間前のハリケーン「ゼータ」がメキシコ湾の海上油田地帯への接近で生産量が減少した影響で、原油生産量が1050万バレルと60万バレルの減少となった。需要面では製油所稼働率が0.7%上昇し、原油の消費量が日量17万バレルの増加した1588万バレルとなった。原油輸出入では226万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で63万バレル減少した502万バレル、輸出量が119万バレルの減少した346万バレルとなった。生産量減少とAdjustmentで原油在庫は増加した。主要石油製品ではガソリンについては供給側(生産+輸入)が多く在庫増、留出油(供給(需要)+輸出)は需要側が多く在庫減となった。前週より石油製品の出荷は日量127万バレル減少し、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、20億1580万バレルと前週比で約1480万バレルの減少となっている。
今後の上昇要因と下落要因については昨日のコラムにまとめがあるので参照されたい。一言で言えば原油が供給過剰となっている。今週のアメリカの原油と石油製品の統計では、今週は季節外れのハリケーンの影響で減産となっているものの、原油生産量はおおよそ1100万バレルの水準を維持している。最盛期より220万バレル少ない状態となっている。原油消費量は1355万バレルで輸入の276万バレルを考えるとアメリカの需給はほぼ均衡していると言える。ただ、原油生産面ではシェールオイル生産用リグ数が10基増と確実な増加を見せており、原油生産の増加がまだ続くのではないかと考えられ、原油が余って来るのではないだろうか。加えて、クッシング原油在庫が今週再度増加し、在庫が約6100万バレル、貯蔵率は80%を超えたことで、在庫問題がそろそろ市場でクローズアップされるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。