エネルギー速報:コロナウイルスによる原油減少需要見通し(つらつらコラム11月9日)

ダイジェスト
新型コロナウイルスの流行再拡大
図1 新型コロナウイルスの新規患者数(単位:人/日 出展元 ジョンズ・ホプキンス大学)

図1はジョンズ・ホプキンス大学の提供している新型コロナウイルスの新規患者数のグラフで、10月半ば以降に新型コロナウイルスの患者数が急増している。特に欧州と米国、南米での増加が顕著となっており、アメリカは今日の時点でおよそ1000万人、欧州主要国ではフランス183万人、イギリス120万人、ドイツ67万人などとなっており、欧州主要国の3国では1か月の限定で3月のロックダウンほど厳しくないとはいえ12月までの期間ロックダウンを再開した。これにより、原油需要は下押しすることが予想される。

図2は2019年末を基準とした時に隔月のOPEC月報内で予想されている2020年10~12月(第4四半期)原油の消費量予測を示している。OPECは2020年4月までは今回の新型コロナウイルスの流行が短期間に終わると予測しており、5月から7月までは終息により原油需要は日量100万バレル以上増えると予測していた。このような予測に基づいて、減産期間や減産量を決定したと考えられる。その後、7月以降に予想以上の新型コロナウイルスの感染者数の増加を受けて、原油需要がマイナス修正されて、10月の予想では200万バレル供給が余る予測となっている。注意するべき点は前述の10月10日以降の急速な感染者数の立ち上がりは図2には反映されていない点で、11月の予想ではさらに需要の下押しが容易に予想できる。

図2 2020年の各月のOPEC月報での2020年10~12月の原油消費量(単位:バレル/日 出展元 ブルームバーグ)
*2019年末の予想に対する変化量

では実際にどの程度の需要が失われるのだろうか、図3はEIAが発表している月例のエネルギー短観から持ってきた図となる。図によれば4月のロックダウンで1月の時点で日量1億バレルを超えていた原油需要が、8500万バレル近辺まで落ち込み、おおよそ1500万バレルの需要が失われた。この図は10月に発表されたものだが、9月のデータを使った予測のためにEIAは強気の予測をしているが、原油需要はもはやこの図の通りにはならないと思われる。

図3 原油生産量と原油需要の推移(単位:バレル/日 出展元EIA)

新型コロナウイルスの流行の第2波について東アジアでは被害が少ないとされているが、原油需要については気になるデータが出てきている。図4は日本の原油輸入量(青線)と湾岸5か国(サウジアラビア、UAE、クェート、カタール、イラク)から日本への原油輸出量(黒線)の推移を見たもので、どちらも今年4月以降、感染者がそれほど拡大していないにも関わらず、減少していることがわかる。被害が少ない国でも国内の社会構造の転換で、原油消費量が落ち込んでいることを示している。また中国も10月の原油輸入を前月比で再び減らしている(前年比では引き続きプラス)。東アジアの原油需要が落ちていることは、サウジアラビア国営のサウジアラムコがアジア向けの原油価格を引き下げていることで裏付けられる。

図4 日本の原油輸入総量とペルシャ湾原油の輸入量(百万バレル/日 出展元ブルームバーグ)
今後の見通し

図3からは原油の需要が日量でおおよそ9500万バレルの水準にあることが予想される。4月のロックダウン後の8500万バレル水準から、中国やインドの需要増や需要回復で戻してきていた。欧州主要国が11月から12月にかけて再度のロックダウンに入っているが、4月と異なり、中欧や東欧での新型コロナウイルスの流行が非常に悪化していて、欧州ではさらなる需要減となることは間違いないと思われる。加えて、原油価格の高止まりでリビアの増産が勢いづいていること、アメリカのシェールオイルのリグ数が回復し、増産基調にあることで供給過多となり始めている。これまで、需要を支えてきた東アジアでの需要も頭打ちとなっていることから、繰り返しになるが原油は余っているといえる。この状況で原油は40ドル近傍での値動きとなっているが、いよいよ下落の時が近づいているのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。