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コラム
column

2020/12/03

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析12月3日)

 

ダイジェスト
  • 原油在庫は67万バレル減
    • 原油生産量は日量1110万バレルへ回復
    • 需給調整分(Adjustment、後述)は13万バレルの増加
    • 輸出入では輸入が17万バレル増加、輸出量が62万バレルの増加で、全体では194万バレルの輸入超過
    • 製油所稼働率は0.5%低下
    • 輸出量の増加による在庫減
  • ガソリンの在庫は349万バレル増加
    • 生産量+輸入量>供給量+輸出量で在庫増
    • ガソリン生産量は17万バレル減少、輸入量は8万バレル増加
    • ガソリン供給量は15万バレル減少、輸出量は8万バレル減少
  • 留出油在庫は323万バレル増加となり11週間ぶりに増加
    • 生産量+輸入量>供給量+輸出量となり在庫増に転じる
    • 留出油の生産量は2万バレル減少、輸入量は43万バレル増加
    • 留出油の供給量は39万バレル減少、輸出量は12万バレル増加
  • 原油と石油製品を合わせた在庫量は19億9210万バレル(前週比10万バレルの増加)で11週間ぶりに在庫増に転じる
  • オクラホマ州クッシング在庫は31万バレル減少した5957万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は78.3%
EIA週間統計の総評

今週発表のEIAの週間在庫統計では、原油在庫が先週に続いて67万バレルの減少、原油生産量は日量1110万バレルで10万バレルの増加となった。原油の輸出入は、輸入が17万バレル増加した日量539万バレル、輸出が62万バレル増加した日量345万バレルで194万バレルの輸入超過となっている。製油所の稼働率は0.5%低下した78.2%となり、それを受けて原油処理量は25万バレル増加した1401万バレルとなった。今週、18週間ぶりに戦略備蓄(SPR)に動きはなく、残り6億3820万バレルとなっている。石油製品ではガソリン在庫が349万バレルの増加、留出油在庫は323万バレルの増加だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は10万バレル増加した19億9210万バレルとなり、増加に転じた。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は、31万バレル減少し5957万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫(表1)

週間統計では原油在庫の減少量が市場予想を下回り、67万バレル減少した4億8804万バレルとなった。ガソリン在庫は349万バレル増加した2億3363万バレル、留出油在庫は11週間ぶりに増加に転じ、323万バレル増加した1億4587万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は31万バレル減少した5957万バレルとなった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)415増67減75減76増427増
ガソリン(万バレル)340増349増218増261増230減
留出油(万バレル)33増323増144減521増535減
クッシング在庫(万バレル)13減31減172減120増51減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。ガソリン在庫に続いて留出油在庫が増加に転じた。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と3)

原油生産量は前週より10万バレル増加した日量1110万バレルとなった。原油輸入量は前週比で日量17万バレル増加した539万バレル、輸出量は同62万バレル増加して345万バレルとなった。輸入国の国別内訳と前週からの増減は表2のとおり。今週はカナダやコロンビア、ブラジルからの輸入が増加したが、イラクやサウジアラビアなど中東からの輸入が減少している。

輸入国輸入量万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ363327+36
メキシコ5351-2
サウジアラビア729-22
イラク019-19
コロンビア289+19
エクアドル1210+2
ナイジェリア146+8
ブラジル180+18
表2 輸入量国別内訳(出展元 EIA)

需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるAdjustmentは87万バレルとなり前週の74万バレルから13万バレル増加した。今週も前週と同様にAdjustmentで在庫を増加させる形の調整となっている。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)111011001090105010871290
戦略備蓄増加(万バレル/日)0-1-5-8-4-14
原油輸入(万バレル/日)539522525549534589
原油輸出(万バレル/日)345283275276295313
Adjustment(万バレル/日)877448747120
表3 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

製油所の稼働率が78.2%と0.5%の低下となったため、製油所への原油投入量は25万バレル減少した日量1421万バレルとなった。稼働率は前年の91.9%を下回っている。石油生産量では前週比でガソリン生産が27万バレル減少した日量858万バレル、ジェット燃料生産が9万バレル増加した日量111万バレル、留出油の生産が2万バレル減少した日量458万バレルだった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)140114261384134413891679
製油所稼働率(%)78.278.777.474.577.291.9
ガソリン生産(万バレル/日)  858885906917895994
ガソリン輸入(万バレル/日) 524453454839
ジェット燃料生産(万バレル/日)111102108103106193
ジェット燃料輸入(万バレル/日)9212301526
留出油生産(万バレル/日)   458460427423431492
留出油輸入(万バレル/日)  611828133014
表4 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

石油製品の供給(需要)一覧が表5となる。前週比でガソリン供給が日量15万バレル減少した797万バレル、ジェット燃料供給は3万バレル減少して日量113万バレル、留出油供給は39万バレル減少した日量378万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)797812825876828903
ガソリン輸出(万バレル/日)687669717187
ジェット燃料供給(万バレル/日)11311698132115195
ジェット燃料輸出(万バレル/日)5895726
留出油供給(万バレル/日)378417422405406355
留出油輸出(万バレル/日)948210810798141
表5 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

原油需要側では製油所稼働率が前週比で0.5%低下し、原油消費量は25万バレル減少した日量1401万バレルとなった。石油製品ではガソリン生産量が前週比で17万バレル減少した858万バレル、輸入量は8万バレル増加した52万バレルとなった。一方、ガソリン供給量は15万バレル減少した797万バレル、輸出量は8万バレル増加した68万バレルとなった。ガソリン生産量は減少、輸入量は増加となったが、供給量の減少と輸出量の増加で、今週も供給側(生産量+輸入量)が需要側(供給量+輸出量)より多くガソリン在庫は増加となった。留出油生産量は2万バレル減少した458万バレル、輸入量は43万バレル増加した61万バレルとなった。一方、留出油供給量は39万バレル減少した378万バレル、輸出量は12万バレル増加した94万バレルとなった。供給側(生産量+輸入量)より需要側(供給量+輸出量)が少なくなり、留出油在庫が増加に転じている。ジェット燃料生産量は9万バレル増加した111万バレル、供給量は3万バレル減少した113万バレルとなった。石油製品全体の供給(需要)量は前週比で68万バレル減少した1846万バレルとなった。全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比10万バレル増加した19億9210万バレルとなり、11週間ぶりに在庫が増加に転じた。

石油製品価格(表6)

表6はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となるが最新の卸売価格は感謝祭の祝日のため未公開となっている。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
11/27  11/20  11/13  11/6  10/30  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
未公開1.2021.1581.1211.0781.733
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
未公開1.2881.2011.1451.0891.942
原油
(ドル/バレル)
未公開41.9939.9336.9735.6457.68
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表7は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなるが、今週のガソリン小売価格は約2セントから3セントの上昇、ディーゼル燃料は約4セントの上昇となった。

小売価格11/30  11/23  11/16  11/9  11/2  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1202.1022.1112.0962.1122.575
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5402.5252.5322.5172.5332.999
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.7922.7792.7832.7712.7863.249
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.5022.4622.4112.3832.3723.070
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週の原油生産量は10万バレル増加した日量1110万バレルとなった。需要面では製油所稼働率が0.5%低下したため、原油の消費量は25万バレル減少した日量1401万バレルとなった。原油輸出入では194万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で17万バレル増加した539万バレル、輸出量が62万バレル増加した345万バレルだった。原油生産量、輸入量共に増加したが、輸出量が大きく増加し原油在庫が減少した。主要石油製品では引き続きガソリンの供給側(生産量+輸入量)は需要側(供給量+輸出量)より多く在庫増、留出油は需要側(供給量+輸出量)が減少した一方で、供給側(生産量+輸入量)が増加したため、在庫増加に転じた。前週より石油製品の出荷は日量68万バレル減少した1846万バレルとなった。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、19億9210万バレルと前週比で10万バレルの増加となり在庫増加に転じた。
アメリカの原油生産量は日量1110万バレルに増加した。一方で主要石油製品のアメリカ国内向けの需要が減少しており、原油と石油製品合わせた在庫が11週間ぶりに増加に転じている。1日前のAPIの週間統計では原油在庫も増加に転じており、来週には原油需要の更なる減少で原油在庫もプラスに転じるのかもしれない。
今週はOPECの12月総会とOPECプラスの会合があり、現行の日量770万バレルの減産期間が延長されるかに注目が集まっていた。事前の市場予想は延長に楽観的であったが、UAEの反対により、11月29日のOPECプラスの非公式会合に続いて翌30日のOPEC総会も決裂となり、OPEC総会の結論はOPECプラスの会合後に延長となるなど予想外の展開となった。このため12月1日に予定されていたOPECプラスの会合も延期となり、本日開催となった。減産期間が延長されるかは微妙な情勢になっている他、当初サウジアラビアが提案していた単純な1か月間の延長ではなく、1月以降50万バレルずつ増産するロシア案を軸に検討が進んでいるとの情報が流れている。背景としては新型コロナウイルスワクチンの実用化で、ワクチンによる新型コロナウイルスの感染抑制が今後の経済活動と原油需要の見通しを明るくするとの見方や、アジア地域での原油需要が好調なことが挙げられている。WTIの原油先物相場は45.00ドル付近で推移しており、価格の上昇によりOPECプラスの枠組み自体が軋んでいると考えられる。
しかしながら、ワクチンの承認と接種の準備が始まっているが、その生産、輸送、接種に存在する問題やタイムラグから医療関係者が優先と考えられれ、実際に市中で広くワクチン接種が済み効果が表れるまでは、半年以上の時間が必要な状況は変わっていない。仮に加盟国の抵抗によって枠組みが破綻し、減産が終わって無秩序な供給が始まるような場合には、供給過剰により原油価格が10ドル以上下落する可能性があると考えている。なお、OPECプラスの会合は今夜22時から開催される予定となっている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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