バルティック海運指数と景気先行き(つらつらコラム2月17日)

 

バルティック海運指数の下落
図1 過去1年間のバルティック海運指数の値動き(出展元 Bloomberg)

バルティック海運指数が大幅に下落している。過去9年間の最高値2518を2019年9月4日につけたが、2019年の後半以降下げに転じて2月には450を下回る水準まで下落している(図1)。この数字は2016年3月以来の最低レベルとなっている。まずバルティック海運指数がなにかから説明していきたい。

バルティック海運指数とは

バルティック海運指数はロンドンのバルティック海運取引所が発表する不定期外航貨物船の運賃指数で、鉱石・石炭・穀物運搬船の運賃から毎日発表(最新分は有料、発表時間日本時間22時)されており、1985年1月4日を1000とした数値で表されている。また、数値には季節要因があり、例年冬の始めに下落することは知られている。

景気との関係
図2 2008年リーマン・ショック前後のバルティック海運指数の動き(出展元 TRADINGECONOMICS.com)

貨物船の運賃は当然ながら船が余っていれば下落し、船が足りなければ上昇する。つまり、好景気で貨物が多い時には上昇し、不景気の時は逆に下落することになる。2008年には中国の鉄鉱石輸入をはじめとした原料輸送の需要が高まったことで、5月20日に11793と最高値を記録したが、同年の9月のリーマン・ショックを受けて同年12月5日には663まで低下している(図2)。バルティック海運指数は経済状況に先行する指標だといわれている。実際にリーマン・ショック後のダウの最安値(図3、2009年3月)に対して、バルティック海運指数は2009年12月にこの時期の最安値を記録した。日本の景気動向指数に対しても同様のことが言える。なお、冒頭で紹介した2016年の安値は中国経済の減速が要因の一つだった。

図3 リーマン・ショック前後のダウの値動き(出展元 サクソバンク証券)
底を打っているのは2009年3月
今後の世界景気見通し

直近の話に戻すと、2019年9月の上昇はアメリカと中国の間の貿易戦争の早期終結期待による船賃のつり上げが要因となった。しかし、通商協定の締結の遅れを嫌気して9月以降に下げていたところに、今年になってコロナウイルスの大流行による需要減が追い打ちをかけた形となっている。事実、中国の工業生産の大幅低下によって、原料・製品の輸送が減少しつつある。今回の指数の低下は数か月で80%を超えており、減少率は2008年のリーマン・ショック時の約90%越えに並ぶ非常に大きな値となっている。季節要因による下げを考えてもこの値は大きな値である上、例年は下げ止まる2月になっても下げ止まっていない。この他、バルティック海運指数の示すばら積み船以外の原油タンカーやコンテナ船といった輸送船の傭船料も80%近く下落していると報じられている。以上のように海運はリーマン・ショック時に匹敵する落ち込みとなっており、あくまで海運の状況だけで判断するなら、このまま指数の低い状態が続けば、今後の世界の景気が減速するのは間違いないと言える。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。