この冬の天然ガス価格(つらつらコラム2月18日)

 

2019/2020年冬の天然ガス価格
図1 NYMEXでの2000-2020年の天然ガス価格(出展元 EIA)
縦軸:価格、横軸:月

今月、2月10日に天然ガスは今年冬の最安値を付けた。今日は過去に比べて天然ガスがどの水準にあるのか、要因は何かについて最新の情報を紹介したい。図1は過去20年分の天然ガス価格の推移を示しており、灰色が20年間の価格のレンジ、濃い青が昨年の2019年の価格、薄い青が過去最低価格を付けた2016年の価格、黒線が2020年の価格となっている。図1の左側の拡大図から今年2月10日の価格は2月につけた価格としては過去20年で最低であること、全体で見ても2016年3月8日の終値(過去最安値ではない)である1.685ドル(サクソバンク証券のチャートより筆者拾い出し)以来の低い価格となったことがわかる。これは暖冬のため暖房用ガスの需要が低下したほか、需要以上に天然ガス生産が伸びたことが原因となった。

2020年の1月の天然ガス需給について

2020年最新データ(IHS Markit調べ)によると2020年1月の天然ガスの生産量は過去3番目に多い日量950億Bcfとなった。一方で今シーズンの冬は、アメリカの過去126年に及ぶ気象観測データの中で5番目に暖かい冬となり、図2に示すように冷え込んだ日の数(図2菱形)は過去30年平均(図2実線)より大幅に減少した。菱形が実線を下回った場合、平年よりその週が暖かったことを示しているが、今冬は全体的に暖かかった。 暖冬の影響から住宅、商業、工業、電力の各部門による天然ガス消費の合計は日量96Bcfと昨年同時期より4.4Bcf低い値となっている。それでも、天然ガスの輸出量(LNG+パイプライン輸送)は117.5Bcfと8.5Bcfの増加となったため、消費量全体では昨年より0.2Bcf上回った。

図2 HDD(冷え込んだ日の数)の推移(出展元 EIA)
縦軸:冷え込んだ日の日数、菱形:HDDの実測値、実線:過去30年平均

今冬の天然ガス在庫は2009年以降で過去3番目に少ない在庫水準で始まったものの、増加する生産量と減少した需要のため、現在の天然ガスの在庫(図3実線)は5年平均(図3点線)を215Bcf上回る量で推移している(図3)。今後も冬の終わりとともに需要の伸びは期待されないため、2020年の5月までの在庫予測量(図3水色丸)は過去5年平均を上回り続ける見込みとなっている。

図3 天然ガス在庫量推移と今年3月以降の在庫量予測(出展元 EIA)
今後の見通し

需給面からは冬の終わりまでは天然ガス価格の低迷が予想できる。ただ、3月になれば春の訪れとともにトレンドが変わり、第2四半期に入ると次は暑さの到来による発電用、冷房用需要の高まりと、現在の天然ガス価格の低迷による生産量の落ち込みが要因となり、価格は上昇すると筆者は予想する。なお、EIAは6月に2.36ドルに達すると予測している。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。