原油価格続落(つらつら分析2月27日)

 

このコラムでは2月4日に原油価格50ドル割れというタイトルでコラムを作成した。その後、新型コロナウイルスの流行の拡大が下火になるとの期待から3ドル戻したものの、再び流行は拡大していることから、今週に入り50ドルを割り込む展開となっている。今日はどの程度までの下落が見込まれるかについて改めて予測しておきたい。

原油価格のリスクプレミアム

まず、コロナウイルスが蔓延しなかった場合の価格を見積もっておきたい。昨年末のイランの革命防衛隊司令官の爆殺がきっかけで一気に高まったアメリカとイランの間での軍事衝突懸念から原油相場は1月8日に65.63ドルを記録した。その後、緊張緩和によって58.00ドル台まで下落し、イランとの緊張が高まる前の水準(52.00から58.00ドル)まで下落している。加えて9月中頃のサウジアラビアの原油施設襲撃では63.36ドルまで上昇したことを合わせて考えると、中東の地政学的リスクはおよそ8ドル程度と見積もることが出来る。以上からやはり52.00から58.00ドルくらいがリスクプレミアムのない価格と考える。

需給
World liquid fuels production and consumption balance
図1 原油など液体燃料需要と消費の推移(出展元 EIA)

図1は2020年1月21日時点でのEIAの原油需給の予測で、これによると2020年の4-6月期には約100万バレルの余剰が生じると予想されていた。同様の余剰のあった時期を探してみると、2018年の後半には日量100万バレル以上の余剰があり、その時の原油価格が約50ドル、年末に余剰が200万バレルに達したおりに約42ドル台を記録している。これらのことから見積もると、100万バレルの余剰が約8ドルに相当すると仮定する。
この仮定を用いると原油価格は3月までは58ドル程度、4月以降は50ドル程度となると考えることが出来る。

新型コロナウイルスによる需要減の見積もり

次にIEA(国際エネルギー機関)の月報では2月14日の時点での新型コロナウイルスによる需要減は1日当たりおよそ43.5万バレルとなっていた。図2はコロナウイルスの流行による世界需要への押し下げ要因を同月報内で推計したもので、黒がIEA推計、青がOPEC推計となっている。これによると今年の3月までにウイルスの流行が130万バレルの原油需要押し下げ要因となると予測されている。ただし、このIEA月報の発表後も感染の拡大が止まっておらず、中国国外への感染発生報告が続いているため、今後さらに需要の減少が見込まれる。
上で仮定した余剰と価格の計算式を使って、43万バレルの需要減を計算に入れると、2月の中頃の予想価格は54ドル程度、今後の需要に対する影響の最小値を130万バレルを考えて計算に入れると、約11ドルの下落となり、2月末の予想水準は43-46ドル程度になる。今日現在の価格は約48ドルとなっているが、この筆者の推計によれば更に下げの余地があることになる。

図2 コロナウイルスによる需要減推計(出展元 ブルームバーグ)
まとめ

今日は、新型コロナウイルスの感染拡大が、今後の原油相場へどれだけのインパクトがあるかを見積もった。需給だけで現在の価格水準が説明できることから需要が回復するか大規模な減産が行われない限り、原油価格の大きな回復は見込めないと考える。一方で産油国全体での産油量には全くブレーキがかかっていないため、3月以降には予定以上の余剰が積み上がると考えられる。合わせて考えると、需要供給共に状況が更に悪化しているため、3月中には30ドル台が見えてくる可能性が高まってきたと筆者は予想している。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。