原油価格の50ドル割れ(つらつらコラム2月4日)

 

昨日の原油相場の動き

昨日の原油相場は、中国人民銀行が公開市場操作を行って総額5000億人民元を市場に供給したことから株高となった影響を受けて日本時間で19時頃に52.00ドル直前まで上昇した。日本時間19時を過ぎると新型コロナウイルスの流行拡大による需要減少懸念から売りの勢いが強まって、日本時間で日付の変わった25時頃に50ドルの大台をついに割り込んだ。その後一時買い戻されたが、27時頃から売り直されて50ドルを割り込んだまま引けている。今日は現在の状況を再び整理して今後の原油の値動きの見通しについて予想してみたい。

コロナウイルスの流行による影響

新型コロナウイルスの流行拡大はいまだ留まるところを知らず、今日の朝の時点で死者は425と400人を超え、中国国内の感染者2万438人、中国外の感染者は151人、内アメリカ11人、日本16人となっている。このコラムでも紹介した先月21日にゴールドマン・サックスが出したレポートによると日量26万バレルの需要が減少し、約3ドル原油価格が下落するとの見通しがしめされたが、中国の渡航制限が実施された後の31日にオーストラリア・アンド・ニュージーランド銀行が出したレポートでは中国人観光客(1億7000万人)の減少に伴う航空各社の減便で原油需要が日量50万バレル影響を受けるとの試算が出された(ただし、中国の旅行制限が解除されれば、すぐに回復するとも予想している)。

中国での原油需要減少

最大需要期の春節を前にしたコロナウイルスの感染拡大と対策として取られた移動制限のため中国の燃料需要は大きな打撃を受けており、シノペック(中国石油化工)は今月の原油処理量を12%(日量60万バレル)削減している他、独立系石油精製企業でも3から5割精製量を引き下げていると報じられている。減産幅は過去10年で最大の削減幅となっている。また、関係者によると日量1383万バレルに達する中国の原油消費の内300万バレル程度が減少しているとの話が流れている。中国の原油輸入量は日量1100万バレルのため約3割の輸入が減少する可能性がある。

OPECプラスの対応

原油安に対応するため元々3月5日~6日に予定されていたOPECプラスの会合を2月に繰り上げることをサウジアラビアが提案していると報道されていたが、昨日になってロシアが前向きな姿勢をしめしたと報道された。また、関係筋の話として今週4日と5日に開催される共同技術委員会(JTC)で新型コロナウイルスの流行拡大による市場への影響を分析する予定だが、追加減産の実施勧告が出る可能性が高いといわれている。それを受けてOPECプラスの緊急会合が開かれる場合は2月の8日~9日もしくは14日~15日が候補として浮上していると報道されている。減産量は現状の日量170万バレルから220万バレルへ50万バレル拡大される見通しが有力視されている。

まとめ

原油相場は1月だけで20%以上下落し弱気相場へ突入となった。原油需要の減少は中国経済の減速が収まらない限り回復は難しい上、原因となっている新型コロナウイルスの感染拡大が収まる気配もないため、今回の弱気相場はしばらく続くのではないかと筆者は予想する。去年の弱気相場の状況では10月の時点で年末までに35ドルという話がささやかれていたが、米中の通商協議が成立すれば回復すると考えられていたその時よりも状況が悪い。OPECプラスが計画している日量50万バレルの減産も、相変わらずOPEC外の増産分を補うには十分とは言えないため、筆者は効果を疑問視している。以上の理由からウイルスの流行がこのまま収束しなければ、3月までに30ドル台まで下落する可能性はあるのではないかと筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。