米中両国での感染症流行(つらつらコラム2月6日)

 

続く新型コロナウイルスの流行

前回のコラムから1週間経過した。発生地である武漢は封鎖され、中国有数の行楽シーズンである春節も明けたが、新型コロナウイルスの流行拡大は止まっていない。図1は昨日5日までの罹患者数と死者をAFPがまとめたもので、28日時点の罹患者約4500人、死者は106人に対して5日で罹患者約2万4千人、死者490人となり、6日の最新の発表では中国国内だけで罹患者約2万8千人、死者563人となった。1月30日にWHOは非常事態を宣言、19年7月のアフリカ西部でのエボラ出血熱についで6例目となったが、旅行や貿易の規制は各国任せとなっている。

図1 新型コロナウイルスの罹患者と死者の推移(出展元 AFP)
中国経済への影響と世界経済への影響

春節期間中の個人消費の増加分(19年実績で約16兆円、2017年の中国のGDP1200兆円の1.5 %以上)が失われたことの対策などとして3日に中国人民銀行から18兆5000億円の資金が供給された。2019年の中国の成長率は6.1%と中国指導部の目標(6.0~6.5%)の下限ギリギリとなったが、金融機関の推計によると、これまでのウイルス流行の影響だけで、今年の1~3月期の成長率は5%程度に落ち込む可能性が指摘されている。中国経済は世界経済の約16%を占めるまでに成長しており、世界経済への影響が懸念される。特に、サプライチェーンの起点が中国というケースが多く、医薬品の場合ではバイオ産業の都市として発展していた武漢が原料素材を供給しているような場合もあり、様々な産業へ懸念が広がっている。

コロナウイルスの発生の陰で

中国が新型コロナウイルスの抑え込みに苦労する中、アメリカではインフルエンザが猛威を振るっている(図2)。CDC(アメリカ疾病対策センター)の発表では2019/2020冬の罹患者は1900万人、死亡者は1万人を超えている。また、近年で深刻だった2017/2018冬の罹患者4500万人、死者6万1千人を超えた過去10年で最悪の流行となる可能性があるとのNIAID(アメリカ国立アレルギー感染症研究所)は予想している。2018年の流行による経済への影響は民間会社の推計で生産性の損失として240億ドル(約2兆4千億円、同年のアメリカGDPの0.13%)だった。今年も同様と考えると0.1%程度成長率が引き下がることとなるが、今回のコロナウイルスの流行が世界経済に与える影響に比べれば小さいといえるだろう。

図2 1月25日時点でのインフルエンザの流行レベル(出展元 CDC)
まとめ

1月27日に新型コロナウイルスの流行が騒がれて、ダウはその前の週の24日に比べて、今週までに約800ドル(約3%)下落した。今週の5日になって中国だけでなく世界中で対策が取られる中、株価は下落前の水準を超えて29500ドルへ迫る勢いとなっている。ただし、感染が広がっている中国では収束気配は全く見られていない。現在上海や北京など中国主要都市ではなお機能を停止している。感染と死者がさらに拡大することになれば、中国経済の減速と成長率の前年割れは確実となり、世界経済の減速懸念から再び株価は1月末以上に大きく下落すると筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。