アメリカ産コーン輸出についての考察(つらつらコラム2019年11月27日)

 

今日はアメリカ産コーンの価格と輸出について考察する。コーン相場は図1の矢印が示すように10月以来下落傾向が続いている。一方で今シーズン(2019/2020)のコーンの輸出は月曜日までの累計で559.8万トンとなっていて、昨シーズン(2018/2019)同時期の1316.6万トンを大きく下回っている。

図1 コーン日足 (出展元 サクソバンク証券)

次に世界のコーンの動向を見ていこう。下の表はUSDA(アメリカ合衆国農務省)がまとめた需給報告から昨シーズンと今シーズンのコーンの輸出入について抜粋したもので、上段が全世界の生産量と期末在庫、中段が輸出国の輸出量、下段が輸入国の輸入量となっている。

            2018/2019(百万メトリックトン)    2019/2020(百万メトリックトン)    
生産量1080.021125.01
期末在庫341.72320.06
全世界輸出148.19180.30
アメリカ61.9252.46
アメリカ以外86.28127.84
アルゼンチン22.4726.00
ブラジル24.1541.00
ロシア5.533.00
南アフリカ2.071.00
ウクライナ18.0430.30
全世界輸入149.96161.97
中国3.464.48
EU18.4724.80
日本15.6716.05
メキシコ16.1316.40
東南アジア14.2016.38

全世界でコーンの生産量は約4500万トン増加している。次に、需要国による輸入量は約1億4900万トンから約1億6200万トンへ約1300万トン増大する見込み。一方で生産国による輸出量は約1億4800万トンから約1億8000万トンにまで約3200万トン拡大する見込みとなっている。ここで、輸出量変化の内訳をみてみよう。アメリカが最大のコーン輸出国であることには変化はないが、今シーズンは約1000万トン輸出量が減少する見込みとなっている。それに対してアルゼンチンが約1400万トン、ブラジルが約1700万トン、ウクライナが約1200万トン輸出を増大させる見込みとなっている。このうち北半球にあるウクライナは既に収穫期を迎えており、特に不作との情報もないためアメリカの減少分はウクライナの増加分によってカバーされたと考えて問題ないだろう。これから作付けと生育期に入る南米2か国分の約3100万トンが、来年に市場へ出てくると考えると、コーンには大きな余剰が生じると予想される。

次に各国のコーンの一トン当たりの価格比較を比較してみると、以下の通りになる。

出展元 (IGC=国際穀物理事会)  1メトリックトン当たり価格($/MT)  
アメリカ産174
アルゼンチン産165
ブラジル産172
ウクライナ・ロシア産166

運賃等もあるため単純な比較はできないが、アメリカ産が最も高価になっていることが分かる。

まとめると、来年のコーンの消費量は堅調に増大するが、輸出量がそれ以上に増える予想となり、市場のコーンに余剰が生じることが考えられる。アメリカ産コーンは価格競争力的に弱い状態となっている。以上のことから今後のコーン相場は南米で干ばつや長雨などコーンの生育に悪影響がない限り、しばらくの間アメリカ産コーン輸出の低調さは続くため、コーン相場も低迷するのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。