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ダイジェスト
・ブラジル
北部では1週間当たり10~100mmの降水量
中部では1週間当たり10~100mmの降水量
南部では1週間当たり10~100mmの降水量
1月12日から18日の間に北部や中部で雨が降ったが、25mm以下の降水量の地域が点在している。高温乾燥状態で雨が必要な状態が続くが、今後南部では降雨が戻る可能性がある。
・アルゼンチン
1月12日から18日の間に西側のラ・パンパ州からサンタ・フェ州にかけて1週間当たり50~75mmの降水量、それ以外の地域では1週間で10~25mm程度の降水量
19日以降1週間は高温と少雨が続き、乾燥状態が続く予報
南米の干ばつの状況
南米の大豆とコーンの主要産地であるブラジルやアルゼンチンでは前年より乾燥懸念が続いていたが、いよいよ収穫量を左右する開花と受粉の時期が到来した。これまで以上に降水が重要になってきている。今週も週の降水量と土壌水分量の変化、来週の天候について見ていきたい。
ブラジル アルゼンチン
図1は南米の大豆とコーンの産地の先週1週間(1月12日から1月18日の間)の降水量を示している。
ブラジル
ブラジル(図1左)では各地で25~100mmと平年並みの雨が降ったが、局所的で10mmから25mmと平年の半分程度の場所も多かった。気温はブラジル全体で30度台後半へ上昇しており、引き続き夏の暑さが乾燥を促進している。乾燥が続いている南部(リオグランデ・ド・スル州)では大豆、コーン共に約9割以上の作付けが終了、中部のパラナ州では大豆とコーンの75%が開花期に当たっている。作付け遅れで開花時期も遅れており、これから着さや期に当たるので1月下旬の降雨が重要となる模様。
アルゼンチン
アルゼンチン(図1右)では1月12日から18日の間にラ・パンパ州からサンタ・フェ州にかけて平年以上の50~75mmの雨となった他は、平年並みの25mmほどの降水量だった。気温は30度台が続いており、暑さによって乾燥が促進されている。アルゼンチン政府の発表では1月7日の時点で大豆の94%(平年95%)とコーンの85%(平年87%)の作付けが終了している。作付けの進展速度は昨年並み。乾燥状態が解消せず作柄が低下しているとの情報がある。
土中水分量
1月11日 1月18日
図2はNSANによる土中水分量のリモートセンシングの結果を示している。図中の色分けは1948年から2012年の水分量の平均を平年のデータとして、平年からの水分量のずれをパーセンテージで見ていて、図中で青色が強いほど平年より水分が豊富で、茶色が濃いほど水分が少なく乾燥していることを意味している。図2左側は1月11日、右側は1月18日の土中水分量を示している。
ブラジルでは降雨により南部や中部を中心に土中水分量に改善が見られ、平年並みの水分長の地域が増えてきた。
アルゼンチンでは局所的に大量の雨の降った地点が左図に見られるが、右図では多くの地域で平年並みの水分量となっている。
今後の降水予報
ブラジル
1月19日~25日 1月26日~2月1日
図3はブラジルの今後2週間分の降水量を平年(1980~2010の平均)と比較した図で、茶色に近いほど平年より降水量が少なく、緑に近いほど平年より降水量が多いことを示している。図3左が1月19日か25日まで、図3右が1月26日からの2月1日までの降水量予測となる。乾燥が続いているブラジル南部では来週以降は平年並みの降水量が予測される。それ以外の地域ではブラジル中部を中心に全体的に雨が少なくなり、今後2週間では平年の50%程度、おおよそ30~50mmの降水量となる予報となっている。
アルゼンチン
1月19日~25日 1月26日~2月1日
図4はアルゼンチンの今後2週間分の降水量を平年(1980~2010の平均)と比較したもので、色の設定は図3と同様、茶色に近いほど平年より降水量が少なく緑に近いほど平年より降水量が多いことを示している。図4左が1月19日から25日、図4右が1月26日から2月1日までの降水量予測で、今週から約2週間の間は全体的に平年並みの降水となり、30~50mmの雨となる見込み。
まとめ
南米の大豆とコーンの産地であるブラジルでは中部を中心に雨が降っているものの、にわか雨が多い状況となっており降水量は各地でまちまちとなっている。雨が降った地域には上場の水分量が平年並みまで回復した地域も見られる。1月下旬からは南部に降水量が戻る可能性が予想されている一方で、北部や中部では平年の半分ほどの降水量となる模様。アルゼンチンでは先週は雨が少なく、生育の重要段階にあるコーンに対しては緊急に雨が必要と報告されていた。今後2週間は平年並みの降雨があるものの、大量の雨は直近には降らず土壌水分量の回復は限定的となる見通し。
先週のUSDAによる1月の需給報告を発表では南米のコーンと大豆の生産量は、ブラジル産の大豆を除いて引き下げが相次いだ。大豆、コーン共に開花と実の形成時期に当たり、今後の作柄を左右する最も雨の欲しい時期となるので天気の動向に注目したい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。