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コラム
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2020/12/11

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム12月11日)

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ダイジェスト
  • 天然ガス在庫は各社予想の88Bcf減に対して91Bcf減と予想を上回る
  • 12月4日時点の天然ガス在庫量は3848Bcf(有効容量の90.3%)
  • 12月3日から12月9日の天然ガスの供給量は95.8Bcfと直近3週間のレポートで横ばい
  • 12月3日から12月9日の天然ガスの需要は89.2Bcfと前週比で9.42cf増
  • 内訳は発電需要が2.5Bcf増加、住宅・商業用需要が6.3Bcfの増加、工業用が0.5Bcfの増加、LNG輸出が0.9Bcfの増加となった。
  • 天然ガス採掘用リグは75基(2基減)、原油採掘用リグ246基(5基増)
  • LNGの輸出需要は10日の時点で11.3Bcfと過去最高水準。新設備の稼働による効果で今後劇的には増えないと思われるが好調な輸出が続く
  • 今後の2週間後の気温予報はアメリカの大半は平年以上の気温となる見通し
週間天然ガス在庫総評
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

EIAの発表する12月4日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で91Bcf減少した3848Bcfとなり、予想の88Bcf減少を上回った。在庫量は平年より8.7%多い状態となっている。昨日の天然ガス先物相場は欧州時間までは従来予報より暖かくなり暖房用需要が伸び悩むとの見方から下落、欧州時間以後は従来より寒くなるとの見通しから買われて上昇した。加えて、在庫減少量が各社予想を上回ったことを好感した。

表1 地域別天然ガス在庫量(出展元EIA)

表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。人口の多いアメリカ東部や南部、中西部で気温が低下して暖房用需要が高まり、これらの地域では在庫が減少した。結果、全米の在庫量は3848Bcfと前週と比べて91Bcfの減少となった。この数値は平年(5年間の平均)に比べて260Bcf、前年比で309Bcf在庫が多い状態となっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の81.9%、有効容量(4261Bcf)の90.3%となっている。

天然ガス供給

表2は12月3日から12月9日の期間の天然ガスの供給側の一覧となる。天然ガスの生産は前週比で1.1Bcfの減少となる89.9Bcfとなった。一方でカナダからの輸入は5.7Bcfと前週から1.1Bcfの増加となったため、天然ガスの総供給量は95.8Bcfと前週と変わらなかった。

図3 天然ガス供給一覧(出展元 EIA)
天然ガス需要

表3は12月3日から12月9日の期間の天然ガス需要をセクタ別に分類したものとなる。発電需要が2.5Bcf増加した28.2Bcf、工業需要が0.5Bcf増加した24.3Bcf、住宅・商業用需要が6.3Bcf増加した36.8Bcfとなり、アメリカの国内需要は9.2Bcf増加した89.2Bcfとなった。住宅・商業用の暖房用需要が需要の増加をけん引した。輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が0.1Bcf減少した5.5Bcf、LNG輸出が0.9Bcf増加した11.2Bcfとなった。

図4 天然ガス需要セクタ別一覧(出展元 EIA)
採掘用リグ稼働数
11月13日時点11月20日時点11月25日時点12月2日時点
原油用236基231基241基246基
天然ガス用73基76基77基75基
表2 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

表2はベーカー・ヒューズ社が発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の12月2日発表の現在最新のレポートによると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週(11月25日)から5基増加した246基、天然ガス採掘用リグ稼働数は2基減少した75基となった。リグの総数はどちらの用途でもない2基のリグを加えて、前週より3基増加した323基となった。原油採掘用のリグ数の回復がシェールオイルの主要産地であるパーミヤン盆地で続いている。

今後の見通し
LNG輸出

図5はNGI社が提供している天然ガスのLNG基地に接続されているパイプラインの流量で、輸出量の推定値となる。12月3日日曜日に落ち込みがみられるが、翌日以降11.0Bcf超とLNG輸出が過去最高水準となっている。12月3日から9日の間に全米6か所のLNG輸出基地に22隻のタンカーが寄港し、81Bcfの天然ガスが輸出された。アメリカのLNG輸出能力は6か所の輸出基地(サビーンパス、コーパスクリスティ、フリーポート、キャメロン、コーブポイント、エルバ島)で日量9.5Bcf(ピーク時日量10.8Bcf)となっている。前週、コーパスクリスティで新しい輸出用設備が試験輸出を開始した。好調な輸出を背景に、当初の2021年5月稼働開始予定を6か月繰り上げたもので、輸出能力は日量1.8Bcf(ピーク時日量2.0Bcf)となっている。これによりアメリカのLNG輸出設備は合計で日量11.3Bcf(ピーク時日量12.8Bcf)となった。現在試験輸出分も含めたほぼ上限能力での輸出が続いている。

図5 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

図7はNOAA発表の10日後から14日後(12月18日から25日)の気温予報で、前週の予報にあった寒気が去り、全国的に暖かくなる見通しで暖房用需要の減少見通しに転じると予想される。

図6 12月18日から25日の気温予報(出展元 NOAA)

天然ガスの生産増加は一服し、90.0Bcf前後で推移している。需要面では、好調が続く輸出を背景に来年の5月稼働を予定していた新しいLNG輸出用設備が繰り上げ稼働した。これにより1週間前からLNG輸出が増加しているが、新設備を加味しても輸出設備上限に近い輸出となっており、今後劇的な増加はないと考えられる。総合して考えると、来週にかけては暖房用需要の減少見通しが優勢となり、天然ガス価格は下落すると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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