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コラム
column

2020/12/14

エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析12月17日)

*記事作成日は表示テスト中です

アンケートのお願い
ダイジェスト
  • 原油在庫は314万バレル減少
    • 原油生産量は日量1100万バレルで前週比10万バレル減
    • 需給調整分(Adjustment、後述)は90万バレルの減少
    • 輸出入では輸入が105万バレル減少、輸出量が79万バレルの増加で、全体では280万バレルの輸入超過
    • 製油所稼働率は0.8%低下し原油処理量が25万バレル減少
    • 生産量と輸入量の減少、輸出量の増加による在庫減少
  • ガソリンの在庫は102万バレル増加
    • 生産量+輸入量>供給量+輸出量で在庫増
    • ガソリン生産量は18万バレル増加、輸入量は17万バレル減少
    • ガソリン供給量は37万バレル増加、輸出量は12万バレル減少
  • 留出油在庫は16万バレル増加
    • 生産量+輸入量>供給量+輸出量で在庫増
    • 留出油の生産量は7万バレル減少、輸入量は22万バレル増加
    • 留出油の供給量は62万バレル増加、輸出量は26万バレル増加
  • 原油と石油製品を合わせた在庫量は20億570万バレルで前週比630万バレルの減少
  • オクラホマ州クッシング在庫は19万バレル増加した5840万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率は76.8%
EIA週間統計の総評

今週発表のEIAの週間在庫統計を解説する。まず原油在庫は313万バレルの減少となった。原油生産量が日量1100万バレルで前週比10万バレルの減少、原油の輸出入量は、輸入が105万バレル減少した日量542万バレル、輸出が79万バレル増加した日量262万バレルとなり、280万バレルの輸入超過となった。製油所の稼働率は前週比で0.8%向上した79.1%となり、原油処理量は25万バレル減少した1418万バレルとなった。今週は製油所の稼働率の低下で原油精製量が減ったが、生産量と輸入量の減少、輸出量の増加が在庫が増加した。戦略備蓄(SPR)の放出は再び0となった。主要石油製品ではガソリン在庫が102万バレルの増加、留出油在庫は16万バレルの増加だった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は630万バレルの減少となり、在庫量は20億570万バレルとなった。WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの在庫は19万バレル増加した5840万バレルとなった。

原油と石油製品の在庫(表1)

週間統計では原油在庫が市場予想を若干上回って、313万バレル減少した5億9万バレル、ガソリン在庫は102万バレル増加した2億3887万バレル、留出油在庫は16万バレル増加した1億5125万バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は19万バレル増加した5840万バレルとなった。原油在庫の増減は前日に発表されたAPIの統計と逆の結果となった。

API統計 EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)197増313減1515増67減75減
ガソリン(万バレル)83増102増422増349増218増
留出油(万バレル)476増16増522増323増144減
クッシング在庫(万バレル)17減19増136減31減172減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)

原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と3)

原油生産量は前週より10万バレル減少した1100万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量105万バレル減少した542万バレル、輸出量は同79万バレル増加した262万バレルとなった。輸入国の国別内訳と前週からの増減は表2のとおり。今週はコロンビアからの輸入が増加した以外は、他の主要国からの輸入は軒並み減少となった。特に中東産が減少している。

輸入国輸入量万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ353398-45
メキシコ5867-9
サウジアラビア728-21
イラク010-10
コロンビア2821+7
エクアドル1624-8
ナイジェリア48-4
ブラジル1328-15
表2 輸入量国別内訳(出展元 EIA)

需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられるAdjustmentはマイナス6万バレルとなり前週の84万バレルから90万バレル減少した。今週も前週と逆にAdjustmentで在庫を減少させる形の調整となっている。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)110011101110110011051280
戦略備蓄増加(万バレル/日)0-10-1-10
原油輸入(万バレル/日)542647539522563657
原油輸出(万バレル/日)262183345283268363
Adjustment(万バレル/日)-68487746066
表3 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

製油所の稼働率が79.1%と0.8%の低下となり、製油所への原油投入量は25万バレル減少して日量1418万バレルとなった。稼働率は前年の90.6%を大きく下回っている。石油生産量では前週比でガソリン生産が18万バレル増加した日量852万バレル、ジェット燃料生産が2万バレル減少した日量110万バレル、留出油の生産が7万バレル増加した日量460万バレルだった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)141814431401142614221656
製油所稼働率(%)79.179.978.278.779.090.6
ガソリン生産(万バレル/日)  852834858885857984
ガソリン輸入(万バレル/日) 617852445951
ジェット燃料生産(万バレル/日)110112111102108187
ジェット燃料輸入(万バレル/日)11189211526
留出油生産(万バレル/日)   460467458460461507
留出油輸入(万バレル/日)  492761183917
表4 石油製品生産量 (出展元 EIA)

石油製品供給(日量、需要)(表5)

石油製品の供給(需要)一覧が表5となる。前週比でガソリン供給が日量37万バレル増加した797万バレル、ジェット燃料供給は16万バレル減少した日量114万バレル、留出油供給は62万バレル増加した日量400万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)797760797812791941
ガソリン輸出(万バレル/日)789068767859
ジェット燃料供給(万バレル/日)114130113116119205
ジェット燃料輸出(万バレル/日)81258914
留出油供給(万バレル/日)400338378417383412
留出油輸出(万バレル/日)1078194829191
表5 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)

石油製品需給(日量)

原油需要側では製油所稼働率が前週比で0.8%低下して、原油消費量は25万バレル減少して日量1418万バレルとなった。石油製品ではガソリン生産量が前週比で18万バレル増加した852万バレル、輸入量は17万バレル減少した61万バレルとなった。一方、ガソリン供給量は37万バレル増加した797万バレル、輸出量は12万バレル減少した78万バレルとなった。ガソリン生産量は減少、輸入量は増加となったが、供給量の減少と輸出量の増加で、今週も供給側(生産量+輸入量)が需要側(供給量+輸出量)より多くガソリン在庫は増加となった。次に留出油生産量は7万バレル減少した460万バレル、輸入量は22万バレル増加した49万バレルとなった。留出油供給量は62万バレル増加した400万バレル、輸出量は26万バレル増加した107万バレルとなった。供給側(生産量+輸入量)に需要側(供給量+輸出量)が迫ってきたが、わずかに留出油在庫は増加した。ジェット燃料生産量は2万バレル減少した110万バレル、供給量は16万バレル減少した114万バレルとなった。石油製品全体の供給(需要)量は前週比で80万バレル増加した1933万バレルとなった。全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は原油在庫の減少などで、前週比630万バレル減少した20億570万バレルとなったが、20億バレルの大台を維持した。

石油製品価格(表6と表7)

表6はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となる。前週と比較してガソリンが5セント、ディーゼル燃料が3セント値が値上がりしている。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
12/11  12/4  11/27  11/20  11/13  前年同時期  
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
1.3381.287未公開1.2021.1581.687
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
1.4311.397未公開1.2881.2011.954
原油
(ドル/バレル)
46.5946.23未公開41.9939.9359.20
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表7は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなるが、今週のガソリン小売価格は前週比で横ばい、ディーゼル燃料は前週比で約3セントの上昇となった。

小売価格12/14  12/7  11/30  11/23  11/16  前年同時期    
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.1582.1562.1202.1022.1112.561
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5652.5672.5402.5252.5322.981
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.8212.8202.7922.7792.7833.230
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
2.5592.5292.5022.4622.4113.049
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週の原油生産量は日量1100万バレルで10万バレルの減少となった。需要面では製油所稼働率が0.8%低下し、原油消費量が25万バレル減少した日量1418万バレルとなった。原油輸出入は280万バレルの輸入超過で、輸入量が前週比で105万バレル減少した542万バレル、輸出量が79万バレル増加した262万バレルだった。原油の生産量と輸入量の減少、輸出量の増加のため原油在庫が減少している。主要石油製品ではガソリンと留出油ともに供給側(生産量+輸入量)は需要側(供給量+輸出量)より多く在庫増となった。前週より石油製品の出荷は日量80万バレル増加した1933万バレルとなった。全ての石油製品と原油を合わせた在庫は、630万バレル減少した20億570万バレルとなったが、20億バレルの大台を維持した。今週のEIAの在庫統計は1日前のAPIの週間統計と反対の結果になっており、原油在庫の動向が分かりづらくなっている。
原油相場は新型コロナウイルスワクチンの実用化にともなう経済の回復期待が強く、原油先物相場は前週比で3ドル以上上昇した48.50ドル付近で推移しており、50.00ドルが見えてきている。OPECの月報などを見る限り新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンの影響で原油需要が下振れしており、需給面からは不可思議な値動きとなっている。すでに市場参加者の多くがクリスマス休暇に入たと思われ、値動きが非常に小さくなっているため、年内に大きく動くことは考えづらいが、年始にはバブルとなっている原油相場が大きく下落する機会が来ると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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