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ダイジェスト
- 天然ガス在庫は各社予想118Bcf減に対して122Bcf減と予想を上回る
- 12月11日時点の天然ガス在庫量は3726Bcf(有効容量の87.4%)
- 12月10日から12月16日の天然ガスの供給量は95.7Bcfと約1月ほぼ横ばい
- 12月10日から12月16日の天然ガスの需要は88.2Bcfと前週比で0.3Bcf増
- 内訳は発電需要が1.3Bcf減少、住宅・商業用需要が1.3Bcfの増加、工業用が0.2Bcfの増加、LNG輸出が0.2Bcfの減少となった。
- 天然ガス採掘用リグは79基(4基増)、原油採掘用リグ258基(12基増)
- LNGの輸出需要は17日の時点で11.0Bcfとやや減少したが輸出設備の限界に近い好調な輸出が続く
- 今後の2週間後の気温予報は大西洋岸以外は平年以上の気温となる見通し
週間天然ガス在庫総評

EIAの発表する12月11日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で122Bcf減少した3726Bcfとなり、予想の118Bcf減少を上回った。在庫量は平年より8.3%多い状態となっている。昨日の天然ガス先物相場は欧州時間には従来より寒くなるとの見通しから買われて上昇したが、アメリカ時間には在庫減少量が各社予想を上回ったが、気温が穏やかになるとの予報で暖房用需要の伸び悩みを材料に売られた。また、利食い売りもあったと考えられる。終盤買い戻されて結果小幅な値動きとなった。

表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。人口の多いアメリカ東部や南部、中西部で中心に暖房用需要が高まり、全米の在庫量は3726Bcfと前週と比べて112Bcfの減少となった。この数値は平年(5年間の平均)に比べて243Bcf、前年比で284Bcf在庫が多い状態となっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の79.3%、有効容量(4261Bcf)の87.4%となっている。
天然ガス供給
表2は12月10日から12月16日の間の天然ガスの供給側の一覧となる。天然ガスの生産は前週比で0.5Bcf増加した90.4Bcfとなった。一方でカナダからの輸入が5.2Bcfと前週から0.5Bcfの減少となったため、天然ガスの総供給量は95.7Bcfと前週とほぼ変わらなかった。

天然ガス需要
表3は12月10日から12月16日の間の天然ガス需要をセクタ別に分類したものとなる。発電需要が1.3Bcf減少した27.1Bcf、工業需要が0.2Bcf増加した24.5Bcf、住宅・商業用需要が1.3Bcf増加した36.5Bcfとなり、アメリカの国内需要は0.3Bcf増加した88.2Bcfとなった。輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週と同じ5.6Bcf、LNG輸出が0.2Bcf減少した11.0Bcfとなった。

採掘用リグ稼働数
11月20日時点 | 11月25日時点 | 12月2日時点 | 12月8日時点 | |
原油用 | 231基 | 241基 | 246基 | 258基 |
天然ガス用 | 76基 | 77基 | 75基 | 79基 |
表2はベーカー・ヒューズ社が発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。最新の12月11日発表の現在最新のレポートによると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から12基増加した258基、天然ガス採掘用リグ稼働数は4基増加した79基となった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて、前週より15基増加した338基となった。原油採掘用のリグ数の回復が今週もシェールオイルの主要産地であるパーミヤン盆地で続いている。
今後の見通し
LNG輸出
図5はNGI社が提供している天然ガスのLNG基地に接続されているパイプラインの流量で、輸出量の推定値となる。12月15日日曜日に落ち込みがみられるが、おおむね11.0Bcf付近で推移している。12月10日から16日の間に全米6か所のLNG輸出基地に22隻のタンカーが寄港し、78Bcfの天然ガスが輸出された。今週も現ほぼ上限能力での輸出が続いている。

国内需要
図7はNOAA発表の10日後から14日後(12月25日から31日)の気温予報で、前週よりは大西洋岸を中心に気温が低下する見通しとなっているが、気温は上昇する方向へ向かっており、暖房用需要が減少すると予想される。

天然ガスの生産は90.0Bcf前後で推移している。シェールオイルやシェールガス採掘用のリグ数は大きく増加しているため、天然ガスの生産が今後増加はしてくると見込まれる。需要面では、LNG輸出は今週も好調となっているがほぼ設備上の上限値でこれ以上は増えないと考えられる。今後、2週間後の天気予報はぶれが大きいものの暖かくなると考えられているため、来週にかけては気温の上昇による暖房用需要の減少見通しや生産増加の見通しが優勢となり、天然ガス価格は下落すると考えている。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。