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ダイジェスト
・天然ガス在庫量は各社予想162Bcf減に対して152Bcf減と予想を下回る
・12月18日時点の天然ガス在庫量は3574Bcf(有効容量の83.8%)
・12月23日発表の天然ガス採掘用リグは83基(前週比2基増)、原油採掘用リグ264基(前週比1基増)
・LNGの輸出需要は24日の時点で11.0Bcfと今週も輸出設備の限界に近い好調な輸出が続いている
・今後の2週間後の気温予報はカナダ国境沿いで平年以上の気温、アメリカの大半の地域は平年並みの気温となる見通し
週間天然ガス在庫総評

EIAの発表した12月18日時点の週間天然ガス在庫量の変動は前週比で152Bcf減で、予想の162Bcf減を下回った。在庫量は3574Bcfとなり平年より8.4%多い状態となっている。昨日の天然ガス先物相場は欧州時間には従来より暖かくなり暖房用需要が減少するとの見通しから下落したが、クリスマスの祝日前の短縮取引だったアメリカ時間には買い戻された後に売り直されて、小幅な値下がりだった。今週のEIAの報告では祝日による前倒しのため、いつも通り供給と需要の詳細は発表されていない。

表1はアメリカの地域別の天然ガス在庫の内訳となる。人口の多いアメリカ東部や南部、中西部を中心に全国的に暖房用需要が高かった。全米の在庫量は3574Bcfと前週と比べて152Bcfの減少となった。この数値は平年(5年間の平均)に比べて218Bcf、前年比で278Bcf在庫が多い状態となっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の76.1%、有効容量(4261Bcf)の83.8%となっている。
採掘用リグ稼働数
12月2日時点 | 12月8日時点 | 12月15日時点 | 12月22日時点 | |
原油用 | 246基 | 258基 | 263基 | 264基 |
天然ガス用 | 75基 | 79基 | 81基 | 83基 |
表2はベーカー・ヒューズ社が発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。クリスマスのため前倒し発表となった12月23日発表の最新のレポートによると稼働リグ数は348基と前週比で2基の増加となった。内訳は原油採掘用リグ稼働数が前週から1基増加した264基、天然ガス採掘用リグ稼働数は2基増加した83基となった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグが減少したため、前週より2基増加となった。
LNG輸出
図2はNGI社が提供しているLNG基地に接続されている天然ガスパイプラインの流量で、輸出量の精度の高い推定値となる。12月19日土曜日前後に10Bcf台後半への落ち込みが見られるが、LGN輸出は11.0Bcf付近で推移している。今週も現在輸出能力の上限付近での輸出が続いている。

国内需要
図3はNOAAが12月24日に発表した10日後から14日後(1月1日から7日)の気温予報で、従来より気温が上がり、多くの地域は平年並みの気温となる予報となる。図4は12月17日発表の1か月後の気温予報で更に気温が上昇し、アメリカの大半の地域では平年以上の気温となる見通し。暖房用需要は減少すると予想される。
図3 1月1日から7日の気温予報(出展元 NOAA) 図4 1か月の気温予報(出展元 NOAA)8
今後の見通し
現在の天気予報ではやや気温が上がり、暖房用需要が減少する見通しとなっている。また最新の1か月後の天気予報では全国的に暖かくなる見通しとなっている。LNG輸出は設備容量の一杯一杯の輸出が続いている。一日当たりの輸出は2020年が過去最高水準となる見通しとなっている。ただしLNG輸出用設備の増強は今後2025年頃までない見込み。一方で生産面では,天然ガスの生産量は90.0Bcf前後で推移している。シェールオイルやシェールガス採掘用のリグ数の増加が今後反映されていくため、天然ガスの生産が今後増加してくると見込まれる。
来年にかけては気温の上昇による暖房用需要の減少見通しが強く、天然ガス価格は下落すると見込まれる。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。