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コラム
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2020/12/29

エネルギー速報:イランとベネズエラの現状(つらつらコラム2020年12月29日)

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ダイジェスト

*イラン
・制裁逃れとしてマレーシア経由での中国向けの輸出が指摘されている
・イランはバイデン政権誕生後の制裁緩和を見越して生産増加の準備を開始
*ベネズエラ
・イランより自国産原油希釈用の軽質油を輸入
・これまではイランと同様マレーシア向け(洋上で積替)が多かったが、中国向けに直接輸出を再開
・給与の落ち込みから公務員の多くが職場を放棄と報道

始めに

今日はイランとベネズエラについて現状と来年の見通しについてまとめてみた。

イランについて

2018年の米国の核合意脱退に伴いイランに対する経済制裁が再開、2019年からはイラン産が全面禁輸が行われた。この際アメリカの同盟国も禁輸を行っている。これを受けてイランの原油産業は制裁再開前の2018年に日量365万バレルの産油量と日量250万バレルの原油輸出があったが、制裁開始後は2020年11月時点で産油量は日量196万バレル、輸出量はコロナウイルスによる需要減もあり一説には日量20万バレルまで低下したといわれている。イランは原油輸出については統計を公開していないため前述の数字はOPECの推定に基づいている。イランは経済制裁に対抗して、出荷元を隠した偽装輸出などを行ったり、締め付けの弱いプラスティックなどの石油化学製品に加工して輸出を行っているが、偽装輸出に対しては2020年後半から米国がタンカーを拿捕するなど対抗措置を強化し締め付けを行っており、大きく減少しているのは間違いない。原油収入の低下でイラン経済は強気な発言にも関わらず、IMFの推計によれば2019年はマイナス6.5%、2020年はマイナス5.0%と低迷している。
12月の大統領選挙で政権交代が確実になると、12月のイランのロウハニ大統領の発言によれば、イランは経済制裁の緩和を見込んで原油生産の再開に向けた準備を始めている。通常は落ち込んだ原油の増産には数年の時間が必要だが、設備の補修などを前倒しすることで、リビアのように3か月程度で制裁前の日量365万バレルの生産を回復することを目指していると報道されている。早ければ2021年の夏には日量200万バレルの原油が市場に出回ることになる可能性がある。また、イランの原油輸出能力は日量800万バレルとなっているが、新しい輸出基地を建設中となっており2021年3月には日量100万バレルで操業を開始すると報じられている。この新しい基地はホルムズ海峡外にあり、湾岸情勢の影響を受けにくい場所にある。

ベネズエラについて

ベネズエラは2000年代には日量300万バレルの原油を輸出していたが、原油価格の低迷と経済の落ち込みによる設備の老朽化などにより2017年には日量200万バレルを割り込んだ。2018年の大統領選挙の不正に端を発する政治的混乱により、2019年1月から米国などの経済制裁を受けた結果、2019年には1月の140万バレルだったが日量100万バレルを割り込み、2020年には日量30万バレル程度に落ち込んでいると報道されている。ベネズエラもイランと同様にマレーシア経由の偽装輸出を行っており、今月には中国向けに直接輸出を再開したと報道されている。
しかし、原油収入の減少と新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込み深刻な状況になっている。12月に行われた国政選挙はアメリカや米州機構などの支持する野党がボイコットしたため、政権側の勝利に終わったものの、国民の7割が棄権する異常事態となった。12月中旬には軍以外の公務員や原油を輸出している国営石油会社ですら給与が月数ドルまで落ち込み、職場放棄者が続出していると報道された。政権崩壊も近いのかもしれない。

今後の見通し

アメリカの政権交代により、2019年から2020年に原油輸出が大幅に減少していたイランとベネズエラで制裁が緩和される可能性が指摘されているが、イランとベネズエラでは状況が異なると思われる。イランについてはバイデン新政権がイランとの核合意協議への復帰すると方針を示しており、交渉復帰に際しては2019年以降の制裁に関しては撤回される可能性が高いと報道されている。少なくともイランは復帰に際して制裁解除を要求すると考えられる。これにより、来年後半には市場に供給される原油が200万バレルの増える可能性が高いと考えられる。
ベネズエラに関しては、大統領選挙の不正が理由のため、再選挙などの手続きが必要なのではないかと思われる。加えて、イランと異なり石油産業が崩壊寸前のため原油の増産と輸出拡大には時間がかかるのではないかと考えられる。需給面から来年は考慮する必要はないと思われるが、制裁解除のニュースには注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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