ブラジルの大豆生産の現状と将来(つらつらコラム2020年2月19日)

 

ブラジルにおける大豆生産の拡大
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図1 ブラジルの大豆生産量と他の生産国との比較(出展元 Forbes)
*各点が10年ごとで平均でもない点には注意

ブラジルの大豆生産量が近年急速に拡大している。図1はアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、中国の主要生産国の生産量の推移を10年ごとに打った点で示している。1980年代の初頭の生産量は1400万トン余りとなっていたが、2010年代に1億トンを超えると、今月のUSDAの需給報告では生産量は昨シーズンの1.23億トンから1.25億トンへ約200万トン引き上げられた。また、ブラジルの国家食糧供給公社による2019/2020年シーズンの大豆生産量予測でも先月の1.22億トンから今月は1.23億トンへ約100万トン引き上げられており、現地の情報も裏付けていて、大豆の生産量で今年アメリカを追い抜くことは確実となっている。

「セハード」の画像検索結果
図2 黄色く囲まれた地域がセハード(出展元 Wikipedia)

ブラジルの大豆の生産地域は図2に示すセハードと呼ばれるブラジル高原のサバナ地域に大半が存在している。この地域は従来酸性の赤土が広がり不毛の地域とされてきたが、1970年代から地道な土壌改良や灌漑による開発が続いていた。現在のセハードの耕地面積は約1200万ヘクタールを超えているが、なお1億ヘクタール以上の開発余地があり、今後も大豆や他の作物の生産量は増加すると予想されている。

今シーズンの大豆生産の状況

現地の農業コンサルタント会社(Agroconsult)が発表した大豆の予想生産量は前回の同社のレポートの1.24億トンから1.26億トンへ引き上げられた。ブラジル全体の作付け面積は3670万ヘクタールで昨年比で2.2%の増加となった。今シーズンは乾燥によって作付けは遅れたものの、生育時には十分な量の日照に加えて適度に雨が降ったこと、病害虫の問題がなかったことから生育が順調だった。この結果ブラジル産の大豆の輸出量は昨シーズンの7460万トンから7700万トンへ大幅増加すると見込まれている。同社は3月まで産地各地で調査を続ける予定。

今後の見通し

まとめると、今シーズンのブラジルの作柄は現地の報告を見ても昨シーズンを上回ることが確実で、それに応じた輸出量も過去最大量となる見込みとなっている。また、主要消費国の中国で蔓延しているコロナウイルスによって、大豆の需要の先行き見通しに不透明感が生じている。現在はアメリカの大豆輸出も競争相手がありながら年が改まっても順調に伸びているが、今後、仮に中国の輸入量が大きく引き下げられることがあれば、ブラジルの大豆の収穫が進む春に向けて大豆相場は大きく崩れるのではないかと予想している。最後に、大豆生産には今後も大きく伸びる潜在能力があるため、今後のブラジルの動向にも注目していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。