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コラム
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2021/01/27

穀物速報:南米の干ばつの状況とコーン中国向け輸出の拡大予想(つらつらコラム2021年1月27日)

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ダイジェスト

・ブラジル
 北部では1週間(1月17日から23日)当たり25~100mmの降水量
 中部では1週間(1月17日から23日)当たり50~100mmの降水量
 南部では1週間(1月17日から23日)当たり50~100mmの降水量
 26日以降ブラジル南部のリオグランデ・ド・スルでは100mm程度の雨が降るが、中部や北部では今後2週間にわたって雨が少ない模様

・アルゼンチン
 1月17日に10mm程度の小雨があったが、その後は降雨がなく30℃台の高温が続いている
 26日以降の1週間はパンパ地域北部を中心に平年以上となる50mm程度の降雨が予想されている

・穀物商社ADMは以下の2つ情報を発表
中国が2021年上半期にアメリカから2億ガロン(コーン約180万トン相当)のバイオエタノールを輸入
中国の養豚業の復興で今後2500万トン(現在の中国のコーン輸入量は約1700万トン)までコーン輸入量が増加する余地あり

南米の降雨の状況

南米の大豆とコーンの主要産地であるブラジルやアルゼンチンでは開花と受粉の時期を迎えている。一部の早播きの畑では収穫が始まっている。今週も週の降水量と土壌水分量の変化、来週の天候について見ていきたい。

図1は南米の大豆とコーンの産地の先週1週間(1月17日から1月23日の間)の降水量を示している。

ブラジル

ブラジル(図1左)では中部の大豆とコーン産地のマトグロッソ・ド・スル州から南部産地のリオグランデ・ド・スル州にかけて50~100mmと平年並みの雨が降った。北部産地のマトグロッソ州やゴイアス州では25mmから100mmとなった。気温はブラジル全体で30度台前半となった。ブラジル政府によると大豆の47%が開花から着さや期にあり、コーンは早播きの畑から収穫が始まっており18%が収穫されている。早播きのコーンには降雨は手遅れで収穫が減少する見通し。中部産地のパラナ州では大豆の91%、コーンの72%が結実期にある。一方、海岸部では雨が不足しており、コーンやコーヒーの作柄に影響が出ている。

アルゼンチン

アルゼンチン(図1右)では1月17日に10mm程度の雨があった後は1月19日から25日の間にかけてほとんど雨がなかった。気温は30度台半ば以上が続いており、暑さによって乾燥が促進されている。アルゼンチン政府の発表では1月21日の時点で大豆の99%とコーンの96%(平年87%)の作付けが終了している。USDAの最新のレポートでは需給報告からコーンの生産量が50万トン減少した4700万トンとなっている。

土中水分量

図2はNSANのGRACE衛星による土中水分量のリモートセンシングの結果を示している。図中の色分けは1948年から2012年の水分量の平均を平年のデータとして、平年からの水分量のずれをパーセンテージで見ていて、図中で青色が強いほど平年より水分が豊富で、茶色が濃いほど水分が少なく乾燥していることを意味している。図2左側は1月18日、右側は1月25日の土中水分量を示している。
ブラジルでは降雨のあった南部を中心に土中水分量に改善が見られるが、中部や北部では水分量不足が強まっている。
アルゼンチンでは降雨はなく乾燥が進んだことがわかる。

今後の降水予報

ブラジル

図3はブラジルの今後2週間分の降水量を平年(1980~2010の平均)と比較した図で、茶色に近いほど平年より降水量が少なく、緑に近いほど平年より降水量が多いことを示している。図3左が1月26日から2月1日まで、図3右が2月2日からの2月8日までの降水量の予測。リオグランデ・ド・スル州などブラジル南部では今日以降に100mm程度の平年並みの降水量が予測されている。それ以外の地域では今後2週間の間ブラジル中部などを中心に全体的に雨が少なくなり、今後2週間では平年の50%程度、おおよそ30~50mmの降水量となる予報となっている。

アルゼンチン

図4はアルゼンチンの今後2週間分の降水量を平年(1980~2010の平均)と比較したもので、色の設定は図3と同様、茶色に近いほど平年より降水量が少なく緑に近いほど平年より降水量が多いことを示している。図4左が1月26日から2月1日、図4右が2月2日から2月8日までの降水量予測となる。今週から約2週間の間はパンパ地方の北側を中心に降雨があり平年以上の降雨が予想されている。

中国によるコーンの購入

昨日付のニュースとして穀物商社大手のADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)は、2021年上半期に中国が2億ガロンのバイオエタノールをアメリカから購入したと発表した。中国は環境対策として2020年までに10%エタノール配合ガソリンの導入を計画していた。計画は中国国内のコーン在庫の減少に伴い中断していたが、今年再開され中国はアメリカからバイオエタノールを輸入すると述べている。1ブッシェルのコーンは2.8ガロンのバイオエタノールに相当するため、2億ガロンは約180万トン(約0.7億ブッシェル)のコーンに当たる。なお、計画中断前の2016年には中国はアメリカからバイオエタノールを約2億ガロン輸入していた。
エタノールの輸入増加とは別に、中国のコーン在庫は市場予想より少なく、年間2500万トン(約9.8億ブッシェル)までの輸入増加余地があるとの予想を発表している。中国の現在の年間コーン輸入量は1700万トンだが、アフリカ豚コレラで打撃を受けた養豚業の復興に伴い飼料用として今後800万トンのコーンの輸入が必要との見通しに基づいている。輸出の増加分が100%アメリカ産で賄われることはないと考えられるが、今シーズンは南米の作付け遅れからアメリカ産コーンの輸出期間が延びるためアメリカの輸出に有利であるとも述べた。
この800万トンという数字は1月の需給報告時点での2020年/2021年シーズンのアメリカのコーンの期末在庫が約4000万トン(15.52億ブッシェル)であることを考えると非常に大きい。この中国向け輸出増加見通しとは別にアメリカ国内のバイオエタノール産業向けのコーン需要が増えるので影響は更に大きくなると考えられる。昨日のコーンは市場はこのニュースを受けて約4%に当たる約20セント上昇した。

まとめ

南米のブラジルでは南部のコーン・大豆産地を中心に雨が降っているものの、降水量は各地でまちまちとなっている。NASAの衛星リモートセンシングによると南部では土中の水分量が平年並みまで回復したが、それ以外の地域では逆に乾燥が進んだ。1月下旬からは南部は平年並みの雨が降るものの、それ以外の地域では降水量が例年の半分程度に減る予報となっている。アルゼンチンでは先週はほとんど雨が降らず乾燥が進んだ。今後2週間は平年並以上の降雨となる見通し。
ブラジルでは早播きのコーンの収穫が始まっているが、これらのコーンは1月の雨が時期を外したため乾燥によって収穫減となる見込み。また、結実期に当たる今の時期に中部や北部の産地で降水量が減る天気予報が出ている。アルゼンチンではトラック業者が港までの道路を封鎖していたが、解除が進み間もなく輸出が正常化する見込みだが、最新の報告によるとコーン生産量予測が50万トン引き下げられた4700万トンとなっている。乾燥が収穫量に影響するので産地の天気予報に注意したい。

昨日アメリカの大手穀物商社ADMが、中国が2億ガロン(コーン約180万トン相当)に及ぶ大量のバイオエタノールをアメリカから輸入したと発表した。これは環境対策の一環として行われるエタノール混合ガソリンの導入に伴う措置で、今後継続的にアメリカからエタノールを輸入することでアメリカ国内のエタノール産業向けのコーン需要が増加する事が予想される。
また、ADMは中国が飼料用コーンの輸入量を800万トン増やす可能性があると予想を発表した。アフリカ豚コレラで打撃を受けた中国の養豚業が復興し、新たに飼料用コーンが必要となることに伴い、コーンの輸入量が現在の年間1700万トンから2500万トンまで増加すると予想している。
アメリカの今シーズンの期末在庫が約4000万トンであることを考えるとこの中国向けコーン輸出の増大とエタノール向け需要の拡大の影響は大きいため、今後の続報や輸出量の変動に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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