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コラム
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2021/10/01

エネルギー分析:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年10月1日)

ダイジェスト

・9月30日発表の天然ガス在庫は各社予想85Bcf増に対して88Bcf増と3週連続で在庫増加が予想を上回る弱気な内容だったが、ほとんど影響はなかった。天然ガス相場は好調な輸出需要や欧州の天然ガス在庫不足を材料に上昇
・9月24日時点の天然ガス在庫量は3170Bcf(有効容量の74.4%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3383Bcf)に比べて213Bcf少なく、前年(3745Bcf)と比べると575Bcf少ない状態
・9月23日から9月29日までの期間の天然ガス供給量は98.0Bcfで前週比で0.6Bcf増加。天然ガス生産量は前週から0.1Bcf減少した92.4cf、カナダからの輸入量は5.5Bcfと前週比0.6Bcf増加
・9月23日から9月29日までの期間の天然ガス国内需要量は81.3Bcfで前週から3.5Bcfの減少
・国内需要の内訳は発電需要が前週比4.3Bcf減少、住宅・商業用需要が前週比で0.4Bcf増加、工業用需要は前週比で0.3Bcf増加だった
・LNG輸出用需要は前週比で0.3Bcf増加した10.1Bcf。輸出基地ののメンテナンスが原因。タンカーによるLNG輸出量は前週から13Bcf少ない63Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.1Bcf減少した5.6Bcf
・ハリケーンアイダの被害からの生産回復は足踏で日量0.54Bcf分に影響が残っている

週間天然ガス在庫総評

 9月30日にEIAが発表した9月24日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で88Bcf増加した3170Bcfとなった。9月30日の天然ガス相場には在庫の増加量が88Bcf増と各社予想の85Bcf増加を若干上回る弱気な結果となったことの影響はほとんどなかった。世界的なLNG需要増加と欧州の天然ガス在庫不足を材料に上昇した。アジアでも欧州でも天然ガス価格が5週間連続で上昇しており、欧州最大の天然ガススポット市場であるオランダのTTFでは2007年9月以来の高値を記録している。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3170Bcfで平年(5年間の平均3383Bcf、図1黒線)に比べて213Bcf少なく、前年(3745Bcf)に比べて575Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は太平洋岸を除くすべての地域で在庫が増加した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の67.5%、有効容量(4261Bcf)の74.4%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は9月23日から9月29日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.1Bcf減少した92.4Bcfだった。カナダからの輸入は5.5Bcfと前週比0.6Bcfの増加となった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.6Bcf増加した98.0Bcfとなった。ハリケーンアイダから受けた供給面のダメージからの回復は足踏みしているように見える。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は9月23日から9月29日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は81.3Bcfと前週比で3.5Bcfの減少となった。
 アメリカの国内需要は59.5Bcfと前週から3.6Bcfの減少となった。内訳は発電需要が前週から4.3Bcf減少した28.7Bcf、工業需要が前週から0.3Bcf増加した21.5Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.4Bcf増加した9.3Bcfだった。気温低下による冷房用需要減少が需要減の要因となった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.1Bcf減少した5.6Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週比で0.3Bcf増加した10.1Bcfとなったが、LNGの輸出量は63Bcfと前週から13Bcfの減少だった。Cove Point輸出基地のメンテナンスはまだ継続している。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

8月24日時点8月31日時点9月7日時点9月14日時点9月21日時点
原油用410基394基401基411基421基
天然ガス用97基102基101基100基99基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。9月24日発表のレポート(9月21日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から10基増の421基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減の99基、その他の1基を加えたリグの総数は前週比9基増の521基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。9月21日以降はCove Point基地のメンテナンスが継続しており輸出量は9.5Bcfから10.8Bcfの間で推移している。EIAによると9月24日から9月30日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは17隻でLNG輸出量は65Bcfと前週から13Bcfの減少だった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(10月8日から10月14日)の気温予報となる。太平洋岸から山岳地域までが平年以下の気温となること除きおおむね全国的に平年以上の気温となる見込み。図4は9月30日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはメキシコ国境沿いから太平洋岸に沿って平年並みの気温となっている。

まとめ

 9月30日に発表された9月24日時点の天然ガス在庫の増加幅は88Bcf増となり各社の事前予想85Bcfをやや上回る弱気な結果だったが、30日の天然ガス相場にほとんど影響しなかった。天然相場は好調なLNG輸出、冬を前にした欧州の天然ガス在庫が例年より少なく在庫不足となっていることを材料に上昇した。
 9月23日から9月29日までの天然ガス需要は81.3Bcfと前週から3.5Bcfの減少となった。国内向け需要は前週比で4.3Bcf減少した59.5Bcfだった。国内需要の内訳では発電所向けの需要が前週比で4.3Bcf減少した28.7Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.4Bcf増加した9.3Bcf、工業用需要は前週比で0.3Bcf増加した21.5Bcfだった。LNG基地向けの需要は前週から0.3Bcf増加した10.1Bcf、LNGの総輸出量は63Bcfで前週から13Bcfの減少となった。一方で天然ガスの供給量は98.0Bcfと前週より0.6Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が前週より0.1Bcf減少した92.4Bcf、カナダからの供給が前週から0.6Bcf増加した5.5Bcfとなった。
 来週以降も好調なLNG輸出が支援材料となると考えられる。10月となり冬に向かっているため今後は暖房用需要の増減が主要な材料となる。気温低下による需要増と気温上昇による需要低下に注目を移したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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