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レポート
column

2021/10/15

エネルギー分析:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年10月15日)

ダイジェスト

・10月14日発表の天然ガス在庫は各社予想94Bcf増に対して81Bcf増と5週振りに在庫増加が予想を下回る強気な内容だった。発表直後に高値を付けたものの、利食い売りが入って下落して引けた。
・10月8日時点の天然ガス在庫量は3369Bcf(有効容量の79.1%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3543Bcf)に比べて174Bcf少なく、前年(3870Bcf)と比べると501Bcf少ない状態
・10月7日から10月13日までの期間の天然ガス供給量は97.8Bcfで前週比で0.1Bcf増加。天然ガス生産量は前週比で0.4Bcf増加した92.8cf、カナダからの輸入量は前週比で0.2Bcf減少した5.0Bcf
・10月7日から10月13日までの期間の天然ガス国内需要量は84.7Bcfで前週から1.1Bcfの増加
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で0.4Bcf減少した30.9Bcf、住宅・商業用需要が前週比で0.8Bcf増加した10.2Bcf、工業用需要は前週から横ばいの21.2Bcf。アメリカ西部の気温低下により冷房用需要の減少で発電用需要が減少、アメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が増加したため住宅・商業用需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.5Bcf増加した10.5Bcf。輸出基地のメンテナンスは終了したが、LNGタンカーによるLNG輸出量は前週から16Bcf少ない58Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.1Bcf増加した5.7Bcf

週間天然ガス在庫総評

 10月14日にEIAが発表した10月8日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で81Bcf増加した3369Bcfとなった。10月14日の天然ガス相場は世界的なLNG需要増加と欧州の天然ガス在庫不足を材料に上昇し、在庫の増加量が81Bcf増と各社予想の94Bcf増を下回る強気な結果となったことで高値を付けたが、利食い売りが入って下落で引けた。欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格が8月下旬以来の下落となり1MMBtu当たり週平均29.40ドルと30ドル台を割り込んでいる。一方、東アジアではカーゴのスワップ価格が7週連続の上昇となり1MMBtu当たり週平均33.24ドルと2020年1月以来の価格となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3369Bcfで平年(5年間の平均3543Bcf、図1黒線)に比べて174Bcf少なく、前年(3820Bcf)に比べて501Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はすべての地域で在庫が増加した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の71.8%、有効容量(4261Bcf)の79.1%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は10月7日から10月13日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.4Bcf増加した92.8Bcfだった。カナダからの輸入は前週比0.2Bcfの減少となる5.0Bcfだった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.1Bcf増加した97.8Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は10月7日から10月13日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は84.7Bcfと前週比で1.1Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は62.4Bcfと前週から0.5Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から0.4Bcf減少した30.9Bcf、工業需要が前週から横ばいの21.2Bcf、住宅・商業用需要が前週から0.8Bcf増加した10.2Bcfだった。アメリカ西部の気温低下による冷房用需要低下で発電用需要が減少する一方で、アメリカ中西部や東部の気温低下により暖房用需要が高まり、住宅・商業用需要が増加した。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.1Bcf増加した5.7Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週比で0.5Bcf増加した10.5Bcfとなったが、LNGの輸出量は58Bcfと前週から16Bcfの減少だった。Cove Point輸出基地のメンテナンスは終了し、LNG輸出用需要が増加している。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

9月7日時点9月14日時点9月21日時点9月28日時点10月5日時点
原油用401基411基421基428基433基
天然ガス用101基100基99基99基99基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。10月8日発表のレポート(10月5日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から5基増の433基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいの99基、その他の1基を加えたリグの総数は前週比7基増の533基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。9月28日から行われていたCove Point基地のメンテナンスは終了した。天然ガスの流量は8.97Bcfから11.18Bcfの間で推移し、10月14日には11Bcfを超えている。EIAによると10月7日から10月13日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは16隻でLNG輸出量は58Bcfと前週から16Bcfの減少だった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(10月22日から10月28日)の気温予報となる。太平洋岸のカリフォルニア州で平年以下の気温に、アメリカ南部で平年並みの気温にそれ以外の地域は平年以上の気温となる見込み。図4は9月30日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはメキシコ国境沿いから太平洋岸に沿って平年並みの気温となっている。

まとめ

 10月14日に発表された10月8日時点の天然ガス在庫の増加幅は81Bcf増となり各社の事前予想94Bcfを下回る強気な結果で発表直後に高値を付けた。
 10月7日から10月13日までの天然ガス需要は84.7Bcfと前週から1.1Bcfの増加となった。国内向け需要は前週比で0.5Bcf増加した62.4Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で0.4Bcf減少した30.9Bcf、住宅・商業用需要は前週比で0.8Bcf増加した10.2Bcf、工業用需要は前週から横ばいとなる21.2Bcfだった。アメリカ西部の気温低下で冷房用発電需要が減少、アメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が高まり住宅・商業用需要が増加した。LNG基地向けの需要は輸出基地のメンテナンスが終了したため前週から0.5Bcf増加した10.5Bcfとなったが、LNGの総輸出量は58Bcfで前週から16Bcfの減少となった。一方で天然ガスの供給量は97.8Bcfと前週より0.1Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が0.4Bcf増加した92.8Bcf、カナダからの供給が前週から0.2Bcf減少した5.0Bcfとなった。
 輸出基地のメンテンナンスが終了したことでLNG輸出が増加する見通しとなったことと世界各地で天然ガスが高値となっていることが来週も支援材料となると考えられる。まもなく冬を迎えるアメリカの気温低下で今後暖房用需要が伸びることも支援材料。一方でロシアが欧州への供給を増加させるためパイプラインの準備に入ったとの報道もあり欧州の天然ガス価格は下落している。続報には注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

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