会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2021/10/21

エネルギー分析:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年10月21日)

ダイジェスト

・原油在庫43万バレル減少
 原油生産量は日量1130万バレルで前週から10万バレルの減少
 輸出入では輸入量が582万バレル、輸出量が306万バレルで276万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は2.0%低下し、原油処理量は7万バレルの減少
 Adjustmentによる在庫調整は今週は増加側で調整量は62万バレル
・ガソリン在庫は536万バレル減少
(生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)に加えてガソリンのAdjustmentが在庫減少方向へ働き、在庫減少幅が拡大した。
 ガソリン生産量は46万バレル増加、輸入量は6万バレル増加
 ガソリン出荷量は45万バレル増加、輸出量は16万バレル減少
・留出油在庫は391万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。生産量の減少と出荷量の増加で在庫の減少幅が拡大
 留出油の生産量は29万バレル減少、輸入量は1万バレル増加
 留出油の出荷量は34万バレル増加、輸出量は6万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億4420万バレルで前週より1150万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は232万バレル減少した3120万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率44.2%
・OPECの一部の産油国は増産に苦心、OPEC全体の9月の減産遵守率は115%

EIA週間統計の総評

 日本時間10月20日23時半にEIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は43万バレルの減少、製油所の稼働率は前週比で2.0%低下した84.7%となり、原油消費量は前週比で7万バレル減少した1499万バレルとなった。原油相場は予想外の原油在庫の減少を材料に発表後から取引終了時間まで上昇し続けて引けた。石油製品ではガソリン在庫が536万バレル減少、留出油在庫は391万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は232万バレル減少した3120万バレルだった。
 原油生産は前週比で10万バレル減少した日量1130万バレル、原油輸入量は前週比で16万バレル減少した日量582万バレル、輸出量は日量54万バレル増加した日量306万バレルで輸出入全体としては276万バレルの輸入超過となっている。原油の供給不足に対応するため戦略備蓄(SPR)が24万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億4420万バレルと前週比で1150万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は43万バレル減少した4億2650万バレル、ガソリン在庫は536万バレル減少した2億1770万バレル、留出油在庫は391万バレル減少した1億万2540バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は232万バレル減少した3120万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)520増43減608増234増457増
ガソリン(万バレル)460減536減195減325増19増
留出油(万バレル)270減391減2減39減38増
クッシング在庫(万バレル)232減196減154増13増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの中央値より在庫が少なくなっており、特に留出油在庫は過去5年の在庫レンジより少ない状況が続いている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1130万バレルと前週から10万バレルの減少となった。原油輸入量は前週比で16万バレル減少した日量582万バレル、輸出量は前週比で54万バレル増加した306万バレルで276万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から31万バレル減少した62万バレルが在庫を増加させる形で加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)11301140113011101097990
戦略備蓄増加(万バレル/日)-24-11-13-12-28-10
原油輸入(万バレル/日)582599703655610511
原油輸出(万バレル/日)306251211302289303
Adjustment(万バレル/日)6293-271315479
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダやコロンビア、エクアドル、ロシアからの原油輸入が減少している。一方でメキシコ、イラク、ブラジル、ナイジェリアからの輸入が増加した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ325344-19
メキシコ4631+15
サウジアラビア3130+1
コロンビア2138-17
イラク2318+5
エクアドル020-15
ブラジル200+20
ロシア035-35
ナイジェリア130+13
トリニダード・トバゴ78-1
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から2.0%低下した84.7%となり、製油所への原油投入量は前週比で7万バレル減少した日量1499万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から46万バレル増加した日量1006万バレル、ジェット燃料生産は前週から1万バレル増加した日量132万バレル、留出油生産は前週から29万バレル減少した日量441万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)149915061574154115301302
製油所稼働率(%)84.786.789.688.187.372.9
ガソリン生産(万バレル/日)  1006960936988973893
ガソリン輸入(万バレル/日) 6054108988050
ジェット燃料生産(万バレル/日)13213113413213278
ジェット燃料輸入(万バレル/日)171727222117
留出油生産(万バレル/日)   441470477464463413
留出油輸入(万バレル/日)  201929302415
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から45万バレル増加した日量963万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から8万バレル増加した日量141万バレル、留出油の出荷量は前週から34万バレル増加した日量427万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)963918947939941828
ガソリン輸出(万バレル/日)536940725959
ジェット燃料出荷(万バレル/日)14113316914214697
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1413118114
留出油出荷(万バレル/日)427393436397413358
留出油輸出(万バレル/日)9096769288124
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から2.0%低下した84.7%となり、原油消費量は前週より7万バレル減少した日量1499万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で46万バレル増加した日量1006万バレル、輸入量は6万バレル増加した日量60万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から45万バレル増加した日量963万バレル、輸出量は前週から16万バレル減少した日量53万バレルだった。ガソリンのAdjustmentが在庫を減少させる方向へ働きガソリン在庫は536万バレルの減少となった。
 次に留出油は生産量が前週から29万バレル減少した日量441万バレル、輸入量は前週から1万バレル増加した日量20万バレルだった。留出油の出荷量は前週から34万バレル増加した日量427万バレル、輸出量は6万バレル減少した日量90万バレルとなった。生産量の減少と出荷量の増加で在庫の減少幅が拡大し391万バレルの在庫減少となった。
 ジェット燃料生産量は前週から1万バレル増加した132万バレル、出荷量は前週比で8万バレル増加した141万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で196万バレル増加した日量2183万バレルとなった。原油在庫が43万バレル減少、ガソリン在庫が536万バレル減少、留出油在庫が391万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で1150万バレル減少した18億4420万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが約13セントの上昇、ディーゼル燃料は約10セントの上昇となった。原油価格は約2.8ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/1510/810/19/249/17前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.5742.4402.3462.2632.2901.215
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.5882.4832.3812.2702.2081.183
原油
(ドル/バレル)
82.3979.5576.0174.1872.0940.70
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格が約6セント上昇、ディーゼル燃料の小売価格は約9セントの上昇だった。燃料価格が今週も前週より大きく上昇している。

小売価格10/18 10/11 10/4 9/27 9/20 前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.3223.2673.1903.1753.1842.150
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.7513.6973.6353.6253.6322.565
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
4.0073.9523.8863.8763.8832.815
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.6713.5863.4773.4063.3852.388
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は日量1130万バレルと前週から10万バレル減少した。需要面では製油所稼働率が前週から2.0%低下した84.7%となり原油消費量は7万バレ減少した日量1499万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量16万バレル減少した日量582万バレル、輸出量が54万バレル増加した日量306万バレルで、日量276万バレルの輸入超過となっている。原油生産量の減少と輸出量の増加で原油在庫は43万バレルの在庫減少となった。
 ガソリンは生産量が46万バレルの増加、ガソリン輸入量は6万バレルの増加、ガソリン出荷量は45万バレルの増加、ガソリン輸出量は16万バレルの減少となった。ガソリンのAdjustmentが在庫を減少させる方向へ働き536万バレルの在庫減少となった。留出油は生産量が29万バレルの減少、輸入量が1万バレルの増加、出荷量が34万バレルの増加、輸出量は6万バレルの減少となった。留出油の生産量の減少と出荷量の増加で在庫の減少幅が拡大して391万バレルの在庫減少となった。燃料価格はガソリン卸売価格が約13セント、ディーゼル燃料卸売価格が約10セントと大幅な上昇だった。小売価格もガソリンが6セント、ディーゼル燃料は約9セントとこちらも2週連続で大幅な上昇となった。
 全ての石油製品の出荷量は日量196万バレル増加した2183万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は1150万バレル減少した18億4420万バレルとなった。
 アメリカの原油需要が伸びるという見方、世界の原油需給がよりタイトになるとの見方、に加えてEIAの発表する週間原油在庫が予想外の減少となったことから買いが入り続けている。原油相場は10月7日から20日までの間で18日以外は上昇で引けており、今日は83.92ドルと84ドルへ迫っている。原油供給を握るOPECの9月の減産遵守率は115%と8月の116%からわずかに低下したが、いまだ生産枠の全てが満たされていない。OPECの産油量は日量約3080万バレルであり、不足分の15%は約450万バレルに等しくなる。特にアンゴラやナイジェリアなど西アフリカの産油国が増産に苦しんでおり、需給がタイトになる原因となっている。11月4日の会合でサウジアラビアなど生産余力のある産油国が増産を肩代わりしない限りは需給がタイトな状況は続くのではと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。