会員限定ページへログイン

IDとパスワードは半角英数字で入力してください。
最新情報をすぐに閲覧したい方は有料メルマガ登録(まぐまぐ!)をしてください。

  • ◆ ID
  • ◆ パスワード

レポート
column

2021/10/22

エネルギー分析:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年10月22日)

ダイジェスト

・10月21日発表の天然ガス在庫は各社予想90Bcf増に対して92Bcf増と在庫増加が予想を上回る弱気な内容だった。発表後に売られて安値を付けたものの、買い戻されて小幅下落
・10月15日時点の天然ガス在庫量は3461Bcf(有効容量の81.2%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3612Bcf)に比べて151Bcf少なく、前年(3919Bcf)と比べると458Bcf少ない状態
・10月14日から10月20日までの期間の天然ガス供給量は98.1Bcfで前週比で0.3Bcf増加。天然ガス生産量は前週比で0.6Bcf減少した92.2cf、カナダからの輸入量は前週比で0.8Bcf増加した5.8Bcf
・10月14日から10月20日までの期間の天然ガス国内需要量は86.3Bcfで前週から1.6Bcfの増加
・国内需要の内訳は発電需要が前週比で3.2Bcf減少した37.7Bcf、住宅・商業用需要が前週比で3.8Bcf増加した14.0Bcf、工業用需要は前週から0.5Bcf増加した21.7Bcf。前週と同様にアメリカ西部の気温低下により冷房用需要の減少で発電用需要が減少、アメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が増加したため住宅・商業用需要が増加
・LNG輸出用需要は前週比で0.4Bcf増加した10.9Bcf。LNG輸出量は前週と比べて16Bcf多い74Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.2Bcf増加した5.9Bcf
・10月18日にベンチャーグローバル社がルイジアナ州Calcasieu Pass(カルカシュー)に建設しているLNG輸出用ターミナルがFERC(連邦エネルギー規制委員会)の承認を受けて稼働を開始。輸出能力は最大日量1.7Bcfとなる見込み。

週間天然ガス在庫総評

 10月21日にEIAが発表した10月15日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で92Bcf増加した3461Bcfとなった。10月21日の天然ガス相場はアメリカの今年の冬が暖冬となるとの予報を受けて売られた。在庫の増加量が92Bcf増と各社予想の90Bcf増を上回るやや弱気な結果となったことで売りが加速したが、終盤に買い戻されて下落幅を大きく削った。欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格が約1ドル上昇し1MMBtu当たり週平均30.43ドルと30ドル台を回復している。一方、東アジアではカーゴのスワップ価格は1MMBtu当たり週平均33.92ドルと8週連続の上昇となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3461Bcfで平年(5年間の平均3612Bcf、図1黒線)に比べて151Bcf少なく、前年(3919Bcf)に比べて458Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週はすべての地域で在庫が増加している。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の73.7%、有効容量(4261Bcf)の81.2%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は10月14日から10月20日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は前週から0.6Bcf減少した92.2Bcfだった。カナダからの輸入は前週比0.8Bcfの増加となる5.8Bcfとなり天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf増加した98.1Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は10月14日から10月20日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は86.3Bcfと前週比で1.6Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は63.4Bcfと前週から1.1Bcfの増加となった。内訳は発電需要が前週から3.2Bcf減少した27.7Bcf、工業需要が前週から0.5Bcf増加した21.7Bcf、住宅・商業用需要が前週から3.8Bcf増加した14.0Bcfだった。今週も気温低下で各地の冷房用需要が低下し発電用需要が減少する一方で、アメリカ中西部や東部などの気温低下で暖房用需要が高まり、住宅・商業用需要が増加している。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.2Bcf増加した5.9Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週比で0.4Bcf増加した10.9Bcfとなり、LNGの輸出量は74Bcfと前週から16Bcfの増加だった。10月18日にルイジアナ州Calcasieu Pass完成した新しいLNG輸出基地が稼働を開始したが、いまだ輸出は本格化していない。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

9月14日時点9月21日時点9月28日時点10月5日時点10月12日時点
原油用411基421基428基433基445基
天然ガス用100基99基99基99基98基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。10月15日発表のレポート(10月12日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から12基増の455基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基減少の98基となりリグの総数は前週比7基増の533基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。天然ガスの流量は10月12日以降10Bcf以上で推移している。EIAによると10月14日から10月20日の間に全米7か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは20隻でLNG輸出量は74Bcfと前週から16Bcfの増加だった。18日以降にルイジアナ州Calcasieu Passの新LNG輸出基地が稼働した。最大輸出能力は日量1.7Bcfで今後本格的な輸出を開始する予定。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(10月29日から11月4日)の気温予報となる。太平洋岸北部で平年以下の気温に、アメリカ南部で平年並みの気温にそれ以外の地域は平年以上の気温となる見込み。図4は10月21日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはカナダ国境沿いに太平洋岸に五大湖まで平年並みの気温となる以外はおおむね全国的に平年以上の気温となる見込み。

まとめ

 10月21日に発表された10月15日時点の天然ガス在庫の増加幅は92Bcf増となり各社の事前予想90Bcfを上回る弱気な結果で発表後に安値を付けたが、その後直近の気温低下による暖房用需要の増加期待から買い戻されて下げ幅を大きく削っている。
 10月14日から10月20日までの天然ガス需要は86.3Bcfと前週から1.6Bcfの増加となった。国内向け需要は前週比で1.1Bcf増加した63.4Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で3.2Bcf減少した27.7Bcf、住宅・商業用需要は前週比で3.8Bcf増加した14.0Bcf、工業用需要は前週から0.5Bcf増加した21.7Bcfだった。アメリカ各地の気温低下でアメリカ西部の冷房用発電需要が減少した一方でアメリカ中西部や東部の気温低下で暖房用需要が高まり住宅・商業用需要が増加した。LNG基地向けの需要は0.4Bcf増加した10.9BcfとなりLNGの総輸出量は74Bcfで前週から16Bcfの増加となった。一方で天然ガスの供給量は98.1Bcfと前週より0.3Bcfの増加となった。内訳は天然ガス生産が0.6Bcf減少した92.2Bcf、カナダからの供給が前週から0.8Bcf増加した5.8Bcfとなった。
 世界各地で天然ガスの需要が高く高値となっていることが、来週も支援材料となると考えられる。アメリカでは7番目のLNG輸出基地であるCalcasieu Pass(カルカシューパス)の輸出基地が完成し今週月曜日から稼働が始まった。早速中国向けの大口の長期契約が成立したと報道されており今後も好調な輸出が続きそうだ。一方で長期予報ではアメリカが暖冬となるとの予報となっていることが懸念材料となると考えられる。LNGの輸出に関する情報や欧州向けの天然ガス供給に関する続報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

 

Mail Magazine

有料メルマガ登録

有料メルマガ登録をしていただいた方は
鍵マークのついた記事もご購読いただけます。