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コラム
column

2021/10/07

エネルギー分析:EIA週間原油統計(つらつら分析2021年10月7日)

ダイジェスト

・6日の原油相場は需給ひっ迫の見方を材料に買われ一時79.76ドルまで上昇したが、高値警戒感からの利食い売りやEIA長官がSPRの放出や原油輸出規制を行うと発言したこと、EIAが発表した週間在庫で在庫増加となったことを材料に売られて高値より2.8ドル以上売られて引けた
・10月4日のOPECプラスの閣僚会議では増産量据え置きを決定
・原油在庫234万バレル増加
 原油生産量は日量1130万バレルで前週から20万バレルの増加
 輸出入では輸入量が703万バレル、輸出量が211万バレルで492万バレルの輸入超過
 製油所稼働率は1.5%上昇し、原油処理量は33万バレルの増加
 Adjustmentによる在庫調整は今週は減少側で調整量は27万バレル
・ガソリン在庫は325万バレル増加
(生産量+輸入量)>(出荷量+輸出量)で在庫が増加。輸出量の減少で在庫増加幅が拡大
 ガソリン生産量は52万バレルの大幅減少、輸入量は10万バレル増加
 ガソリン出荷量は8万バレルの増加、輸出量は32万バレル減少
・留出油在庫は39万バレル減少
 (生産量+輸入量)<(出荷量+輸出量)で在庫が減少。出荷量の増加で在庫減少
 留出油の生産量は13万バレル増加、輸入量は1万バレル減少
 留出油の出荷量は39万バレル増加、輸出量は16万バレル減少
・原油と石油製品を合わせた在庫量は18億5160万バレルで前週より10万バレルの減少
・オクラホマ州クッシング在庫は154万バレル増加した3550万バレル、クッシングのタンク容量は約7600万バレルで貯蔵率46.7%

EIA週間統計の総評

 日本時間10月6日23時半にEIAの週間在庫統計が発表された。原油在庫は234万バレルの増加。製油所の稼働率は前週比で1.5%上昇した89.6%となり、原油消費量は前週比で33万バレル増加した1574万バレルとなった。石油製品ではガソリン在庫が325万バレル増加、留出油在庫は39万バレルの減少、WTI指標原油であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は154万バレル増加した3400万バレルだった。
 原油生産は前週比で20万バレル増加した日量1130万バレル、原油輸入量は前週比で48万バレル増加した日量703万バレル、輸出量は日量90万バレル減少した日量211万バレルで輸出入全体としては492万バレルの輸入超過となっている。メキシコ湾岸の原油の供給不足に対応するため戦略備蓄(SPR)が13万バレル放出されている。原油と全ての石油製品を合わせた在庫は18億5160万バレルと前週比で10万バレルの減少だった。

原油と石油製品の在庫(表1)

 表1は過去4週間分の結果を示している。原油の在庫は234万バレル増加した4億2090万バレル、ガソリン在庫は325万バレル増加した2億2510万バレル、留出油在庫は39万バレル減少した1億万2930バレル、オクラホマ州クッシングの原油在庫は154万バレル増加した3550万バレルだった。

API統計EIA統計今週EIA統計前週EIA統計2週前EIA統計3週前
原油(万バレル)100増234増457増348減642減
ガソリン(万バレル)370増325増19増347増185減
留出油(万バレル)30増39減38増255減168減
クッシング在庫(万バレル)154増13増147減110減
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

 図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれの図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。原油在庫とガソリン在庫、留出油在庫全てで過去5年間の在庫レンジの中央値より在庫が少なくなっており、特に留出油在庫は過去5年の在庫レンジより少ない状況が続いている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)(表2と表3)

 表2は原油の生産量と輸出入についてまとめている。原油生産量は日量1130万バレルと前週から20万バレルの増加となった。原油輸入量は前週比で48万バレル増加した日量703万バレル、輸出量は前週比で90万バレル減少した211万バレルで492万バレルの輸入超過となった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計のAdjustmentは先週から158万バレル減少した27万バレルが在庫を減少させる形で調整が加わっている。

原油生産と輸出入今週前週2週前3週前4週平均前年
同時期
原油生産(万バレル/日)113011101060101010951100
戦略備蓄増加(万バレル/日)-13-12-17-7-7-16
原油輸入(万バレル/日)703655646576611573
原油輸出(万バレル/日)211302280262289265
Adjustment(万バレル/日)-2713142155381
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している

 輸入国の国別内訳と前週からの増減は表3の通り。今週はカナダやナイジェリアからの原油輸入が増加している。逆にコロンビア、エクアドル、ロシアからの輸入が減少した。

輸入国輸入量(万バレル/日)前週輸入量(万バレル/日)増減(万バレル)
カナダ403303+70
メキシコ6576-11
サウジアラビア6256+6
イラク00±0
コロンビア325-22
エクアドル525-20
ナイジェリア376+31
ロシア1026-16
ブラジル1321-8
表3 輸入量国別内訳(出展元 EIA)
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率(表4)

 表4は主要石油製品の生産と輸入(供給)についてまとめたものとなる。製油所稼働率は前週から1.5%上昇した89.6%となり、製油所への原油投入量は前週比で33万バレル増加した日量1574万バレルとなった。石油製品の生産ではガソリン生産は前週から52万バレル減少した日量936万バレル、ジェット燃料生産は前週から2万バレルの増加となる日量134万バレル、留出油生産は前週から13万バレル増加した日量477万バレルだった。

製油所稼働率等今週前週2週前3週前4週平均前年度
同時期
原油投入量(万バレル/日)157415411534143815221385
製油所稼働率(%)89.688.187.582.186.877.1
ガソリン生産(万バレル/日)  936988964927954982
ガソリン輸入(万バレル/日) 10898108639484
ジェット燃料生産(万バレル/日)13413213812613279
ジェット燃料輸入(万バレル/日)272221252417
留出油生産(万バレル/日)   477464445415450453
留出油輸入(万バレル/日)  293018162323
表4 石油製品生産量(供給) (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)(表5)

 表5は主要石油製品の出荷量(需要)と輸出量の内訳一覧となる。ガソリン出荷量は前週から8万バレル増加した日量947万バレル、ジェット燃料の出荷量は前週から27万バレル増加した日量169万バレル、留出油の出荷量は前週から39万バレル増加した日量436万バレルだった。

石油製品
出荷量(日量)
今週前週2週前3週前4週
平均
前年
同時期
ガソリン出荷(万バレル/日)947939889889915889
ガソリン輸出(万バレル/日)407262635990
ジェット燃料出荷(万バレル/日)16914214813714990
ジェット燃料輸出(万バレル/日)1188697
留出油出荷(万バレル/日)436397442379413386
留出油輸出(万バレル/日)7692577675103
表5 石油製品出荷量(需要) (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

 原油の需要側では製油所稼働率が前週から1.5%上昇した89.6%となり、原油消費量は前週より33万バレル増加した日量1574万バレルとなった。
 主要な石油製品ではガソリン生産量が前週比で52万バレル減少した日量936万バレル、輸入量は10万バレル増加した日量108万バレルだった。ガソリンの出荷量は前週から8万バレル増加した日量947万バレル、輸出量は前週から32万バレル減少した日量40万バレルだった。ガソリンの輸出量の減少でガソリン在庫の増加幅が拡大して325万バレルの増加だった。
 次に留出油は生産量が前週から13万バレル増加した日量477万バレル、輸入量は前週から1万バレル減少した日量29万バレルだった。留出油の出荷量は前週から39万バレル増加した日量436万バレル、輸出量は16万バレル減少した日量76万バレルとなった。出荷量の増加で39万バレルの在庫減少となった。
 ジェット燃料生産量は前週から2万バレル増加した134万バレル、出荷量は前週比で27万バレル増加した167万バレルとなった。
 石油製品全体の出荷量(需要)は前週比で113万バレル増加した日量2152万バレルとなった。原油在庫が234万バレル増加、ガソリン在庫が325万バレル増加、留出油在庫が39万バレルの減少となり、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は前週比で10万バレル減少した18億5160万バレルとなった。

石油製品価格(表6と表7)

 表6はニューヨーク港渡しの石油製品のスポット卸売価格となる。今週の燃料の卸価格はガソリンが横ばい、ディーゼル燃料は約1セントの上昇となった。原油価格は約1.9ドルの上昇だった。

スポット卸売価格
(ニューヨーク港渡し)
10/19/249/179/109/3前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
2.2662.2632.2902.3072.3391.187
ディーゼル燃料
(ドル/ガロン)
2.3812.2702.2082.1402.1571.088
原油
(ドル/バレル)
76.0174.1872.0969.8269.3436.90
表6 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

 表7は全米の石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計した結果となる。今週のガソリン小売価格が約1セント上昇、ディーゼル燃料の小売価格は7セントの上昇だった。レギュラーガソリン価格は1ガロン当たり3.100ドルを超えた状態がいまだ続いている。

小売価格10/4 9/27 9/20 9/13 9/6前年同時期 
レギュラーガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.1903.1753.1843.1653.1762.169
中間グレードガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.6353.6253.6323.6183.6282.583
プレミアムガソリン価格
(ドル/ガロン)
3.8863.8763.8833.8683.8792.831
ディーゼル燃料価格
(ドル/ガロン)
3.4773.4063.3853.3723.3732.394
表7 石油製品全国価格 (出展元 EIA)

今後の見通し

 アメリカの原油生産量は日量1130万バレルと前週から20万バレル増加した。需要面では製油所稼働率が前週から1.5%上昇した89.6%となり原油消費量は33万バレル増加した日量1574万バレルだった。原油輸入量は前週比で日量48万バレル増加した日量703万バレル、輸出量が91万バレル減少した日量211万バレルで、日量492万バレルの輸入超過となっている。原油生産量と輸入量の増加で原油在庫は234万バレルの在庫増加となった。
 ガソリンは生産量が52万バレルの大幅減少、ガソリン輸入量は10万バレルの増加、ガソリン出荷量は8万バレルの増加、ガソリン輸出量は32万バレルの減少となった。生産量が減少したものの輸出量の減少で325万バレルの在庫増加となった。留出油は生産量が13万バレルの増加、輸入量が1万バレルの減少、出荷量が39万バレルの増加、輸出量は16万バレルの減少となった。留出油の出荷量の増加で39万バレルの在庫減少となった。燃料価格はガソリン卸売価格が横ばい、ディーゼル燃料卸売価格は約1セントの上昇だった。一方、小売価格はガソリンが約1セントの上昇、ディーゼル燃料は約7セントの上昇だった。
 全ての石油製品の出荷量は日量113万バレル増加した2152万バレル、全ての石油製品と原油を合わせた在庫は10万バレル減少した18億5160万バレルとなった。
 10月4日に開催されてOPECプラスの会合で11月の増産量は40万バレルと従来案通りの増産幅にとどまった。原油相場はOPECプラスのこれ以上の増産が難しく今後の需給がひっ迫するとの観測が支援材料となっており70ドル台後半で推移している。6日にはEIAの長官がエネルギー不足に起因する原油高是正のためにSPRの放出や米国の原油輸出の禁止などの方策をとると報道されたことや原油在庫の増加から利食い売りが出て高値の後、2.8ドル以上下落した。ただし、原油在庫が順調に増加する中でのSPRの放出の効果には疑問符が付く他、米国で製油所に使用される油種、米国の発電に占める石油の利用割合を考えると米国産原油の輸出禁止もエネルギー高に対する実効性は乏しいと考えられ、この下落は一時的なものにとどまるのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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