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コラム
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2021/10/08

エネルギー分析:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年10月8日)

ダイジェスト

・10月7日発表の天然ガス在庫は各社予想107Bcf増に対して118Bcf増と4週連続で在庫増加が予想を上回る弱気な内容だった。発表直後には下げたもののその後の値動きには大きな影響はなかった。天然ガス相場は好調な輸出需要や欧州の天然ガス在庫不足を材料に上昇
・10月1日時点の天然ガス在庫量は3288Bcf(有効容量の77.2%)となっている。在庫量は平年(5年間の平均3464Bcf)に比べて176Bcf少なく、前年(3820Bcf)と比べると532Bcf少ない状態
・9月30日から10月6日までの期間の天然ガス供給量は97.7Bcfで前週比で0.3Bcf減少。天然ガス生産量は生産地からの輸送パイプラインのメンテナンスのため前週から0.1Bcf減少した92.3cf、カナダからの輸入量は5.2Bcfと前週比0.4Bcf減少
・9月30日から10月6日までの期間の天然ガス国内需要量は83.7Bcfで前週から1.9Bcfの増加
・国内需要の内訳はアメリカ南部や中西部の気温上昇により発電需要が前週比2.4Bcf増加、住宅・商業用需要が前週から横ばい、工業用需要は前週比で0.1Bcfの減少だった
・LNG輸出用需要は前週比で0.2Bcf減少した10.0Bcf。輸出基地のメンテナンスの継続が原因。タンカーによるLNG輸出量は前週から11Bcf多い74Bcf
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は前週比で0.2Bcf減少した5.6Bcf

週間天然ガス在庫総評

 10月7日にEIAが発表した10月1日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で118Bcf増加した3288Bcfとなった。10月7日の天然ガス相場には在庫の増加量が118Bcf増と各社予想の107Bcf増加を上回る弱気な結果となったことの影響はほとんどなかった。世界的なLNG需要増加と欧州の天然ガス在庫不足を材料に上昇した。天然ガス在庫の増加を材料に売られる場面もあったが大きな影響はなかった。欧州の天然ガス価格はTTFハブ価格で1MMBtu当たり週平均32.28ドルと2007年9月以来の高値となり、東アジアでもカーゴのスワップ価格が1MMBtu当たり週平均32.48ドルと2020年1月以来の価格となった。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。現在の全米の在庫量は3288Bcfで平年(5年間の平均3464Bcf、図1黒線)に比べて176Bcf少なく、前年(3820Bcf)に比べて532Bcf少なくなっている。表1はアメリカの地域別の在庫内訳となる。今週は太平洋岸を除くすべての地域で在庫が増加した。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の70.1%、有効容量(4261Bcf)の77.2%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は9月30日から10月6日までの間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産はパーミヤン盆地から天然ガスを搬出するパイプラインのメンテナンスで生産量が制限されたため前週から0.1Bcf減少した92.3Bcfだった。カナダからの輸入は5.2Bcfと前週比0.4Bcfの減少となった。結果、天然ガスの総供給量は前週比で0.3Bcf減少した97.7Bcfとなった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は9月30日から10月6日の間の天然ガス需要量の内訳となる。全米の天然ガス需要量は83.7Bcfと前週比で1.9Bcfの増加となった。
 アメリカの国内需要は62.0Bcfと前週から2.3Bcfの減少となった。内訳は発電需要が前週から2.4Bcf減少した31.4Bcf、工業需要が前週から0.1Bcf減少した21.2Bcf、住宅・商業用需要が前週から横ばいだった。アメリカ中西部や南部の気温上昇による発電用需要増加が需要増の要因となった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週から0.2Bcf減少した5.6Bcfとなった。LNG輸出向け需要は前週比で0.2Bcf減少した10.0Bcfとなったが、LNGの輸出量は74Bcfと前週から11Bcfの増加だった。なおCove Point輸出基地のメンテナンスは継続している。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

8月31日時点9月7日時点9月14日時点9月21日時点9月28時点
原油用394基401基411基421基428基
天然ガス用102基101基100基99基99基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。10月1日発表のレポート(9月28日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から7基増の428基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいの99基、その他の1基を加えたリグの総数は前週比7基増の528基となっている。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。9月28日以降行われているCove Point基地のメンテナンスは依然継続していて、天然ガスの流量は9.0Bcfから10.8Bcfの間で推移している。EIAによると9月30日から10月6日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは20隻でLNG輸出量は74Bcfと前週から11Bcfの増加だった。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図3はNOAAが今日発表した8日後から14日後(10月15日から10月21日)の気温予報となる。太平洋岸から山岳地域までが平年以下の気温にアメリカ中西部以東は平年以上の気温となる見込み。図4は9月30日NOAA発表の最新の1か月予報でこちらはメキシコ国境沿いから太平洋岸に沿って平年並みの気温となっている。

まとめ

 10月7日に発表された10月1日時点の天然ガス在庫の増加幅は118Bcf増となり各社の事前予想107Bcfを上回る弱気な結果だったが、30日の天然ガス相場にほとんど影響しなかった。天然相場は好調なLNG輸出、冬を前にして低温予報の出ている欧州の天然ガス在庫が例年より少なく在庫不足となっていることを材料に上昇した。
 9月30日から10月6日までの天然ガス需要は83.7Bcfと前週から1.9Bcfの増加となった。国内向け需要は前週比で2.3Bcf増加した62.0Bcf、国内需要の内訳は発電所向けの需要が前週比で2.4Bcf増加した31.4Bcf、住宅・商業用需要は前週から横ばいの9.4Bcf、工業用需要は前週比で0.1Bcf減少した21.2Bcfだった。アメリカ南部や中西部の気温上昇が発電需要の増加要因となった。LNG基地向けの需要は輸出基地のメンテナンスが続いており前週から0.2Bcf減少した10.0Bcf、LNGの総輸出量は74Bcfで前週から11Bcfの増加となった。一方で天然ガスの供給量は97.7Bcfと前週より0.3Bcfの減少となった。内訳は天然ガス生産が輸送パイプラインのメンテナンスのため生産制限がかかり前週より0.1Bcf減少した92.3Bcf、カナダからの供給が前週から0.4Bcf減少した5.2Bcfとなった。
 来週以降も好調なLNG輸出と欧州の天然ガス在庫が少ないことが支援材料となると考えられる。アメリカだけでなく欧州の気温予報に注目したい。一方でロシアが欧州への供給を増加させるとの報道もあり、実現すると大きく値段が下げる可能性が高いので続報に注意したい。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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