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コラム
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2021/02/26

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2月26日)

ダイジェスト

・2月19日時点の天然ガス在庫は各社予想332Bcf減に対して338Bcf減と予想より在庫量の減少幅が大きかった
・2月19日時点の天然ガス在庫量は1943Bcf(有効容量の59.1%)
・2月18日から2月24日の期間の天然ガス供給量は89.9Bcf(前週比2.5Bcf増加)
・2月18日から2月24日の期間の天然ガス国内需要量は97.7Bcf(前週25.6Bcf減)
・国内需要の内訳は発電需要が5.2Bcf減、住宅・商業用需要が17.6Bcf減、工業用が2.8Bcf減。寒波が弱まり暖房用需要(発電需要、住宅・商業用需要)が大幅に減少した
・LNG輸出用需要が1.2Bcf増、メキシコ向けパイプライン輸出需要は横ばいとなったが、寒波前(2週前)より低い水準
・今後の気温予報ではアメリカの多くの地域で平年以上の気温が続く見通し

週間天然ガス在庫総評

 EIAが先週木曜日に発表した2月19日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で338Bcf減少で各社予想の332Bcf減少より若干強く在庫量は1943Bcfとなった。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較している。テキサス州を中心に強い冷え込みで在庫減少幅が大きくなり、過去5年の平均を割りこんでいる。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。アメリカ中西部からテキサス州に到達した強力な寒波によりアメリカ南部を中心に在庫が大きく減少した。全米の在庫量は2281Bcfと前週と比べ338Bcfの減少となり、在庫量は平年(5年間の平均)に比べて161cf少なく、前年比で298Bcf少なくなった。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の41.4%、有効容量(4261Bcf)の45.5%となった。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は2月18日から2月24日の間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は82.7Bcfと前週より3.2Bcf増加した。ただし、寒波による凍結で生産できないガス田が生じたことが原因で2週前と比べると8.0Bcf程生産が減少している。次にカナダからの輸入は6.8Bcfと前週から0.6Bcfの減少となった。天然ガスの総供給量は89.9Bcfと前週から2.5Bcfの増加となった。

図3 天然ガス供給一覧(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は2月18日から2月24日の間の天然ガス需要量の内訳となる。需要量全体は116.8Bcfとなり前週比で25.1Bcfの大幅な減少となった。
 アメリカ国内需要は97.7Bcfと前週比で25.6Bcf(20.8%)の減少となった。寒波が弱まったことで発電用(16.1%減)と住宅用(28.1%減)を中心に暖房用需要が大きく低下した。内訳では発電需要が5.2Bcf減少した27.1Bcf、工業需要が2.8Bcf減少した25.4Bcf、住宅・商業用需要が17.6Bcf減少した45.2cfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週比同量の4.9Bcfと2週間前から0.5Bcf程減少している。LNG輸出は前週比で1.2Bcf増加した7.4Bcfだったが、2週間前と比べると4.6Bcf少ない。寒波による天然ガスの生産減と液化設備の停電で輸出量が大きく落ち込んだ影響が残っている。

図4 天然ガス需要セクタ別一覧(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

1月19日時点1月26日時点2月2日時点2月9日時点2月16日時点
原油用289基295基299基306基305基
天然ガス用88基88基92基90基91基
表2 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表2はベーカー・ヒューズ社が発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。2月19日発表の現在最新のレポートによると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から1基減少した305基、天然ガス採掘用リグ稼働数は1基増加した91基となった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から横ばいの397基だったが、原油採掘用リグ数は前年の11月下旬以来の減少だった。

今後の見通し

LNG輸出

 図5はNGI社が提供している天然ガスのLNG基地に接続されているパイプラインの流量でLNG輸出量の推定値となる。2月16日には寒波による設備の停電などにより2.2Bcfまで輸出が落ち込んだ。その後は輸出量が次第に増加し23日には10.0Bcf近くまで回復した。EIAによれば2月17日から2月24日の間に全米6か所のLNG輸出基地に7隻のLNGタンカーが寄港し、50BcfのLNGが輸出されている。

図5 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
国内需要

 図7はNOAAが今日発表した10日後から14日後(3月5日から11日)の気温予報でアメリカの大半では平年以上の気温となる見通し。図8は2月18日発表のNOAAの1か月予報となる。1か月予報でもアメリカの多くの地域で平年以上の気温となっている。寒さが弱まることで暖房用需要は減速することが考えられる。

まとめ

 今週発表の2月19日時点の天然ガス在庫はアメリカ南部を襲った強力な寒波の影響で予想の332Bcf減を上回った338Bcf減となり、天然ガス在庫は過去5年間の平均値を割り込んだ。寒波による生産の減少と暖房用需要の急増により、平年と比べて在庫が大幅に減少した。
 発表された2月18日以降の輸出需要は寒波による輸出設備と液化設備の停電に低下していたが次第に回復に転じている。民間企業の調査では21日に2.0Bcfの水準まで低下したものの、順次回復し23日には10.0Bcfまで回復している。今後のアメリカ国内需要は最新の天気予報によるとアメリカの大半では平年以上の気温となる予報となっており、暖房用需要が伸び悩むと考えられる。加えて寒波による凍結で停止していた天然ガスの生産も回復する見込みで、寒波による需給のひっ迫は次第に解消される見込み。前週に3.000ドル付近まで上昇していた天然ガス先物相場は寒波前の2.600ドル付近まで下落するだろう。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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