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コラム
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2021/03/26

エネルギー速報:今週の天然ガス在庫統計と今後の見通し(つらつらコラム2021年3月26日)

ダイジェスト

・3月25日発表の天然ガス在庫は各社予想23Bcf減に対して36Bcf減と今週は強気な内容だった
・3月19日時点の天然ガス在庫量は1746Bcf(有効容量の40.9%)
・3月18日から3月25日の期間の天然ガス供給量は95.6Bcf(前週比0.1Bcf増加、天然ガス生産量の増加)
・3月18日から3月25日の期間の天然ガス国内需要量は96.9Bcf(前週3.5Bcf減で100Bcfを割り込み)
・国内需要の内訳は発電需要が0.7Bcf減、住宅・商業用需要が3.7Bcf減、工業用は横ばい。暖房用需要(住宅・商業用需要)が更に減少している
・LNG輸出用需要は0.5Bcf増で11.6Bcfとほぼ輸出能力の上限値に近い
・メキシコ向けパイプライン輸出需要は0.1Bcf減
・2週間気温予報では広い範囲で平年以上の気温となる見通し

週間天然ガス在庫総評

 EIAが25日木曜日に発表した3月19日時点の週間天然ガス在庫量は前週比で36Bcf減少となり各社予想の23Bcf減少より強い内容で在庫量は1746Bcfとなった。図1は天然ガス在庫量を過去5年の平均・変動幅と比較しているが、在庫の減少が0に近づいている。

図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

 表1はアメリカの地域別在庫の内訳となる。アメリカ中西部や太平洋岸以外では天然ガス在庫が増加に転じた。全米の在庫量は1746Bcfで平年(5年間の平均)に比べて78cf少なく、前年比で263Bcf少なくなっている。現時点の在庫は天然ガス貯蔵施設の設計容量(4693Bcf)の37.2%、有効容量(4261Bcf)の40.9%となっている。

表1 アメリカの天然ガス在庫量(出展 EIA)

天然ガス供給

 表2は3月18日から3月25日の間の天然ガス供給量の内訳となる。天然ガスの生産は91.1Bcfと前週より0.3Bcf増加、カナダからの輸入は4.4Bcfと前週から0.2Bcfの減少となった。天然ガスの総供給量は95.6Bcfと前週から0.1Bcfの増加となった。

表2 天然ガス供給内訳(出展元 EIA)

天然ガス需要

 表3は3月18日から3月25日の間の天然ガス需要量の内訳となる。需要量全体は96.9Bcfと前週比で3.5Bcfの減少となり100Bcfを割り込んだ。
 アメリカ国内需要は72.9Bcfと前週比で4.3Bcfの減少となった。住宅・商業用の暖房用需要を中心に需要が低下している。内訳では発電需要が0.7Bcf減少した24.4Bcf、工業需要は変わらず23.6Bcf、住宅・商業用需要が3.7Bcf減少した24.8Bcfとなった。
 輸出需要ではメキシコ向けパイプライン輸出が前週比で0.4Bcf増、LNG輸出は前週比で0.5Bcf増加した11.6Bcfとなった。

表3 天然ガス需要セクタ別内訳(出展元 EIA)

採掘用リグ稼働数

2月16日時点2月23日時点3月2日時点3月9日時点3月16日時点
原油用305基309基310基309基318基
天然ガス用91基92基92基92基92基
表4 ベーカー・ヒューズ社発表の原油・天然ガス採掘用リグ数の前週からの変化

 表4はベーカー・ヒューズ社が毎週金曜日に発表している原油・天然ガス採掘用リグ数となる。3月19日発表の現在最新のレポート(3月16日時点)によると稼働リグ数は、原油採掘用リグ稼働数が前週から9基増加した318基、天然ガス採掘用リグ稼働数は横ばいで92基だった。リグの総数はどちらの用途でもない1基のリグを加えて前週から9基増加した411基と再び増加が始まった。

今後の見通し

LNG輸出

 図2はNGI社が提供している天然ガスパイプライン流量でLNG輸出量の推定値となる。3月18日以降のLNG輸出量はおおむね11.0Bcf超えの高水準で推移している。EIAによれば3月18日から3月25日の間に全米6か所のLNG輸出基地に寄港したLNGタンカーは19隻で71BcfのLNGが輸出されている。

図2 LNG基地向けパイプライン流量(出展元 NGI)
2020年のアメリカ産天然ガス輸出振り返り
図3 LNG輸出量推移年次(出展元EIA)

 図3は2000年から2020年までのアメリカからの天然ガス(パイプライン+LNG)の輸出量の年次変化となる。2020年度前半は新型コロナウイルスの感染拡大で輸出大きく落ち込んだが年後半にLNGが過去最高水準の輸出を続けるなど大きな伸びを見せた。輸出量の総計は2019年の4656Bcfに対して2020年は13.4%増の5280Bcfとなり順調に伸びた。2021年の輸出も順調な滑り出しを見せており、今後もアメリカ産天然ガスの国際シェアは拡大しそうだ。

国内需要

 図4はNOAAが今日発表した10日後から14日後(4月2日から4月8日)の気温予報で海岸部を除いた内陸部では平年以上の気温となる見通し。図5は3月18日NOAA発表の1か月予報となる。全国的に平年以上の気温となる見通しとなっている。2週間後の予報で太平洋岸では冷え込みが見られるが、全体的に気温は上昇する見通しで暖房用需要は伸びないと考えられる。

まとめ

 3月25日木曜日発表の3月19日時点の天然ガス在庫は予想の23Bcf減を上回った36Bcf減と4週間ぶりに強気な内容となった。この日の天然ガス相場は小幅な値動きが続いていたが在庫減や高水準のLNG輸出が続いている事を好感して上昇した。
 発表された3月17日以降の天然ガス需要の内訳をみると住宅・商業用の暖房用需要が3.7Bcf減と引き続き大きく減少している。 LNG輸出需要は直近1週間では11Bcf前半となりアメリカの輸出能力の限界に近い高水準の輸出が続いている。2021年のアメリカ産天然ガスの輸出も好調な滑り出しとなっている。一方で、3月下旬以降の天気予報では平年以上の気温となる予報が続いており、暖房需要の増加はもうないといって良く、今後はLNG輸出の動向が相場を左右するのではないだろうか。

 


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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