目次
ダイジェスト
・インドの燃料需要は2021年は10%近く落ち込む
・2022年には経済の回復に伴い10%以上増加する見込み
・インドは原油価格の上昇でOPECプラスを非難している
・明日の会合でサウジアラビアがどう出るかは不透明
インドの原油消費の増加

図1はインドのガソリンやディーゼル燃料などすべての燃料の年間需要量の伸び率を示している。新型コロナウイルスの流行前には年約5%の伸び率を示していた。2020年の前半は新型コロナウイルスの影響は小さかったが、インド国内での新型コロナウイルスの感染が拡大するのに伴い需要量の伸びが急落した。2021年は2020年の年末の流れを引き継ぎ前年比で10%近く燃料消費量が減少する見通しとなっている。
しかし、2022年にはライセンス生産しているアストラゼネカ製ワクチンなどの接種の進展から経済が回復し燃料需要が10%以上上向くリバウンドのような現象を起こすと考えられている。*元々インドは平時より世界で使われる6割以上のワクチンを生産しているワクチン大国として知られている。
インド国内ではトラック用のディーゼル燃料が最も使用されているが2022年は前年比で13%以上の伸びとなる見こみ。加えてバスや鉄道などの公共交通機関をさける動きが続き自家用車の使用傾向が高まるためガソリン消費も同程度増加すると考えられる。ただし、航空燃料の消費量はパンデミック前までは回復しない見通し。
OPECプラスへのインドの不満
今週の3月4日にOPECプラスが会合を開くが、インドはOPECプラスに増産を呼び掛けている。インドは国内原油需要の約80%を輸入に依存しているため、現状の原油価格に不満を表面している。先月インドのダルメンドラプラダン石油相は原油価格の上昇が世界経済の回復を妨げる可能性があると強い警告を発している。
明日の会合の見通し
OPECプラスは難しい選択を迫られている。現在原油価格は減産と需要回復によって上昇しているが、需要回復が一時的なものか継続的なものか不透明であることや、新型コロナウイルスの流行が今後どうなるかが全く分かっていない。その状況の中でOPECプラスの2大生産国であるロシアとサウジアラビアの意見が割れている。ロシアは増産に意欲を示しているが、サウジアラビアは慎重な態度をまだ崩していない。財政均衡の問題がある。IMFによると財政均衡のためには67.90ドルの原油価格が必要であり、現在の原油価格はサウジアラビアにとって都合の良い状況を示している。明日の会合がどういう結論を示すかはわからない。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。